研究会ブログ

2015年10月16日 Fri. Oct. 16. 2015

山口絵理子氏ご著書『裸でも生きる』

11月19日文化経済研究会ゲスト講師 山口絵理子氏ご著書『裸でも生きる』をご紹介いたします。

 

山口氏は途上国でものつくりをし、先進国でそれをブランド化するという「マザーハウス」の創業者でいわゆる社会起業家と言われています。

 

本書は山口氏の今までの半生が綴られた自伝的著書ですが、第1章で大きな頁数を占めているのが中学・高校時代の柔道部での体験です。

中学で柔道に出会い、高校ではほぼそれに全力をかけその傾注具合たるやプロも顔負けで

 

「朝5時半から朝練、夜は10時半ぐらいまで先輩たちが帰るのを待って帰宅。毎日右目か左目どちらかに青アザがある」

ハードすぎる練習を続けた結果、体はボロボロになり膝の靭帯を損傷し、将来的に歩行も危うくなるのではと医師から警告されてしまうほど。

 

荒行のような練習の末、全日本ジュニアオリンピック第7位という結果を残すことができました。

高校生という人生の初期において、何か一つのことに全身全霊で打ち込むことができた人間特有の忍耐力と精神力がここで養われたのでしょう。

 

その後、AO入試で慶應義塾大学に入学し、途上国の開発に興味をいだいたためワシントンの国際機関での勤務を経験。ところが、働くうちに途上国の実態を対岸のことのように捉えつつ働いているという開発援助のあり方に違和感を覚え、単身でバングラディッシュを訪れます。

 

持ち前の勢いでバングラディッシュでの大学院で学ぶことを決めましたが、そこで高校時代の柔道部とは全く違った種類の壮絶さを目の当たりにします。

バングラディッシュはとにかくお金が無い。

となると、弱みを見せればとことん付け込まれてお金を要求されます。

日本人である山口氏も、外国人であるという弱みに付け込まれいたるところで法外な金銭と賄賂の要求を受けます。

 

特に印象的だったのが、山口氏の前で車に引かれた少年のために、近くに居た警官に救急車を呼ぶことを求めるとその警官までもが賄賂を求めてきたという体験。

高校の柔道部では「努力は報われる」という成功体験を得ましたが、バングラディッシュでは「自分1人ではどうにもできないことがある」という状況に突き当たるのです。

 

失意と共に帰国し、ある企業に就職したものの、バングラディッシュが90%の生産量を担っている「ジュート」という天然素材を知り、これで本当に品質の高いバッグが作れないか、と考えたのがマザーハウス設立のきっかけです。

途上国でクオリティのそこまで高くないものを作り、先進国の人が「可哀想だから寄付のつもりで買う」という構図では誰も得をしていませんが、途上国でブランドを作ることができればビジネスを通じて社会貢献が可能となります。

 

しかし、言うだけならば簡単。実行するのはおそろしく地道で困難な道程を乗り越えなければなりません。

バングラディッシュでバッグを作ってくれる工場の確保、それを日本で売るための努力、サイトや会社の立ち上げなど……。

 

普通なら起業のための資金を溜めてから独立し、それらは外注しますが、本書が面白いところは、当時お金が無かった山口氏がそれらを全て単独でなんとか乗り切っていくところです。

しかもビジネスや会計に関する特別な教育を受けていた訳でもない山口氏の奮闘は、これから起業やビジネスをやってみたいものの、情熱があるだけの素人の自分がどこまでできるかという不安を感じている方にとっては大きく背中を押してくれるでしょう。

 

困難な状況に直面してそれをなんとか乗り切った人のお話は、本当に面白く為になるもの。ビジネスにおいても、人生においても何らかのヒントがそこから得られるはずです。

是非、11月19日の講演にお越しになり、山口氏の生のお話をご聴講ください。

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