研究会ブログ

2015年05月22日 Fri. May. 22. 2015

文化経済2015.5月講演レポート①/堀木エリ子氏

第77回文化経済研究会セミナー(2015.5.21開催)の模様をお届けします。

第1部は堀木エリ子&アソシエイツ 代表取締役 和紙デザイナー 堀木 エリ子 氏。

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 演題は「未知の和紙が織り成す、イノベーション」。

堀木氏は、たまたま転職した会社で出会った和紙という伝統工芸に心を打たれ、その先細りをなんとかしなければという思いから、全く技術も知識も無い状態で20代半ばにしてその道に飛び込まれました。

 

「よく革新はどうやって起こせばいいのかということを訪ねられますが、私がお答えしているのは2つのことしかありません。それは「ご縁」と「腹の底から湧きあがるパッション」です」

 

「ご縁」が大事なのは自明ですが、それを本当に「ご縁」にするには「腹の底から湧きあがるパッション」によってそのつながりを活かそうとする意気込み。

そうでなくては、「ご縁」はただの「知り合い」になってしまう。

 

しかも、そのパッションというのもくせ者で挫折や壁に当たったら意外と簡単に手折れてしまう。

「ご縁」を活かすには「パッション」が要る。ではその「パッション」はいかにして持続させればいいのか。堀木氏の場合、それは「原点に立ち返る」ということでした。

 

堀木氏の和紙に対するパッションを萎えさせる最初の出来事は、和紙の道に進みたいと言った時の周囲の反応でした。

 

「あなたは大学でアートを勉強していたわけでもない、ビジネスも知らない、職人さんの下で修行をしていたわけでもない。今からできるわけが無い」

 

誰に聞いてもそのようなことを言われましたが、そこで堀木氏は原点に立ち返り、「そもそもものづくりとは何なのだろう」と考え、思いっきりその原点に立ち返ってなんと縄文時代にまで遡ってそれを考えられました。

 

縄文時代のものづくりの遺物として、土器が沢山遺されている。その紋様のどれもが素晴らしい芸術として認められているが、縄文時代に芸大があっただろうか?ビジネススクールで土器の売り方を勉強していただろうか?土器製作コースがあっただろうか?

 

「いや、ない!」

 

じゃあ私もできるはず!

これで最初のパッションの危機を回避した堀木氏は、以後も

 

「手漉き和紙が売れない」→「それは皆がその良さを知らないから。展覧会をやってみよう」

「カフェの扉の上を和紙で彩るのは埃が落ちるので難しい」→「それは和紙が風でなびくから。面積を小さくし、穴を開けて空気抵抗を減らせば風の影響を受けない」

「空港のインテリアで和紙は使えない」→「では“シート”として扱ってもらえれば大丈夫」

 

困難にぶつかる度にその困難の原因を問うことでそれを解決してこられました。

 

堀木氏の武器は、何も分からない段階で和紙に触れたこと。何ができないかも分からないので、「できる」という前提で全てを考えることができる。

最初に「できる」という処からスタートすれば、あとはできない理由を一つひとつ潰していけばいいだけ。

 

それも口で言うのは簡単ですが、いざ実行に移すとなると難しいです。そのための原動力になるのが、「腹の底から沸きあがるパッション」で、こちらのほうも常に原点に立ち返ることが大切。

何かを始めたときに自分が持っていたエネルギーやビジョン、つまり初心を忘れないこと。

新しい環境や取り組みを始めたとき、人は誰しも(少なくともそれなりの)ビジョンはもっていると思います。

しかし日々の繰り返しの中で、その初心は「惰性」と「妥協」に侵食されていく。

 

冒頭の質問である「革新はどうやったら起こせますか」という問いにとって、一番大事なのは「初心を忘れない」というシンプルな答えなのだと思います。

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