研究会ブログ

2015年09月18日 Fri. Sep. 18. 2015

文化経済2015.9月講演レポート①/戸田顕司氏

第79回文化経済研究会セミナー(2015.9.17開催)の様子をお届けいたします。

第1部は『日経レストラン』編集長の戸田顕司氏。

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最初に飲食店ビジネスの基本的な考えをご教授いただきました。

それによると、「人件費+食材費+家賃」が月の売上の7割以下だと利益が出やすい、とのこと。

ということは、オーナーシェフがほぼ一人でまかない、最小限の人件費で抑えることができればその分を食材費などに掛けることができ、コストパフォーマンスは良い。

しかし、そうなると後継者が居なくなりそのお店はその代で途絶えてしまいます。


今飲食業界全体が、現在後継者不足・人材不足に悩まされているといいます。

それに加えて、高齢社会で一人ひとりがあまり食べなくなったことで市場自体が年々微減傾向にあり、

食料自給率の低下によって原価も高騰傾向。

これからの飲食業には「淘汰時代」がやってくるというのが、ここから導き出される予測だそうです。


大まかな業界地図を示されると、

「こういうところで真面目なお話しするよりも、『美味しいレストラン教えて』と言われるほうが多いので(笑)」


とおっしゃり、面白い取り組みを行っている多くの店舗もご紹介いただきました。

特に面白いな、と感じたのは高さ26cmの肉の山でお客にアピールする「炭火焼肉・にくなべ屋 びいどろ」、

誕生日に歳の数と同じ本数の焼き鳥をプレゼントする「くふ楽 銀座店」。


前者ではお客がインパクトある料理の写真をSNSにアップすることによる口コミ効果、

後者では、例えば50本の串焼きを50歳の人が1人で食べきれるはずもないので、同伴者を狙ったマーケティングをそれぞれ意図しています。

広告費をかけるより、一人に50本の串焼きをプレゼントするという印象的な試みをした方が話題を呼び、コストを加味しても宣伝効果が上です。


終盤に、

「今後はロボットや人工知能が食の領域に侵入してきます」

 と断言。


「ロボットや人工知能に食なんて分からないと、皆さんおっしゃるかもしれません。

しかし、例えば今やスマートフォンで情報を仕入れてレストランに行くのが当たり前ですが、

ほんの20年ほど前はそんなものは無かったし、想像すらされていなかった。それが現代では逆にスマートフォン無しではどうやってレストランを探せばいいのかすら分からない」


データを用いて人間が美味しいと感じるレシピを開発する、IBMが作った人工知能シェフ「ワトソン」がスライドで紹介されたときは、人工知能が開発したメニューには抵抗感を感じたのが正直なところでした。

しかし、確かに20年前の人に現代のスマートフォンのことを話しても理解されなかったのと同じように、将来的には人工知能シェフが作った料理をロボットスタッフが運んでくるレストランが当たり前になっているのかもしれません。


これは食だけではなく全ての業態に言えること、と戸田氏は結びましたが、この結びは冒頭の人手不足問題ともリンクし、食のみならず様々な領域における労働市場の動きを考えました。

『日経ビジネス』の副編集長なども歴任された戸田氏ならではの、正に「食と経済のクロスポイント」をお話いただきました。

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