研究会ブログ

2014年10月24日 Fri. Oct. 24. 2014

文化経済研究会会員様インタビュー/公益財団法人日本交通公社 久保田美穂子様 前編

公益財団法人日本交通公社は、1912年ジャパンツーリストビューローとして誕生。1963年に営業部門(現・株式会社ジェイティービー)を分離し、公益法人として調査・研究などの活動とその発信を通じ、旅行・観光の文化的かつ持続的な発展を目指しています。

観光情報研究室室長の久保田様にお話をお伺いしました。

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◆増える一人旅

Q まずは今のトレンドを教えてください。

A 国内の旅行市場は、大きな流れでは成熟化していますが、昨年は好調の話題が目立ちました。海外旅行では日中関係、日韓関係など外交の問題に影響を受けてしまいましたが、国内旅行では出雲大社や伊勢神宮の遷宮などが旅行の動きを活発にしました。

トレンドでいうと、1人旅が本格的に増えてきています。旅館などは一人旅の旅行客に対しては積極的じゃなかったんですが、このところ旅行商品や対応も増えています。

若い学生中心の“たびいじょ”ってご存知ですか?ファッションも楽しみながらの一人旅を愛する女の子が大学を横断して集まっているインターカレッジの団体があるんです。シニア層では女性限定のおひとり様ツアーがヒットしています。

 

Q 女性向けが多いんですね。

A 女性のほうがコミュニケーション能力が高く1人参加を楽しむことができるようですね。また女性限定だと、夫を待たせる心配なく買い物時間をたっぷり楽しめるところが良いなどという話もききました。

シニア層の女性は子どもも手が掛からなくなっていますし、彼女たちが若い頃に読んでいた1970年代の『anan』では一人旅の特集なんかが結構あって、1人で旅をしたいという願望が今呼び覚まされているのかもしれません。

アンケート調査で1人旅の目的を調べてみると、多様多彩すぎてつかみづらいですし、2人以上の旅行と同じように手間はかかるので、観光産業界はこれまであまり熱心に取り組んでこなかったのですが、実は結構面白いマーケットなのではないかと思っています。

1人鍋とか1人カラオケとか、一人に注目する他の業界の動きを見ていて一人旅が気になるようになりました。

わかったのは、今はSNSなどのお陰で、1人でも「独り」ではないんですね。しかも、単身で旅行している時のほうが頻繁に情報発信するんじゃないでしょうか。写真などを駆使して共感・共鳴をおこしやすい旅情報の発信をしてくれる。単位は1人と小さいですが、影響力や発信力はとても大きいのではないかと思っています。

 

2020と2000万人

Q 2020年までに訪日外国人2000万人という目標は達成可能だと思いますか?

A 12年と13年の訪日外国人を比較すると24%も伸びています。836万人から1036万人にもなったんですよ。各地では様々な政策的な取り組みがますます進んでいますので、そう考えると不可能ではないと思います。

知られていない日本の魅力はまだまだありますから。特に東京、大阪など都市への集中から地方への分散化が進むようにしたいですね。日本の地方にはまだまだ魅力が眠っていて、例えば岐阜県の高山市などは早くから海外に向けての情報発信に熱心ですから、現在は欧米からの旅行者がとても増えています。

 

地方の海外発信

Q 地方が海外に向けて情報発信にするのって難しいですよね。

A 日本人にも届いていない地方の魅力ってまだまだありすからね。でも、ピンポイントで中野のブロードウェイや秋葉原には外国人がたくさんきていますね。

非常にユニークな資源のあるところは、それだけで発信力がありますし、一方地方の市町村の場合は自分のところだけで発信するのは難しいので、ある程度エリアで固まって売り込んでいくのがいいですね。エリアをどのように旅行してもらうと効率よく楽しめるのか、といった旅行者目線の発信です。

 

Q 海外に対する情報発信は発展途上ですか

A 国別に対応を変えていくことは大事ですね。例えばタイの親日感情は非常に高くて、韓国の方と比較してみると、日本は「数ある旅行先」というよりは「とてもいってみたい場所」であるといった違いが見られます。国別や年齢層ごとに細かい戦略を立ててアピールしていくことが大事です。

 

Q なぜタイの方はそんなに親日感情が高いんですか?

A 『おしん』などの日本のドラマやアニメの放送があったり、ヌードル文化が共通しているところも大きいようです。新横浜のラーメン博物館にはタイのお客様がとても多いんですよ。そういうところに丁寧に注目していけば戦略と伸びしろはまだまだあります。

 

Q 英語での発信力はまだ弱いのでしょうか。

A それもありますが、言葉だけでなく、相手の好みを深く知らなくては。先ほど挙げた高山市のサイトでは国ごとに写真や色遣いも工夫しています。そういう細かいことをやった努力の成果が出ています。

 

海外発信の工夫

Q 高山市には外国人は何を見に来るのでしょう?

A 古い町並みですね。高山祭りという伝統的なお祭り、一方で、うどん屋さんの前で楽しそうにメニューを眺めていたりします。食べ物、暮らし方など日本人のライフスタイルや暮らしぶりですかね。

 

Q  他に国内で外国人に対する発信力を強化する動きありますか?

A食への関心は高いのですが、何が入っているのかわからないのが異文化の食事ですよね。メニューに写真があるかどうかで外国の方が受けとる印象は全く違うとのことです。

和歌山県田辺市では、カナダ人の方が観光推進組織に居らっしゃっるのですが、その方が、言語のコミュニケーションが得意でなくても指で示せば意思疎通のできるようなツールを開発し、世界遺産になった熊野古道を歩きたいという外国の方と民宿の方たちの橋渡しをしています。「最初は外国人のお客さんなんか無理、と思っていたけど、やってみたら楽しくなりました」と民宿のご主人からききました。ツールには、必要最低限の単語が英語で書いてあって、あとは何とか対応できるんですね。

 

(後編は来週アップ予定です)

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