研究会ブログ

2016年05月20日 Fri. May. 20. 2016

文化経済2016.5月講演レポート①/岩佐十良氏

第83回文化経済研究会のレポートをお届けします。

第1部は株式会社自遊人 代表取締役 岩佐十良氏。

マーケティング的に考えれば成功は絶望的だった「里山十帖」を常時稼働率90%以上の旅館へと成長させた岩佐氏はデータやロジックでは見えてこない「リアル」をそのメソッドに取り入れていたのでした。

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■「食品やリアルな場こそメディア」

岩佐氏は東京生まれの東京育ち。大学も武蔵野美術大学卒業です。それでも何の縁もゆかりも無い新潟に移住した理由は、デザイナー、編集者として活動し、メディアを取り扱っている中である確信を掴んだからです。

それは、「食品やリアルな場こそメディア」だということ。

地方やおいしいものの魅力を伝えるためには、自らがそのリアルを体験しなければならないという想いから岩佐氏は移住を決意します。

2000年に創刊した雑誌『自遊人』は、その確信に基づきメディア以上のメディアである「食品」の販売を開始します。

 

2014年にオープンしたライフスタイル提案型複合施設「里山十帖」は、都会人に合わせて作られた「リゾート」ではなく、里山暮らしの「リアル」を提案し、実際にそのなかで使われているものは椅子や家具に至るまで購入が可能です。

 

■マーケティングの「リアル」

マーケティングの考え方を岩佐氏はロジカルシンキングとデザインシンキングに分けて考えます。

数字や過去のデータなどに基づき、最近はビッグデータなどで更に強力になっていくマーケティングがロジカルシンキングに属します。

しかし、高速で大容量のコンピューターが全てを決定するのであれば、人間は何をすれば良いのか。

 

その答えがデザインシンキングです。

コップに水が半分入っていれば、ロジカルシンキングが教えてくれるものはそこまでで、それが半分「も」入っているのか半分「しか」入っていないのか、これを決めるのがデザインシンキングです。

マーケティングの「データ」を決めるのはコンピューターですが、それを実際に受け止めた人が何を思うかが「リアル」であり、それを決めるのはやはり人です。

 

■里山の「リアル」

ロジカルシンキングで考えれば、「里山十帖」の成功はありえません。同地域はマーケティング的に考えれば47都道府県の中で宿泊施設の砂漠地帯でした。

しかし、ならばこそ競合がいないと逆手に取り、オープンに踏み切ります。

0と1の演算で全てを捉えるコンピューターは一見万能ですが、岩佐氏のデザインシンキングは0と1の間にある無限の「リアル」を捉えました。

 

里山十帖は内に篭るタイプの旅館ではありません。

田舎の空気や景色、匂い、それらを全身で一瞬にして感じたときに体内で巻き起こる全てが0と1の間にはあります。

その「リアル」が口コミに次ぐ口コミを呼び、オープンから数ヶ月で客室稼働率90%を常に超える状態を維持し今日に至ります。

ヘビーユーザーの中にはその空気に魅せられたあまり古民家を実際に購入し移住してしまった人も居るほどだとか。

 

実際に人を動かすのはデータではなく「リアル」だということです。

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