研究会ブログ

2017年07月 7日 Fri. Jul. 07. 2017

北川フラム氏「地域の人だけでは地域を守れない」


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『美術手帖7月号』より

 

 

全国各地で開かれる、大規模なアートフェスティバル。ビエンナーレやトリエンナーレなどの単語に、馴染みを覚える方も増えてきたのではないでしょうか。

 

1990年代以降、世界的な広がりを見せるこの“芸術祭”。日本も例外ではなく、その数は年々増加傾向にあります。しかしながら同時に、多くの課題を孕んでいることも否めません。

 

美術手帖7月号では『アートフェスティバル、どう評価する?』と題し、キュレーターや作家、批評家など、総勢10名が、それぞれの見地から芸術祭を論じています。越後妻有アートトリエンナーレなどを手がけたアートディレクターの第一人者として、北川フラム氏(2013年5月文化経済セミナー講師)のインタビューが掲載されていました。

 

「理解できる」と「理解できない」のいずれかに分類されるだけの領域になってしまった現代の美術。二元論的な画一性に囚われている美術に対し、地域の独自性や、参加者の多様性を以って新たな「美術像」を生成することが芸術祭の醍醐味。

 

しかし同時に、スタッフへの保障問題や、政治に左右される税金を基盤にする不安定さなど、課題があることも事実。その一方で、日本の芸術祭がきっかけとなり、アジア各地で芸術祭開催への動きが出始めていたりと、やはり芸術祭には大きな意味があると北川氏は語ります。

 

「いま、地域の人だけでは地域を守れないんです。移動がないと地域は元気にならない。ではなぜ人が集まるかというと、『みんなで行こう』という雰囲気がもう一般に浸透しているんだなと思う。大都市一辺倒がやがてだめになるのは見えているわけだから。(中略)地域で食べて行く可能性をつくっておかないと無理だと思いますよ。」(美術手帖7月号80ページより引用)

 

コミュニティが開かれることの必要性を提言しながら、それは芸術祭の運営そのものにも必要だと氏は訴えます。

 

「僕の場合、芸術祭は基本的に行政とやる。手間暇かかるし大変なんだけど、そうすると必ず反対者も巻き込めと言われるから。美術の人はわかったもの同士でやるのが正義だと思っているけど、それだと持続可能性がないですね。(中略)行政も巻き込めば反対派の人たちも文句言いながらも関わって、もしやっていることが面白ければ、どんどん広がっていくこともある。」(同誌7月号80ページより引用)

 

北川氏の思想と戦略には、「閉鎖性を打破する」という一本の芯が通っていました。この夏には北アルプス国際芸術祭、秋には奥能登国際芸術祭を企画されている同氏。多くの課題を抱えながらも、芸術祭を日本社会に定着させるため、その挑戦は続きます。

 

 

 

 

 

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