研究会ブログ

2016年01月21日 Thu. Jan. 21. 2016

文化経済2016.1月講演レポート①/津田大介氏

第82回文化経済研究会のご様子をお伝えします。

第1部講師は、ジャーナリストの津田大介氏。

 

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 さて、先週からSMAPの解散騒動が大きく報じられていますね。

津田氏は冒頭で

 

「あの生放送でSMAPの存続が決定して安心した、ホッとした、という方はいらっしゃいますか?」

 

と尋ねると、会場からはほとんど手が挙がらず、


「では公共の電波を使ってああいう謝罪をやらせるのはどうなの?と思った方は?」

 

と尋ねるとほとんどの方が手を挙げました。

 

「そうですよね?しかし、テレビ番組や新聞では『SMAPが存続してよかったね』という意見ばかり。伝える事実としてはそうなっているんです。あのSMAPの騒動は伝えられた情報の裏には誰が居るのかというメディアリテラシーの良い教材だと思います」

 

■情報環境が変われば仕事が変わる

津田氏が大学を卒業してまだライターとして仕事をしていた90年代半ば。十数誌のパソコン関係の雑誌で記事を書いていたそうです。

ところが、今やそれらは全て廃刊に。

 

「パソコンの雑誌というのは、こうすればグーグルで簡単に情報が手に入りますよ、こうすればブロードバンドでより安価にインターネットが利用できますよ、という情報を購読者の人たちに知らせていました。そうなればパソコンの雑誌がそもそも要らなくなります。

つまり、皮肉ですが自分たちの仕事がなくなるための手助けをしていたわけです」

 

パソコンがそこまで普及していなかった時代にも職業の淘汰はありました。例えば、1955年当時は日本電信電話公社が16万人も抱えていた「交換手」という職業はもう存在しません。

この十数年でカメラマンも激減しましたし、現像を請け負うカメラショップもほぼ姿を消しました。

 

■インターネットで生まれた仕事

「しかし、新しい技術によってなくなる仕事もあれば生まれる仕事もあります」

 

ある女性は写真共有SNSのInstagramで写真をアップするだけで数十万円の報酬を得ているそうです。彼女は企業の関係者ではなかった素人の女性ですが、写真のセンスで人気を博し、増加したフォロワーに目を付けた企業が彼女に自社製品の宣伝を依頼するように。


津田氏は、

 

「インターネットの良いところは”DIY”ができること」


と仰います。昔ならば自分でメディアを作ろうと思えば雑誌の創刊の為に百万円を超えるお金が必要でしたが、今やブログを作るのは無料。

「僕はこれまで色んな失敗をしました。100個やって5個ぐらい上手くいけば良いほうです。でも最近は技術の発達によって、試行錯誤のためのコストが圧倒的に下がっているんです」

 

■SMAPに学ぶメディアリテラシー

話は再び冒頭のSMAPの話に。彼らが公共の電波を使って謝罪を「させられた」ような形になり、多くの国民はジャニーズ事務所のやり方に違和感を覚えましたが、

 

「人は忘れっぽいですから、皆さん数ヶ月でこのことは忘れます。

寧ろあれはジャニーズ所属タレントに向けて強いメッセージを発信していたんです。『もし事務所を抜けようとしたらここまでのことになるぞ』という」

 

この説明には納得しました。

確かにいくら新聞社やテレビ各社が今回のことを「円満解決」に見せようとしても、どう考えてもバックにある構図に思いをやらずにはいられないあの謝罪会見。しかしジャニーズ事務所がもとより一般視聴者ではなく所属タレントへの警告を意図していたのだとしたらあの違和感も頷けます。

 

津田氏がメディアを読み解く際に大事にしているのは3つの情報源を確保することです。

つまり、「ネット」、「紙」、そして「人」。

 

ネットは速く、新聞やテレビには載っていない多様な意見が掲載されているものの、信頼性は低い。

紙メディアはネットでは得られない濃密な情報と、多くの人間の手を経ることによる信頼性は高い。

そして最終的には人。その場に居る人や関わってきた人が持っている一次情報は何よりも濃密な情報源になります。

 

「情報は自分という”エンジン”が動くための”ガソリン”だと思います。これから日本は大変な時代に向かうと思いますが、正しい情報というガソリンを入れて変われる人間には大きなチャンスが訪れるんじゃないかなと思います」

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