研究会ブログ

2016年03月18日 Fri. Mar. 18. 2016

文化経済2016.3月講演レポート①/宗次德二氏

3月16日に開催されました第82回文化経済研究会のご様子をお届けします。

第1部スピーカーは、カレーハウスCoCo壱番屋創業者宗次德二氏。

 

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「人生ずっと行き当たりばったりで、何が起こるか分かりません。だから今日を一生懸命生きるんです」

そう始める宗次氏の声のトーンはとても穏やかで、その人格の実直さが分かるようでした。

 

■駐車場に生える雑草を抜けるのは経営者しかいない

「私は三流経営者なので、現場主義を続けて真面目に誠実に毎日を生きるんです。大した能力は無いので、お客様第一主義を貫くぐらいしかできません。とにかくお店の掃除です。

他に経営者しかできないことをするべきだと言われたこともありましたが、経営者以外に駐車場に生えている雑草を抜く人は居ません。

雑草が生えているから抜いてくれと指示したら皆さん速やかに抜いてくれますけど、それはどうしても習慣にはなりません。だから私が雑草を抜くしかないんです」

 

高度な経営判断やマネージメントやマーケティングなどの知識を多く持った経営者は多く居ますし、セミナーもあれば大学や大学院、ビジネススクールでそれを教えている処も枚挙に暇がありません。

しかし、駐車場に生えている雑草を抜けと教えてくれるビジネススクールはおそらく無い。そして実は雑草を抜くことこそが宗次氏にとっては何よりも大切な現場主義でそれは実際に大きな効果を発揮しました。

「三流経営者なのでそれぐらいしかできなかった」と謙遜してはいたものの、ロジックや合理性を超えたところにある温かみや丁寧さがそこにはあったのです。

 

「もちろん三流経営者っていうのは自分で言う分には良いですけど、他人に言われたら私だって怒りますよ(笑)」

 

と言うと会場は爆笑。話の随所にユーモアが散りばめられ、人に尊敬されることなどより喜んでもらうことが宗次氏にとっては最も大切なことのようです。

なお、サラリーマン川柳にも自信作を数件応募したそうですが、未だに賞を貰えないと嘆いていました。

 

■壮絶な生い立ちから得た精練

朗らかに日々を過ごして周囲の人を明るくさせている宗次氏ですが、その生い立ちは壮絶です。

両親の顔を知らず、孤児院で育ち3歳の時に養父に引き取られるものの、貧困でギャンブル好きだった養父は日雇い労働で得た賃金のほとんどをギャンブルにつぎ込んでいたそうです。

家賃など払えるはずも無く、半年かそこらでどこのアパートも追い出されるという生活を続け、食べられる雑草を食べて日々を過ごしていたとか。

 

幼少期のその経験は、宗次氏に大きな影響を与えます。

 

「私は自分のためにお金は使いません。お金を人のために使うことこそが最高の贅沢です」

 

極貧生活を経験した宗次氏は常に「足る」を知っていました。

53歳で経営の一線から退いた後、名古屋の栄に設立した宗次ホールは、幼少の頃から血の滲むような努力をしてきたにも関わらず、どうしても発表の場に恵まれない若手演奏家達が羽ばたくためのクラシック専門のホールです。

去年は1年間に463回の公演を行い、初年度は2万8千人だった来場者も8万人にまで増加し、クラシック愛好家を増やして文化度を向上させるということにも貢献なさっています。

また、今でも朝の7時から1時間は必ず街の掃除活動を行い、栄の広小路通りに7500本のパンジーを植えるという活動もなさっています。

どれも、誰かがやったほうが良いものの、誰も自分がやろうとしないこと。経営者時代からそれを率先して行う宗次氏の人格に心を打たれました。

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