研究会ブログ

2014年06月 5日 Thu. Jun. 05. 2014

書評④~中竹竜二著 『自分で動ける 部下の育て方 期待マネジメント入門』

元早稲田大学ラグビー部監督、コーチングディレクターであり、「日本一オーラの無い監督」を自称する中竹竜二氏。文化経済研究会の講師を務めていただいた氏の著書『自分で動ける 部下の育て方 期待マネジメント入門』を読みました。


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コーチング……つまり教えるということを教える……のプロである氏。

この本で目指していることの一つは、指導者、監督、上司など、誰かに対して指示を出す立場にいる人間の「自責サイクル」の確立の補助です。

 

「自分で考えて動くようにしろ」

 

というのは、多くの場面で上の立場の人間が使う言葉です。確かにこの提言は正しい。しかし、これは足が遅い人に早く走れというようなもの。

この提言のたちが悪いのは、むしろこの提言が正しいという点です。

正しいことを言っているときに人は反省をしない。言われている方も正しいことを言われているものだから反論ができず、受け入れるしかない。

それでもできないものはできないので、上の立場の人間は「俺がちゃんと『自分で考えて動くように』と指導してやっているのに、あいつはダメなやつだな」となる訳です。

 

しかし、氏は言います。

 

「上司や指導者の役割は、正しいことを言うのではなく、部下や選手を変化させること」

 

そして、「指導者が目の前の現象に責任を感じて個々に対応していくこと」それが「指導者の自責サイクル」なのです。

氏は早稲田大学ラグビー部の監督でしたが、この著書はもちろんスポーツの監督だけに向けて書かれた本ではなく、上司、教師、リーダーはもちろん、自分が成長したいと思う全ての人へ向けて書かれています。

 

そこで、「自責サイクル」の構築以外にももう一つ大きな本書の目的があります。それは「正しい期待」の掛け方です。

「悪い期待」の端的な例が、子どもの才能に期待するあまりピアノや勉強、スポーツなどを強制しすぎた結果、かえって子どもがそれらへの関心を無くしてしまうという現象ですね。

「正しい期待をかけられれば、人は必ず成長する」というのが氏の信念。

 

「自責サイクル」「正しい期待」、これら2つの事柄の根幹となっているのが、「自分のスタイルを見つける」ということです。

氏のいうスタイルとは、くだけて言えば「その人らしさ」。

具体的に「論理的」「努力家」「自分勝手」「ほんわかしてる」などの、その人が一貫してぶれることの無い個性がスタイルです。(自分勝手という一般的には悪いことでもそれは尊重すべきスタイルだと氏は言います)

 

氏は「スキルではなく、スタイルを重視するべき」と説きます。

スキルを重視しすぎると、つまりは冒頭で述べたような「できないことをやれ」と言うような指導、ひいてはプレッシャー(=悪い期待)につながってしまうのですね。

 

自分のスタイルを見つければ、それをもとに目指すべきヴィジョン、そこにいたるまでの具体的なストーリーとそれを実現するためのシナリオを想定する。

おおまかに言えば以上のようなことですが、もちろん自分のスタイルを見つけるのは非常に困難ですし、それにあったストーリーを見つけるのも簡単なことではありません。

著書ではそれが具体的な事例も挙げつつ、丁寧に説明されています。

 

部下の育成に悩む上司やリーダー、教師、成長したいと悩む人にとって、とても有益なエッセンスが含まれている本書。

是非皆さんもご一読を。

 

 

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