研究会ブログ

2015年07月 3日 Fri. Jul. 03. 2015

東京国際ブックフェア 養老孟司氏ご講演レポート

東京国際ブックフェアで開かれた養老孟司氏の講演にお伺いしたので、様子をレポートします。

演題は『「出版」は普遍的な職業か?』。

養老氏は早くにお父様を亡くされましたが、医師免許を持っているお母様が女で一つで育ててくれたそうです。

 

「手に職を付けなさい」

 

というのが口を酸っぱくして教えられたこと。

そのお母様の教えは自分の中に技術が残る仕事を選ぶべしという提言に繋がります。

たとえハイパーインフレが来て稼いだお金が紙切れ同然になろうとも、手に職さえあれば必ず復活ができる。


だからどんな仕事をしたいかというよりも、どんな技術・知識を身につけたいのかを考えてそれらが身に付く職業を選択するのが吉。

その関連でハプスブルク家を先祖にもつ生理学者のハンス・セリエに言及され、

例えお金や地位を全て剥奪されたとしても、知識と教養だけは身を助けてくれるということを訴えました。

最終的に頼れるのはその両者。

ハプスブルク家を先祖にもつ生理学者のハンス・セリエに言及され、
例えお金や地位を全て剥奪されたとしても、知識と教養だけは身を助けてくれる。

最終的に頼れるのはその両者。



職業選択と自分が身につけたい技術・知識をオーバーラップさせるという考え方は出版にも通じており、

 

「先日6月4日は“虫の日”だったので虫供養をしました。かつては5月からハエが出始め、たくさんハエをとったことから6月4日がその供養の日となったんです」

「皆さん、最近虫を見ますか?あまり都会では見ないのではないでしょうか。虫の居ない環境、虫の育たない環境というのは子どもも育ちません」


ひいては、外で得た経験がないと自らの技術や知識となることがない。インターネットで得た知識だけでは、どうしても閉塞的になりがち。

また、普遍的という言葉は普通に訳すと「ユニバーサル」ですが、それが徐々に「グローバル」という言葉のニュアンスと重なりつつあることを指摘されました。

 

インターネットは知識をグローバル化しましたが、果たしてグローバルというものはユニバーサルでしょうか。

むしろ、グローバルとは拡張されたローカルにすぎず、思考能力と知識さえグーグルという一企業に預けつつある我々は、インターネットから切り離された……養老氏曰く一つの「端末」……である本でせめてアイディンティティーを保っていたいものです。

インターネットの「外」で、虫と戯れる時間が、最後の助けになるかもしれません。

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