研究会ブログ

2017年09月19日 Tue. Sep. 19. 2017

文化経済2017.9月 講演レポート①/石倉洋子氏


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9月14日に行われた第91回文化経済研究会、第1部では経営学者で一橋大学名誉教授の石倉洋子氏にご登壇いただきました。

 

多様性と流動性が世界を大きく変動させてゆく現代。我々個人の生き方や、そして企業のあり方においてどのような舵取りが求められるのか、石倉氏の豊富なキャリアを元にお話をいただきました。

 

 


・「急激な変化」が起こっていることを認識する・

 

IoTやAIの台頭による「第4次産業革命」によって、我々の社会は指数関数的に変化していると石倉氏。1歩1歩物事が進化してゆく時代は終わり、従来とは異なる次元で「急激な変化」が起こっていると言います。

 

テクノロジーが原動力となって、様々なことが出来るようになりつつあるのが現代の大きな特徴。勿論、そうしたテクノロジーのリスクは問われるべきとしつつも、「日本にはインパクトや、スピードに対する実感が足りない。“正しいかどうかが全て分かってからやってみよう”では遅い」と氏は言います。

 

併せてIBMのワトソンなど、AIと人とが連携するケースを例に挙げながら、「新しい技術を脅威に感じる人もいれば、限りない可能性と感じる人もいる。『AIによって人間の雇用が奪われる』と、世間は何でも対立の構造にしたがります。そうではなく、『協働』していけばいいのです」と、テクノロジーを活かし、我々は働き方を変えていけばいいのだと提言します。

 

こうした一連の認識を持つことが、これからの個人、そして企業を考える上で、重要なポイントになります。

 

 

 

・個人と企業が、双方に働き方を変える・

 

世界経済フォーラムの委員会が行なった「現在、そして2020年までに、雇用や仕事に大きな影響を与える要因は何か?」という調査の結果、最上位に挙がったのが「仕事の環境変化や仕事の自由度」。AIやクラウドなど、技術的なファクターが上位にくるかと予想される中、トップに躍り出たのは「柔軟な働き方」でした。

 

石倉氏によれば、

「価値観が変わりつつありますよ、ということです。特に日本の場合は、フルタイムで一つの会社にずっと勤めるというパターンですよね。新規採用もある期間に限っている。そのパターンは崩れつつあるんです。」

 

「今、世界で言われていることですが、一つの会社にずっと勤めるというケースは殆どない。複数の企業で色々なキャリアを積んでいくのが『今』のパターンです。そういう意味で言うと、個人はそうした準備をしなければならないし、企業もそれを前提にして考えなければ、ということです。」

 

企業は社員の副業をむしろ推奨し、色々なことに挑戦させるべきだと石倉氏。そうした経験によって社員は新しいスキルを身につけ、それが企業にとっても新しいアイデアを生む源泉になるだろうと言います。

 

 

 

・どうなりたいのか、どうしたいのか・

 

その上で石倉氏は個人と企業に対して、それぞれに提言。

 

個人に対しては、

「あなたは誰で、どこへ行こうとしているのか、ということを私たちは常に考える必要があるんです。個人の人生を、自分自身でデザインしなければなりません。『正しい人生』というものがあるんだという感覚が強く、レールから外れるのが怖くて、1歩を踏み出す自信がない。自信は他の人が与えてくれるものではなくて、『自分は出来る』『自分はなれる』と信じるか信じないかなんです。自分のストーリーを書く、ということです。」

 

企業に対しては、

『私たちはこういうことを目指しています』と、長期的な視点から目標を明示すること。それに賛同してくれる人に来て欲しい、一緒にやりましょうとはっきり言うこと。個人で出来ることには限りがある一方で、企業は人を集めて、大きなプロジェクトを進めるための機会を提供することが出来ます。人材の囲い込みをするのではなく、外に向けてオープンにして、『私たちの作ろうとしている世界に賛同してくれる人、一緒に来ませんか』と言うことが必要です。色々な人が企業に必要なわけですから。」

 

個人も企業も、これまでの前例にとらわれることなく、「どうなりたいのか」「何を成し遂げたいのか」を主軸にし、能動的に考えていく。石倉氏は、常に前向きな言葉を投げかけます。

 

 

 

 

 

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