2011.7.22更新 

 バージニア・リー・バートン作

『ちいさいおうち』

 

『教文館 子どもの本のみせ ナルニア国』店長の川辺陽子さん
がすすめる絵本の3冊目は、バージニア・リー・バートンの
『ちいさいおうち』です。

 

ナルニア国 012.jpg 『ちいさいおうち』
バージニア・リー・バートン作 石井桃子訳 岩波書店刊

 

「きょうの絵本」でこの絵本が登場するのは種村由美子さんのとき、
バックナンバー(今日の絵本/2011.5.30更新)に続いて2回目です。
取材させていただいた2店の店長さんふたりがたてつづけに
選ばれたことに、この絵本の素晴らしさを再認識するとともに
3.11以降の日本をとりまく厳しい現実を振り返らずにはいられ
ませんでした。


あの穏やかな時間の流れのなかで、いつもそこにたたずんで
変わらない『ちいさいおうち』の存在。
小さい子は小さい子なりに、おとなは深く深く、いくつになっても
読める美しい絵本です、と川辺さん。
どうなるんだろうとハラハラされられますが、最後は自然の中に
戻り幸せをつかむことができる『おうち』に一緒に素直に喜べる
ことが、この絵本の最大の魅力であり、忘れられない1冊にして
いますともおっしゃっていました。


川辺さんの言葉を聞きながら、今の日本は、日本の国土は
あるいは未来の子どもたちは、
これまでの私たちと同じように素直にこの”共感”を覚えることが
できるのだろうか、とふと不安な気持ちも覚えました。
『おうち』のように、日本は自然をとりもどし幸せになれるだろうか、
いやむしろ、よりいっそう自然と幸せをとりもどした『おうち』への
思いが強まっているかも、
などなど、これまでとは違った見方をしている自分に気づき
ました。


なんともやっかい(!)なことになりました。


この絵本を知らない方がいたら、ぜひ読んでいただきたい、
今こそ読んでいただきたい1冊です。(ミヤタ)

 

 

 2011.7.22更新 

  モーリス・センダック作

 『かいじゅうたちのいるところ』

 

『教文館 子どもの本のみせ ナルニア国』店長の川辺陽子さん
おすすめの2冊目は、現代絵本の先駆者モーリス・センダックの
『かいじゅうたちのいるところ』です。
この絵本は昨年、スパイク・ジョーンズによって映画化もされ、話題
となりました。

  

 ナルニア国 003.jpg

 『かいじゅうたちのいるところ』
モーリス・センダック/作 神宮輝夫/訳 冨山房/刊

 

無邪気な子どもの心があれば
すーっと物語の世界に入り込める

川辺さんにとってこの絵本は、
「子どものころみた記憶があって、とてもインパクトがあったこと
をはっきりと憶えています」という魅力ある1冊だそうです。 

いたずら少年マックスは、おおかみの着ぐるみを着て大暴れした
ため、罰として夕ごはんを抜かれ、寝室に放り込まれます。
ところが寝室はすぐに森に変身。そこは海へと続いていて、
マックスと読者の夢のような冒険の始まり始まり! 

マックスは恐ろしいかいじゅうの国の王様になって、彼らを従えて
かいじゅう踊りをするのですが、クライマックスのそのシーンには
文字がいっさいありません。
それが見開きで3場面ほど続くのですが、川辺さんはおとなに
なって読み返して初めてそのことに気づいたそうです。 

この本は心理学的に「心が解放される」と分析されているのです
が、大きな声でワーと叫び、足をドンドンと踏み鳴らし、高い木の
枝にヒョイヒョイとぶら下がるそのシーンで、子どもだった自分は
ものすごく絵本の中に入り込んでいて、だから文字がなかったこと
に気づかなかったのではないか。もしもおとなになって初めて出会
った絵本だったら、そのことがわからなかったのではないだろうか
と思ったそうです。 

子どものときに出会ったからこそ、何かわからないけれども、もの
すごくチカラがあるということを感じ取れる。何もかもすっとばして
そこにドカーンと入れるのは子どもの心ならではかもしれません。
子ども時代に出会ってほしい本だと川辺さんは強くすすめられて
いました。

 

●モーリス・センダックについて 

モーリス・センダックは、1928年、米・ニューヨークのブルックリン
生まれ。両親はポーランド系ユダヤ人で、一家はユダヤ系の
ゲットーに暮らしていました。幼い頃から病弱だったセンダックは
早くから絵本に親しみ、とくに同じ年生まれのミッキーマウスの
大ファンでした。そして12歳のとき両親に連れて行ってもらった
ディズニー映画『ファンタジア』にとても感化されました。
それは彼の作風にも多大な影響を及ぼし、たしかに『かいじゅう
たちのいるところ』のストーリー展開や場面構成など、その気配を
十分に感じることができます。
彼はこの作品によって1964年、コールデコット賞を受賞しました。
(なお、コールデコット賞については、バックナンバーNo.26を
ご覧ください)

  

  ナルニア国 002.jpg

いかにもかいじゅうが出てきそうな幻想的な
島の雰囲気。けっしていやな感じではない
ところが素敵です。(ミヤタ)                  

 

2011.7.11更新

三浦太郎作

『くっついた』

 

当ブログのバックナンバー(街の絵本屋さん/2011.6.23更新)で
取材させていただいた
『教文館 子どもの本のみせ ナルニア国』
店長の川辺陽子さん
から、「絵本のチカラプロジェクト」に
おすすめの絵本を3冊選んで
いただいています。
まずは三浦太郎さんの『くっついた』をご紹介します。

  

ナルニア国 009.jpg『くっついた』
三浦太郎/文・絵 こぐま社/刊

       

子どもの気持ちにすっと入っていって
おとなもその世界でいっしょに遊べる凄い本です

川辺さんが絵本屋さんでのお仕事を始められて以来、お客さまの
反応にいちばん驚いたのがこの絵本だったそうです。
ストーリーはいたって単純です。
「きんぎょさんと きんぎょさんが」という文字と2尾のきんぎょが
離れて向き合っている絵で最初の見開きが始まります。
ページをめくると、「くっついた」という文字と2尾の金魚が顔と顔を
正面からくっつけている絵。
こんな調子で「あひるさん」「ぞうさん」「おさるさん」と続きます。
そして「おかあさんと わたしが」「くっついた」。
最後には、「おとうさんも くっついた」で終わる絵本です。
この絵本が小さい子どもに圧倒的な人気を博しているそうです。

  

 くっついたアヒル全部.jpg

 次々とおさかなや動物がくっついていって・・・

  

 くっついた3人.jpg

 わたしとおかあさん、おとうさんもくっついた!
子どもの笑顔がほんとうに嬉しそうで
思わずほほえんでしまいます。

  

おとなだったら、わかりやすいストーリーと絵がいいのかな? で
終わってしまいそうなぐらい単純な絵本なのですが、お店での
子どもの反応は違っていたそうです。
子どもはおとうさんやおかあさんにこの絵本を読んでもらうとき、
「くっついた」「くっついた」と自然に言葉を重ねているのです。
そして最後の親子でくっつくシーンでは、どの親子ももれなく
”くっついた”とやっています。

なんて凄い本なんだ、と感動した川辺さん。
子どもの気持ちのなかにストレートにこの絵本が入っていって、
おとうさんおかあさんの気持ちのなかにもこの絵本が入っていって
いっしょになって遊んでいる。
絵本が親と子をつないでいる光景を目の当たりにして、
ああいいなあ、凄くいいなあと思ったそうです。

また、新米のおとうさんやおかあさんが赤ちゃんとどう向き合えば
いいか不安に思ったときも、この絵本によって自然なスキンシップ
が生まれたり、絆がもてたりするのではないかと考え、この絵本を
赤ちゃんのお誕生ギフトにおすすめして大好評だそうです。

 

  ナルニア国 034.jpg

 店内のオリジナルグッズのコーナーには
『ナルニア国』のロゴマークがついた可愛い雑貨
があふれてました。このロゴマークのデザインは
『くっついた』の三浦太郎さんによるもの。 
実は『ナルニア国』は、『くっついた』が
日本一売れる絵本屋さんだそうです。(ミヤタ)

                     

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