2011.7.22更新 

  モーリス・センダック作

 『かいじゅうたちのいるところ』

 

『教文館 子どもの本のみせ ナルニア国』店長の川辺陽子さん
おすすめの2冊目は、現代絵本の先駆者モーリス・センダックの
『かいじゅうたちのいるところ』です。
この絵本は昨年、スパイク・ジョーンズによって映画化もされ、話題
となりました。

  

 ナルニア国 003.jpg

 『かいじゅうたちのいるところ』
モーリス・センダック/作 神宮輝夫/訳 冨山房/刊

 

無邪気な子どもの心があれば
すーっと物語の世界に入り込める

川辺さんにとってこの絵本は、
「子どものころみた記憶があって、とてもインパクトがあったこと
をはっきりと憶えています」という魅力ある1冊だそうです。 

いたずら少年マックスは、おおかみの着ぐるみを着て大暴れした
ため、罰として夕ごはんを抜かれ、寝室に放り込まれます。
ところが寝室はすぐに森に変身。そこは海へと続いていて、
マックスと読者の夢のような冒険の始まり始まり! 

マックスは恐ろしいかいじゅうの国の王様になって、彼らを従えて
かいじゅう踊りをするのですが、クライマックスのそのシーンには
文字がいっさいありません。
それが見開きで3場面ほど続くのですが、川辺さんはおとなに
なって読み返して初めてそのことに気づいたそうです。 

この本は心理学的に「心が解放される」と分析されているのです
が、大きな声でワーと叫び、足をドンドンと踏み鳴らし、高い木の
枝にヒョイヒョイとぶら下がるそのシーンで、子どもだった自分は
ものすごく絵本の中に入り込んでいて、だから文字がなかったこと
に気づかなかったのではないか。もしもおとなになって初めて出会
った絵本だったら、そのことがわからなかったのではないだろうか
と思ったそうです。 

子どものときに出会ったからこそ、何かわからないけれども、もの
すごくチカラがあるということを感じ取れる。何もかもすっとばして
そこにドカーンと入れるのは子どもの心ならではかもしれません。
子ども時代に出会ってほしい本だと川辺さんは強くすすめられて
いました。

 

●モーリス・センダックについて 

モーリス・センダックは、1928年、米・ニューヨークのブルックリン
生まれ。両親はポーランド系ユダヤ人で、一家はユダヤ系の
ゲットーに暮らしていました。幼い頃から病弱だったセンダックは
早くから絵本に親しみ、とくに同じ年生まれのミッキーマウスの
大ファンでした。そして12歳のとき両親に連れて行ってもらった
ディズニー映画『ファンタジア』にとても感化されました。
それは彼の作風にも多大な影響を及ぼし、たしかに『かいじゅう
たちのいるところ』のストーリー展開や場面構成など、その気配を
十分に感じることができます。
彼はこの作品によって1964年、コールデコット賞を受賞しました。
(なお、コールデコット賞については、バックナンバーNo.26を
ご覧ください)

  

  ナルニア国 002.jpg

いかにもかいじゅうが出てきそうな幻想的な
島の雰囲気。けっしていやな感じではない
ところが素敵です。(ミヤタ)                  

 

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