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谷口正和 プロフィール

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2010年12月24日

オピニオン・ダイバーシティ。

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北山創造研究所の北山孝雄代表から

『エナジーリンク&北山創造研究所』

(Energy Link Publishing)という冊子をお送りいただいた。

浅葉克己氏、石井リーサ明理氏、栗城史多氏などが寄稿している。

様々な分野からの様々なオピニオン・ダイバーシティ本であるが、

これがなかなか面白い。

新しい発想は多様なオピニオンの組み合わせから生まれるのだろうが、

生命もアイデアもみな同じ、

その根底にあるのはダイバーシティなのだ。

多様性は環境の問題だけではなく

、実はアイデアの問題でもあることに気づかされた。

2010年12月22日

教育と学習。

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時代がハードからソフトへ、経済から文化へとシフトすれば、

重要になってくるのは人材である。

人材とは国の財産、つまりは「人財」である。

 

元東京海上火災保険の社長で、

現在は名誉顧問の河野俊二氏が、

日本を憂う気持ちを込めて書かれた

『私の教育改革論~21世紀を見据えて』

(日経事業出版センター)を上梓された。

「戦後日本の教育制度を原点から問い直し、

改革の道を示す」と帯にある。

氏は小渕、森内閣の「教育改革国民会議」の委員であり、

企業人の立場から長年、日本の教育制度改革に取り組んできた。

そのご意見は傾聴に値する。

河野氏は現在83歳、そのエネルギーにも感服する。

 


一方、教育とは学習である。

教育が教え込むものなら、学習は自ら学ぶものだ。

教育を学習の視点から見ることもまた大事だろう。

 

 


 

2010年12月20日

心理の市場。

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いまや心理市場以外の商品はない。

どのようなプロダクトもサービスも、

そこに新しい変化が起きている時は、

必ず顧客の心理に変化が起きている。

その心理の変化と動向を察知し、

そこからマーケティングを組み立てていく時代なのだ。

 

女性の下着という一大市場を発掘し、

常にこの分野のリーダーシップをとり続けるワコールが

『下着の社会心理学~洋服の下のファッション感覚』

(朝日新書)という本を出した。

著者は女性心理研究の大家である菅原健介氏

(聖心女子大学文学部教授)と、

ワコールが主宰する女性の心理と下着を研究するサイト

cocoros(ココロス)研究会で、

20代から70代まで約1万人の女性調査から

分かったポイントを具体的にまとめてある。

当社のプランナー藤本真穂もこのココロスメンバーの一員である。

最近はわざわざ下着を見せることがファッションにまでなっている。

すべては心理の出来事なのだが、

おしゃれと美意識、ファッションとセクシーは、

実に人間だけの不思議なイベントなのかもしれない。

どのようなマーケットも、その冠に「心理」と「社会」をつけて考える時代が来た。

 


 

2010年12月15日

精神の冒険家。

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東大名誉教授で優れたコメンテーターでもある月尾嘉男氏から

数葉の絵葉書をお送りいただいた。

氏はただいま、世界を漂流中であるらしい。

「月尾嘉男の洞窟」というサイトを見させていただいた。

ITの伝道師そして精神の冒険家「月尾嘉男の洞窟」とある。

<「環境」と「情報」を融合させる秘訣がここにある>とも。

現在カヌーで世界中の水のうえを自在に航行中であるようだ。

誠に自由に伸びやかに世界を観察中である。

真の知性にとって、遊びと仕事の区別はない。

世界自由旅行の後に月尾氏がどのようなオピニオンで

再びジャーナリズムの前面に出てくるのか、楽しみなことである。

 

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2010年12月14日

日本と自然と文化。

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資生堂名誉会長の福原義春氏から

『季節を生きる』(毎日新聞社)をお送りいただいた。

相変わらず深い思索に包まれた本である。

日本人の生き方は、月の暦である太陰暦を軸とし、

二十四節気、さらには二十四節気をそれぞれ3つに分けた

七十二候を旨として生きるべきであると説く。

七十二候はそれぞれ5日間くらいらしい。

ある動物カメラマンが獣道に伏せてじっと動物を待っていると、

1週間くらいの単位で自然が変わっていくのを体感するという。

七十二候が日本の季節サイクルなのかもしれない。

太陽暦で生きるようになってから、

私たちは日本の季節が持っている

微妙な変化を忘れてしまったようである。

福原氏は、日本の数少ない教養人の1人である。

傾聴すべきことが多い本だ。

2010年12月13日

つぶやきの伝道者。

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このブログでもたびたび紹介してきたが、

一条真也氏は大手冠婚葬祭業の社長であり、

かつては大手広告代理店のスター営業だった人だ。

最近の彼の著述を見ると、伝道者のようである。

本書『140字でつぶやく哲学』(中経文庫)は、

今人気のツイッターにならって、

140字で世界の哲学者の思想を解説して見せようというものである。

たとえばカントの批判哲学は

「『批判』というと、『相手に文句を言ったり、けちをつける』という感じだが、

しっかり検討するという意味。

検討哲学といえば誤解も少なかったのではなかったろうか」

といった具合だ。

最近は池上彰氏などのように、

分かりやすく短く的確に説明してくれる人が人気である。

情報過多によってがんじがらめになってしまった社会は、

常に分かりやすく、短く、的確に、である。

一条氏もまたそうである。

2010年12月 9日

ベンチャーの時代。

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私も参加している「ベテランの会」のメンバー、湯川抗氏が、

SBI大学院大学学長の北尾吉孝氏が

まとめられた『起業の教科書』(東洋経済新報社)で

「ベンチャー企業の戦略からみた事業計画書」

という原稿を執筆している。

湯川氏はベンチャービジネスの専門研究家であり、

ベンチャービジネスに関する多様な意見を持つ

オピニオンリーダーである。

 


私はいまの日本に必要なのはベンチャーであると思っている。

学生の就職動向を見ても、大企業志向がますます強くなっている。

これでは日本に活気は戻らない。

生活者と市場が出してくる課題をいかに新しい視点で解決するか。

つまり課題解決者としてのベンチャースピリットが必要なのである。

若者よ、起業せよ、そう強くいいたい。

2010年12月 8日

コンセプト・ブック。

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私もたまに立ち寄るモロッコ料理の店「ダール・ロワゾー」が、

コンセプト・ブックと呼べる本を出した。

『クスクスとモロッコの料理』(毎日コミュニケーションズ)

という本である。

モロッコ料理のレシピを紹介しているが、

そこには店のこだわりと哲学ともいうべき香りが匂いたつ。

 

これからはコンセプトが消費される時代である。

考え方や思想が顧客を惹きつけるのだ。

物は心理によって動くのである。

どのような企業も事業も、

自らの哲学を語るコンセプト・ブックが必要だろう。

2010年12月 1日

キャリア・パスを生きる。

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岸本秀一氏は、私が教鞭をとる

立命館大学院経営学研究科の優秀な学生であった。

元はサンスター株式会社の研究者で、

現在は金沢星稜大学の講師を務めている。

彼は自らのキャリア・パスを描き、

その通りに進んでいるようだ。

 

キャリア・パスとはご存じの通り、

過去の職歴から現在の職務を通して今後の職歴まで

一貫して俯瞰するキャリアプランである。

その彼が書いた本『<顧客ニーズに応える>とは何か』

(文理閣)が送られてきた。

一読感じたのは、ドラッカーに見られる原理原則の重視である。

ますます混迷と変化の時代、

何よりも重要なのは、原理原則からものを見るということである。

原理原則から見れば成功の理由も分かり、

また失敗の理由さえも分かる。

事実とデータと分析から出てきた戦略論である本書を、

ぜひ皆さんにお薦めしたい。

岸本氏のキャリア・パスに励ましの言葉を送りたい。

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