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谷口正和 プロフィール

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2017年1月30日

江戸春秋かわら版

 

日本人のオリジナリティが形成された近代史の中でも特に注目すべき江戸。個性を問われる21世紀社会において、江戸への学習と興味を認識し、江戸文化に回帰しようというライフスタイルの構造は足元への最注目を喚起する。
信心や旅など、人生の中でのけじめとしての時の刻み方、昨今一人旅が常態化している構造からは、日本人の精神が江戸の中に戻ろうとしているような気配がうかがえる。
我々のストック財の宝庫である江戸。その認識を共有し、この島国の千年の知恵と意識を再度社会財化させる試みが今求められている。
二十四節気 七十二候が代表する江戸のライフスタイルを、現代の生活へ興味深く落とし込むべく立ち上げた江戸美學研究会は7年目を迎え、その活動をリポートした江戸春秋瓦版がこの度発行された。
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ご興味のある方は担当(03-5457-3024)までご連絡されたい。

日本人のオリジナリティが形成された近代史の中でも特に注目すべき江戸。個性を問われる21世紀社会において、江戸への学習と興味を認識し、江戸文化に回帰しようというライフスタイルの構造は足元への最注目を喚起する。

 

信心や旅など、人生の中でのけじめとしての時の刻み方、昨今一人旅が常態化している構造からは、日本人の精神が江戸の中に戻ろうとしているような気配がうかがえる。

我々のストック財の宝庫である江戸。その認識を共有し、この島国の千年の知恵と意識を再度社会財化させる試みが今求められている。

二十四節気 七十二候が代表する江戸のライフスタイルを、現代の生活へ興味深く落とし込むべく立ち上げた江戸美學研究会は7年目を迎え、その活動をリポートした江戸春秋かわら版がこの度発行された。

 

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ご興味のある方は担当(03-5457-3024)までご連絡されたい。

 

2017年1月23日

老舗の流儀 虎屋とエルメス

 

虎屋の17代目経営者である黒川光博さんから『老舗の流儀 虎屋とエルメス』(1600円税別 新潮社)をいただきました。
エルメスの180年、虎屋の500年、両者ともに継続と伝承を活性する改革を常に断行してきた。
今は長く続くことを価値づけられる事業が重要視される文化の時代。
虎屋やエルメスがどのように認識を深めてきたのか、世界の中でも長寿企業の多い日本、虎屋はそれを代表する老舗であり、学ぶところが大きい。
この本は継続そのものを価値とする社会の優れたヒントの集約である。

虎屋の17代目経営者である黒川光博さんから『老舗の流儀 虎屋とエルメス』(1600円税別 新潮社)をいただきました。

 

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エルメスの180年、虎屋の500年、両者ともに継続と伝承を活性する改革を常に断行してきた。

今は長く続くことを価値づけられる事業が重要視される文化の時代。

虎屋やエルメスがどのように認識を深めてきたのか、世界の中でも長寿企業の多い日本、虎屋はそれを代表する老舗であり、学ぶところが大きい。

この本は継続そのものを価値とする社会の優れたヒントの集約である。

 

2017年1月16日

琉球人の肖像

 

『琉球人(うちな〜んちゅ)の肖像』(スイッチ・パブリッシング 税別1800円)は、沖縄の人々一人ひとりのパーソナリティにスポットを当て、読むのではなく見るビジュアルインタビューである。
我々はインタビューをコメントデータとして捉えるが、80年代から30年近くかけて撮影されたという本書からは肖像の中に閉じ込められている過去と未来の集約として、個人に語りかけ撮影された無言のメッセージが嗅ぎ取れる。
著者の垂見健吾さんは長野県生まれ、文藝春秋を経てフリーランスとなり、今は那覇市に在住している。
世界各地のビジュアルインタビューを敢行し、今日のコミュニケーションの原則論からも大きな意味を投げかける。

『琉球人(うちな〜んちゅ)の肖像』(スイッチ・パブリッシング 税別1800円)は、沖縄の人々一人ひとりのパーソナリティにスポットを当て、読むのではなく見るビジュアルインタビューである。

 

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我々はインタビューをコメントデータとして捉えるが、80年代から30年近くかけて撮影されたという本書からは肖像の中に閉じ込められている過去と未来の集約として、個人に語りかけ撮影された無言のメッセージが嗅ぎ取れる。

著者の垂見健吾さんは長野県生まれ、文藝春秋を経てフリーランスとなり、今は那覇市に在住している。

世界各地のビジュアルインタビューを敢行し、今日のコミュニケーションの原則論からも大きな意味を投げかける。

 

2017年1月11日

草間彌生、たたかう

草間彌生、たたかう
文化勲章も受賞し権威となった草間彌生だが『草間彌生、たたかう(ACCESS 税別2300円)』には、夢を抱いて世界に飛び出していく少女時代を経て、全てが戦いの対象であった女流美術家としての生き様が描かれている。
新境地をニューヨークに求め、シアトルの町にあった敷金20ドルの狭いアトリエで一生懸命絵を描き、トラックを借りるカネもなくホイットニー美術館まで作品を肩に担いで通ったそうだ。
画商に徐々に認められてからは既存の価値に切りつけるような表現の戦士として、精神と命そのものを作品に込めてきた。
今日、社会評価を勝ち取っている女性の先頭に立っているのが草間彌生であると私は見切っており、彼女を特に応援し、共感する気持ちは以前から強く持っていた。
本書は手作りと思いの輻輳に貫かれた、生き方のリポートである。

文化勲章も受賞し権威となった草間彌生だが『草間彌生、たたかう(ACCESS 税別2300円)』には、夢を抱いて世界に飛び出していく少女時代を経て、全てが戦いの対象であった女流美術家としての生き様が描かれている。

 

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新境地をニューヨークに求め、シアトルの町にあった敷金20ドルの狭いアトリエで一生懸命絵を描き、トラックを借りるカネもなくホイットニー美術館まで作品を肩に担いで通ったそうだ。

画商に徐々に認められてからは既存の価値に切りつけるような表現の戦士として、精神と命そのものを作品に込めてきた。

今日、社会評価を勝ち取っている女性の先頭に立っているのが草間彌生であると私は見切っており、彼女を特に応援し、共感する気持ちは以前から強く持っていた。

本書は手作りと思いの輻輳に貫かれた、生き方のリポートである。

2017年1月 5日

marimekko

 

北欧は感性のソフトを重視しデザインに対する着想を早くから成熟させていた。デンマークはインテリアを中軸にロイヤルコペンハーゲンを生み、スウェーデンはIKEAに代表されるような自然共生型の室内を作る感性を育んでいる。
ムーミンと並び、フィンランドを代表する文化圏を形成しているマリメッコ。その優れたクリエイティビティを示すエキシビションがBunkamuraで催されていたので早速私も鑑賞した。
来場者の傾向としてはデザインの重要性に気づいた上で、職種の中にもデザインやクリエイティビティを導入したいと思っている人が多かったように感じる。
そもそもマリメッコは女性のクリエイターが一人で立ち上げたクラフトマンシップ精神に基づいたブランドだ。
パターン、柄や模様、テキスタイルデザインの発芽点があり、その中で人気を博したものが生活用品にハンドメイドされ、豊かな個性を保ちつつ、ホームミュージアムの匂いのするクリエイティビティを醸造している。様々な生活美学への提案と市場から支持を得たものの継続を回してきたことが成長の鍵だ
日本人デザイナーも男性2名が参加をしており、脇阪克二さんが有名だ。
感性や共感を軸足にデザインが次の時代の波を呼び、社会活動や企業構造を経営におけるデザイン戦略そのものと見切っている。丁寧な手作り型の図柄とイラスト、版画と同じような回数化の構造を内包している。日本の江戸文化にも見られるような精巧さがあり、作って売るという丁寧なビジネス感覚がマリメッコを伸ばしたのだと思う。ブランド名は、マリーのドレスという意味を冠されており、実際に欲しいものを売るという考え方は他のジャンルでも広く浸透している。感性先行マーケットのパイオニアということだ。
フィンランドは私も繰り返し訪問したが、500万人クラスの国で世界に向かってのストーリーをプレゼンするメッセージは注目に値する。
ムーミンも、マリメッコも、内と外を分けない中間の感性に引き寄せられたストーリーによって成長をしている。
Bunkamuraで2月12日まで行われているデザインカンパニーのビジネスストーリー。共感し学習できる機会である。

北欧は感性のソフトを重視しデザインに対する着想を早くから成熟させていた。デンマークはインテリアを中軸にロイヤルコペンハーゲンを生み、スウェーデンはIKEAに代表されるような自然共生型の室内を作る感性を育んでいる。

ムーミンと並び、フィンランドを代表する文化圏を形成しているマリメッコ。その優れたクリエイティビティを示すエキシビションがBunkamuraで催されていたので早速私も鑑賞した。

来場者の傾向としてはデザインの重要性に気づいた上で、職種の中にもデザインやクリエイティビティを導入したいと思っている人が多かったように感じる。

 

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そもそもマリメッコは女性のクリエイターが一人で立ち上げたクラフトマンシップ精神に基づいたブランドだ。

パターン、柄や模様、テキスタイルデザインの発芽点があり、その中で人気を博したものが生活用品にハンドメイドされ、豊かな個性を保ちつつ、ホームミュージアムの匂いのするクリエイティビティを醸造している。様々な生活美学への提案と市場から支持を得たものの継続を回してきたことが成長の鍵だ

日本人デザイナーも男性2名が参加をしており、脇阪克二さんが有名だ。

感性や共感を軸足にデザインが次の時代の波を呼び、社会活動や企業構造を経営におけるデザイン戦略そのものと見切っている。丁寧な手作り型の図柄とイラスト、版画と同じような回数化の構造を内包している。日本の江戸文化にも見られるような精巧さがあり、作って売るという丁寧なビジネス感覚がマリメッコを伸ばしたのだと思う。ブランド名は、マリーのドレスという意味を冠されており、実際に欲しいものを売るという考え方は他のジャンルでも広く浸透している。感性先行マーケットのパイオニアということだ。

フィンランドは私も繰り返し訪問したが、500万人クラスの国で世界に向かってのストーリーをプレゼンするメッセージは注目に値する。

ムーミンも、マリメッコも、内と外を分けない中間の感性に引き寄せられたストーリーによって成長をしている。

Bunkamuraで2月12日まで行われているデザインカンパニーのビジネスストーリー。共感し学習できる機会である。

 

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