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谷口正和 プロフィール

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2017年9月 4日

シニア社会の未来像

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1週間、サルディーニア島に行ってきました。

地中海に浮かぶイタリアの島で食文化もさることながら、

海沿いはヨーロッパ屈指のリゾート地でダイアナ妃も訪れたことで有名なところ。

しかし、今回、私が訪れたのは、その内陸部にあたります。

 

サルディーニアには、いくつかの小さな村が分散しています。

我々が宿泊したホームホテルは地産地消のアグリツーリズムの概念に近いホテルで、

故郷の大家族の家に立ち戻ったような癒しの場でした。

 

サルディーニア島訪問の理由は、長寿健康の研究です。

この島には、90歳を超えた高齢者が多くいるものの、

注目すべきは全員が生涯現役だということです。

まさに年齢を問わない暮らしそのものが存在していました。

 

そこに変化と成長という資本主義を象徴する価値観ではなく、

「継続」という安寧を求める価値観が広がっていました。

 

そして暮らしに安心感をもたらすのは肉親・友人・知人で構成する「擬似家族」です。

サルディーニア島には、その擬似家族が生活村として成立していました。

 

一方で、今回の旅と一緒にご紹介するのは

『限界費用ゼロ社会』というジェレミー・リフキンの翻訳本です。

 

IoT時代は、効率性を極限まで高め、新たなサービスを生み出します。

その中、従来型のコストをゼロベースで見直していく必要があります。

それは、やがて訪れる資本主義の衰退を意味しています。

 

新たな経済思想としてシェアリングエコノミーが高まっていきます。

 

サルディーニアの村社会にはオール共同というライフスタイルから、

所有をゼロにしたシェアライフという風景がありました。

 

このコミューン型のライフスタイルが思想ではなく、サービスの中にあり、

コストとリスクが社会化していくことで、やがて限界費用もゼロとなる予測がこのゼロ社会の提言本。

 

今後、金銭的な資本の収益構造ではなく、暮らしの継続こそが価値を持ち、

その実現に向け、互いに生かしあう社会が到来します。

 

安定の先ある平和とは、とても価値ある世界です。

シェアソサエティを超えた豊かさの根源となる

新たなフレームワークとしての幸福価値社会が求められているのではないか。

 

これらの中にある継続する力に関係づけ、このお話をお届けしたい。

 

出版:NHK出版

価格:2400円(税別)

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