江戸の生活文化: 2010年7月アーカイブ

去る7月31日は隅田川花火。
今年は前日に400メートルを超えたばかりのスカイツリー効果も
手伝ってか観客は約95万2000人(主催者発表)。
打ち上げられた花火は2万発。
1時間半にわたり華やかな大輪の花が夜空に咲いた。

隅田川の花火の始まりは、今から277年前の享保18年(1733)に
八代将軍吉宗が前年の大飢饉と疫病コロリ(コレラ)による死者の霊を
慰めて厄災を払うために隅田川両国で川開きを行い、
花火を上げさせたのが始まりといわれている。
朝顔に引き続き、能書きはよしとして花火をご堪能あれ。
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爆音と振動、微かに流れてくる火薬の匂いがお伝えできないのが残念。
涼しい家でのテレビ中継もよいが火の粉の降るさまを
間近で体験してほしいもの。
江戸の時代から受け継がれた夜の美は妖しくもあり、儚くもあり……、
まさに真夏の夜の夢。


「妊娠中の食生活は、
日本の土地で単純な農業によって
自然につくられたものを、少しだけ食べるといいです。
江戸時代や明治時代の食生活がいいのです。
自然の法則にしたがって生きていた頃の食べ物を食べることで、
かつてのような自然なお産ができるようになっていきます」。

そう語るのは愛知県岡崎市の産婦人科医、吉村正氏。
自然なお産を追求してきた吉村氏は1999年夏、江戸時代の伝統的建築工法で
「お産の家」を真実のお産のための、究極のお産施設として創り上げた。
自身が「古屋(ふるや)」と呼ぶように
この家は江戸時代、250年以上前の茅葺屋根の古民家を
愛知県北部の足助から移築したものだ。
吉村医院「お産の家」⇒http://www.ubushiro.jp/

妊婦たちは「お産の家」に毎日集い、古典的労働を行うという。
鋸で木を切り、斧で薪を割り、井戸で水を汲み、
古屋の床や壁を雑巾で拭く……。
臨月の大きなお腹をかかえ、しっかり薪を割り、
単純作業のリズムがとても気持ちがいい、と言う。
そんな「お産の家」のドキュメンタリー『玄牝(げんぴん)』が
この秋公開される。
河瀬直美監督最新作だ。公式HP
http://genpin.net/
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近著『いのちのために いのちをかけよ』(地湧社)には
 次世代へ江戸のお産の素晴らしさをつなげたいという、
吉村氏の強い願いが詰まった一冊。
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吉村正氏は78歳になるが現役の産婦人科医。今まで2万例以上の赤ちゃんを取り上げている。

今回、江戸は江戸でも少し違ったかたちと相成ったが、
人間のあるべき姿がそこにある江戸の生活文化。
昨今の江戸回帰ブームは、そんな命や生き方への憧憬でもあるのだろう
と思いご紹介させていただいた。

原文については、江美研コラム、高城良子さんの「江戸の子育て」をどうぞ。
吉村氏の講演を聞いた高城さんの
心情が綴られています。
http://www.jlds.co.jp/ebi-column/kosodate/

江戸美学研究会では、メンバーを募集しております。
江戸の文化を一緒に楽しんでいただける方、ぜひ、ご登録ください。

https://www.jlds.co.jp/ebilab/moushikomi.html

功徳日(くどくにち)とは寺社に参詣すると大きな功徳を
得られるとされる特別な日です。
7月10日の四万六千日(しまんろくせんにち)は
そのご利益は46,000日分に相当すると言われています。

浅草の浅草寺では四万六千日のご縁日にちなんで
7月9日・10日は「ほおずき市」が開かれ多くの参拝客が訪れます。

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さっそくお参りしておきましょう。
雷除けは、四万六千日の9日、10日限り授与されるものです。

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10日は暑い一日でしたが、そこは四万六千日。
仲見世から境内にかけて普通に歩けないぐらいの人出でした。
境内には よしず張りの露店が並び、お姐さんたちの
威勢のよい掛け声が飛び交っています。

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ほおずきは下から順番に赤く実るんですね。

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ほおずきの他に、釣りしのぶも売っています。

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朝顔市とともに、ほおずき市は江戸の賑わい。
夏の暑さを忘れさせてくれるひと時でした。

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7月8日、朝。合羽橋で七夕飾りの名残を横目に見ながら入谷へ。
6日から始まった朝顔市……、8日の今日は最終日。

長屋暮らしをしながらも鉢を置き、季節を楽しむ江戸っ奴たち。
そんな人々の暮らしをみた外国人は、身分に関係なく花を愛でる
姿をみて、その文化度の高さに驚いたという。

朝顔は江戸時代から親しまれた夏の花。
品種改良しやすいことから
入谷あたりに住む武士が内職としていたという。
当時は黄色い花を咲かすものもあったそうだが……。
今もそれぞれに目を楽しませてくれる。
曜白、桔梗咲き、団十朗…、あれも、これも、みんな朝顔。

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今年の人気は、ひと鉢で4色の花が咲くもの。
鬼子母神(正式な鬼の地は子育の善神であることからツノがない)で、
朝顔市のときだけの小さなお守りを買う。
南無妙〜の声とともに切り火で清めてもらうと、心も洗われる。
花の美しさだけでなく、江戸情緒も一緒に楽しむ朝顔市。
行きそびれてしまった人は、18日・19日に小石川の伝通院へどうぞ。
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