2012.6.8更新

猫好きなあなたへ贈る

ミステリアスで優雅で可愛らしい

猫の絵本 5選

  

今年3月30日付の絵本のチカラでは
「犬」にテーマを絞って、とくにお気に入りの5冊をご紹介しました。
犬好きな多くの皆さまに好評でしたので
それに味をしめて(笑)!
 今回は「猫」にテーマを絞った5冊を
ご紹介いたします。

5冊の絵本をセレクトし、それぞれに文章を添えてくださったのは
メルマガ会員の飯田陽子さんです。

飯田さんは現在、文芸書を中心にフリー編集者・出版プロモーター
として活動されています。
東京大塚のアニマルシェルター・NPO法人東京キャットガーディアンに
ボランティアとしても関わっている大の猫好き。
ご自宅では4匹の猫を飼われているそうです。

飯田さんには、今回のセレクション&寄稿によって
吉田功さん、南アヤコさんに続き
”社外研究員”第3号になっていただきました!

それでは、最初の絵本はこちらです。

 

タンゲくん表紙.jpg「タンゲくん」 片山健/作 福音館書店/刊

 

タンゲくん中面.jpg


「タンゲくん」中面より 


猫の絵本といって、私が最初に思いついたのが、タンゲくん。
片山健さん独特の、自由奔放な筆致で描かれたタンゲくんは、
片目の猫です。
丹下左膳なのか、丹下段平なのか、
まあとにかく片目のキャラクターと同じ名前が、
登場する家族のお父さんによってつけられます。

ある日突然、勝手に家に入ってきて、
勝手に居着いて、家猫になるのかと思いきや
ふらっと出て行ってしまうから、謎も多い。
鳥を威嚇したり、ケンカしていたり、
家では掃除機に怯えて大騒ぎしたり…。
でもなんとなくかわいげがあって魅力的、
という野良猫そのものの生態が、
幼い女の子の目を通して描かれています。

必ずしも人間に都合がいいとは言えない、
猫らしい猫を描いた、という意味で画期的な猫絵本です。

 

2冊目のおすすめはこの絵本です。 

こねこのぴっち表紙.jpg

 「こねこのぴっち」 ハンス・フィッシャー/作 岩波書店/刊


きょうだいの猫たちと違って、
普通の猫でいるのがつまらないぴっち。
あひるになろうとしたり、うさぎになろうとしたりと
奮闘しますが、最後にはふくろうたちにおそわれて
怖い思いをしてしまいます。
熱を出したぴっちのお見舞いに来る動物たち。
みんなぴっちが大好きだから…。

自分は自分らしく生きるのが一番、
というような教訓はどうでもよくて、
ぴっちの可愛さとケーキが頭に残ります。
やっぱり猫は猫らしく描かれていないとね。

 

3冊目のおすすめ絵本はこちらです。 

  100万回生きたねこ表紙.jpg

 「100万回生きたねこ」 佐野洋子/作  講談社/刊

 

1001万回生きたねこ裏.jpg「100万回生きたねこ」裏表紙より

 

何者も恐れず、死んでも死んでも生き返ってきた雄猫が、
初めて心から愛したのは、自分に決して媚びない
毅然とした白猫。白猫が死んだとき、
雄猫も生き返ることをやめました。
この世で最も愛する相手を失ったから。

猫の登場する、あまりにも有名な絵本ですが、
実は猫の絵本として選ぶことには躊躇がありました。
なぜなら、これは人が人を愛することを描いた物語だからです。
猫でなければならなかった理由…
それが唯一あるとしたら、
猫ならではのしぶとさ、猫ならではの超然とした姿が、
ストーリーにぴったりはまったからでしょう。

 

4冊目のおすすめ絵本はこちらです。

夜にみちびかれて表紙.jpg

「夜にみちびかれて」 ロイス・ダンカン/文 
スティーブ・ジョンソン&ルー・ファンチャー/絵 BL出版/刊
 


表紙からして猫好きならよだれを垂らすだろう一冊。
一匹の猫が夜のお散歩に出る、
ただそれだけのようすが描かれています。
毛並みも美しく、とても神秘的な夜の猫。
まるで実物がそこにいて、ひょいと飛び出してくるのでは
と思うほどリアルな猫です。

でも、昼間はまったく違う顔を見せるんですよね。
人に甘えたり、知らんぷりしたり、駆け引き上手な生き物。
『かわいがって。だっこして。わたしをほめて。
しかってもいいよ。しっかりだきしめてくれるなら』
このフレーズは、きっと猫の気持ちそのものだと思いますし、
だからこそ、猫好きはこの本にズキュンとやられてしまうわけです。

 

それでは最後のおすすめ絵本です。

黒ねこのおきゃくさま表紙.jpg

「黒ねこのおきゃくさま」 ルース・エインズワース/作 山内ふじ江/絵
荒このみ/訳 福音館書店/刊

 

黒ねこ中面.jpg

「黒ねこのおきゃくさま」中面より

 

貧しいひとり暮らしのおじいさんは、
土曜の晩だけ、ちょっとぜいたくな食事を
することを楽しみにしていました。
ある土曜日、おじいさんは家に入ってきた
ずぶぬれの黒猫にミルクを与え、肉を与え、
乏しかった薪まで焚いてもてなしました。
黒猫は一晩おじいさんと過ごし、
夜が明けると雪の中を去っていきますが、
実はその黒猫は…。

この物語に描かれているのは、惜しみなく与えた者は
豊かに与えられる、という聖書の言葉どおりの世界観。
ストーリーも感動的ですが、この絵本の魅力は
なんといっても山内ふじ江さん描く黒猫の、
柔らかくリアルなかわいらしさ、優雅なフォルムです。
猫を知っている人ならだれでも思い当たる姿やしぐさが、
猫好きを惹きつけてしまうのです。
もしかすると、私の隣にいる猫も
何か意味があってそこにいるのかも、
と思いたくなる絵本です。

 

以上、5冊の絵本のご紹介、
飯田さんありがとうございました。
猫好きな方ならではのツボが、やっぱりあるんですね!
今回のブログをご覧いただいた猫ファンの皆さまも
きっと納得されたことと思います。

さて、犬、猫と続いたこの企画ですが
次回は「鳥」にテーマを絞ってやってみようかなと
思っています。

鳥好きな方で、おすすめの絵本をご存知の方は
ぜひ絵本のチカラまでご連絡ください。

皆さまのご推薦をお待ちしています! (ミヤタ)

 

 

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