江戸の生活文化: 2010年11月アーカイブ

「見立て」とは、あるものをほかのものに例えて表現すること。
日本の伝統的な表現技法であり、江戸文化の特長の一つです。
江戸時代に流行ったお座敷遊び「投扇興(とうせんきょう)」も
「見立て」を楽しむことができます。
この度体験させていただく機会がありました。

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日本教育文庫. 衛生篇および遊戯篇 同文館編輯局編

「投扇興」の遊び方は

毛氈(もうせん)という布を敷いた中央に、蝶(的)を乗せる枕(台座)を置き
その上に蝶(的)をのせます。
参加者は、枕(台座)から1メートルほど離れて座り、
交互に枕(台座)の上に乗せた蝶(的)めがけて扇を投げます。

扇を投げてうまいこと蝶(的)に当て、枕(台座)から落とすと点数が付きます。
行司役が枕(台座)のそばで、参加者が投げた扇と落とした蝶(的)の形を
その都度見立てて点数を述べます。

見立てとは、投げた扇と落とした蝶(的)のかたちに呼び名が付けられています。
流派や団体により異なる部分もあるようですが
主に「源氏物語」や「百人一首」から付けられています。
さて試合開始です…

あら?「手習」無点!
意識しすぎでしょうか、思うように扇は飛んでくれません(汗)
無点が続きます。
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扇を飛ばすコツは、紙ヒコーキを軽く飛ばすようにと教えていただきました。
当たりました「花散里一点!
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今度は「須磨」が2度も!
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偶然のチカラで、思わぬ形が出るのも「投扇興」の魅力でしょうか。

めったにないんでしょうけど…こういうのがでたらすごいことですね。
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参加者は交互に決まった数を投げたら席を交代し続けて行います。
合計点数で勝敗が決まります。

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銘定表 「神楽坂投扇興の会」より

このほか「末摘花(すえつむはな)」「紅葉賀(もみぢのが)」「絵合(えあわせ)」
「梅枝(うめがえ)」「薄雲(うすぐも)」「花宴(はなのえん)」…
『源氏物語』五十四帖の巻名が付いています。
普段の生活では耳にすることのないこれらの言葉も、気分を盛り上げてくれます。

「投扇興」は点数を競い勝敗を決めるだけではなく、
日本の伝統文化を体験できる優雅な遊びです。
今回は洋服で参加しましたが「投扇興」には着物姿が似合いますね。

神楽坂投扇興の会 
⇒(有)サザンカンパニー「かぐらむら」編集室内 tel.03-5227-2772

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