江戸の生活文化: 2010年4月アーカイブ

今年1月、江戸美学研究会に山形県の酒田市立第三中学校の先生より
修学旅行のご相談をいただいた。
東京への修学旅行中、江戸の風俗──特にファッションについての
グループ研究をしたい生徒さん達がいるが、訪ねてよいかとのこと。
思いがけないお問い合わせであった。
しかし「困ってる人は放っとけない」のが江戸の人情、江戸の美学!
ということで、実際に資料を見せていただけて、
お話を伺える取材先をアテンドさせていただくことと相成った。
今回は、修学旅行当日の様子をレポート!

4月22日(木)
朝からあいにくの雨模様。宿泊先に迎えにいくと待っていたのは女の子4人。
まずは、江戸時代の女性の髪型や化粧についてのお話をうかがうために
最寄りのポーラ文化研究所のポーラ化粧文化情報センターを訪ねる。
なぜ髪を結っていたのか、流行の髪型、どうやって手入れをしていたのか、
どのくらい髪は長かったのか、化粧の仕方、化粧道具などなど……
お話を伺いながら、資料を拝見!
お歯黒のための鉄血(かね)を再現したものも見せていただいた。
とても口に入れるものとは思えない臭いにビックリ。

DSC_7998a.jpg
一生懸命ノートに書き留める。果たして漢字は分かっているのか!? ハタと思う。

場所を合羽橋に移して、取り敢えずランチ。
移動がてら合羽橋といえば……ということで食品サンプル屋さんに立ち寄る。


DSC_7748a.jpgDSC_7755a.jpg
合羽橋の「ワッフル Y」でランチ。メニューはムール貝ときのこのショートパスタ。

訪ねた先は浮世絵版画と和小物を扱う下町木版画廊。
浮世絵の刷り方や絵から読み取るその時代背景、ストーリー、江戸の洒落
など、美人画を見ながらお話いただいた。
浮世絵には、江戸時代の風俗を読み解くヒントが隠されていて実は奥が深い。


DSC_7777a.jpg
もう少し大人になったらこの美しさを理解できる日が……。

最後に日本橋の三越前で銀座線下車。
三越の大きさとその風格に一同、驚きを隠さない。
向かう先は小舟町、この辺りは
今、TBSドラマ「新参者」の舞台、人形町にほど近い。
1842年創業の老舗、竺仙で当時の流行や現代の着物との違い、
どのくらいの値段だったのか、
ひとりどれくらいの着物を持っていたのかなどを伺い、
小紋の着尺と型紙なども見せていただいた。

DSC_8034a.jpg
小紋柄の型紙。今は数少ない職人による精緻な手仕事に見入る。

10時から15時までの短い時間の江戸の修学旅行。
この日は徐々に雨あしも強くなり、4月も半ば過ぎとは思えない寒さ。
慣れない街を歩き、混み合う電車に乗り、彼女たちはさぞ疲れたことと思う。
そして、少し難しいところもあったかもしれない。
でも少しでも江戸文化に触れ、記憶にとどめ、
江戸美学のよき理解者になってもらえれば嬉しい限り。

DSC_8026a.jpgDSC_7995a.jpgDSC_7996a.jpgDSC_7994a.jpg
小澤 翠さん、佐藤愛美さん、草深夏美さん、小池杏奈さん、お疲れさまでした。

また、今回ご協力くださいました
ポーラ文化研究所 富沢洋子さま、下町木版画廊の島田賢太郎さま、
竺仙五代目当主 小川文男さま、ありがとうございました。

【ご協力先】

ポーラ文化研究所
下町木版画廊(六華庵)
竺仙


最近の記事
バックナンバーを見る
バックナンバーを見る