
高張り提灯が夜空を彩り、静々と鳥越神社に近づいてくる―。
ま だ日のあるうちから、今か今かと宮入道中の到着を待ちかねていた群衆が一斉に歓声を上げる。6月7日、鳥越祭のハイライトは、提灯に灯りが入る夜7時過ぎ からだ。早朝7時前の宮出から宮入までは14時間以上。各町内の氏子たちの手によって渡されてきた重さ4トンの千貫神輿(本社神輿)めがけ、少しでも近付 こうと男たちが走り出す。外部の男たちに担がせまいと氏子たちは近づく者を跳ね返す。
「悔しかったら、半纏着て来い!」
揃いの祭半纏は、町内睦の団結心であり氏子のプライドである。
見物客は多いが三社祭などに比べ、観光祭の様相が薄い鳥越祭。喧嘩祭といわれるのも氏子の誇りが「よそ者のそれ」を許さないが故。
"火事と喧嘩は江戸の華"
「粋」「いなせ」「意気地」「見栄」は、江戸っ奴の美学。祭の喧嘩は、今も受け継がれるそうしたものの一部なのかもしれない。
鳥越祭の「静」と「動」
こんなこだわりが....