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2017年7月22日

情報社会から「情緒社会」への転換 月尾嘉男

 


 

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世界の人々に日本の魅力を知ってもらうことから始めなければならないと同時に、日本人は自国の文化に自信を持つべきです。

ダグラス・マグレイは文化力を「グロス・ナショナル・クール(GNC)」と表現しましたが、「グロス・リージョナル・クール(GRC)」と表現するほうが正しいと思います。

たとえば、「和食」という概念には、京料理や加賀料理など地域ごとの食文化もすべて含まれています。しかし、それぞれ違っています。工芸品についても、日本の伝統工芸品はなく、竹細工や漆器は地域ごとの伝統工芸品です。

国という枠組みを越えて地域の人たちが自分たちの特徴が魅力であるということを認識する必要があるのです。日本が乗り遅れた情報社会の情報には2種類あります。

一つは、新聞のニュースのように、知る人が少ないほど価値がある情報です。もう一つは、知る人が多ければ多いほど価値がある情報です。それはベストセラーの小説やミリオンセラーの音楽です。一人だけが素晴らしいと評価してもあまり価値はなく、多くの人が素晴らしいと評価すれば価値が増える情報です。

この共感する人が多いほど価値がある情報は「情緒」と表現するのがいいと思います。日本は情報では出遅れたかもしれませんが、「情緒」では世界でも有数の国です。これが魅力ある国の基本になると思います。

[2015年8月1日発行『構想の庭』第1号  再録]

日本が乗り遅れた情報社会の情報には2種類あります。一つは、新聞のニュースのように、知る人が少ないほど価値がある情報です。もう一つは、知る人が多ければ多いほど価値がある情報です。それはベストセラーの小説やミリオンセラーの音楽です。一人だけが素晴らしいと評価してもあまり価値はなく、多くの人が素晴らしいと評価すれば価値が増える情報です。
この共感する人が多いほど価値がある情報は「情緒」と表現するのがいいと思います。日本は情報では出遅れたかもしれませんが、「情緒」では世界でも有数の国です。これが魅力ある国の基本になると思います。
[2015年8月1日発行『構想の庭』第1号  再録]

 


 

月尾嘉男(つきおよしお)

1942年愛知県生まれ。1965年東京大学工学部卒業。名古屋大学工学部教授、東京大学工学部教授、総務省総務審議官などを経て、2003年に東京大学名誉教授。著書に『100年先を読む―永続への転換戦略』(モラロジー研究所)、『日本が世界地図から消滅しないための戦略』(致知出版社)など多数。

 

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