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谷口正和 プロフィール

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2011年2月28日

京から次のエルメスを。

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世界目線で構想する時代である。

京都という1200年の歴史と財をもつ都市からは、

世界に発信するブランドメイクが可能なはずである。

それを「京から次のエルメスを」と言ってみた。

 

京都に寛文元年(1661年)創業の

京漆器の名門「象彦」がある。

先日京都を訪れた折、

「象彦 西村家の雛人形と雛道具展」を見てきた。

象彦当主西村家に受け継がれてきた

雛人形、雛道具が一堂に展覧されていた。

ミュージアムはすばらしい展覧文化の一つで、

都市とデザイン、都市とアートを考えた時

、ミュージアム、シアター、ギャラリーは、

これからの世界都市に欠くことが出来ないコンセプトである。

 

京文化が育んだものに、「前の戦争は応仁の乱」という通り、

戦火にあわなかったゆえの文化の遺産化ということが言えるだろう。

それほど平和とは尊いものだということが言える。

 

「京から次のエルメスを」。本気で取り組んでみる時である。


 

2011年2月22日

旧暦の日本。

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一言で言えば、太陽の運行を軸に1日24時間と定めたのが新暦、

月の運行を軸に1日を昼の時間と夜の時間で区分けしたのが

旧暦ということになろうか。

日本は明治のごく初期にいたるまで、

旧暦で暮らしを営んできた。

日本人のDNAには、月の生活の暦が深く刻印されいているはずである。

都会では月を見上げることも稀になったが、

地方へ出かけたときなど、月を見ると、

なぜか懐かしさを感じるのは、

この月の暦のDNAのせいに違いない。

「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも」なのである。

 

二期倶楽部の北山ひとみさんから、

旧暦を併記したすてきな手帳「旧暦日々是好日」

(LUNA WORKS)をお送りいただいた。

さっそく開いてみると本日2月22日は旧暦なら1月20日とある。

今はまさに旧暦の「迎春」の時期にあたる。

年賀状に「迎春」と書くのは、旧暦ならごく自然なことだったのだ。

旧暦で暮らしを見たとき、

日本人の暮らし方の本質が見えてくるに違いない。

 

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2011年2月21日

花は人。

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勅使河原茜さんより、ご著書をお送りいただいた。

『いけばな~出会いと心をかたちにする』

(角川oneテーマ21)という本である。

私は茜さんの父上である勅使河原宏氏に懇意にさせていただき、

いくつかのアドバイスを差し上げるとともに、

たくさんのことをお教えいただいた。

共通の絆があったとすれば、

それは美意識だろう。

美意識は感知するもので、最終、言葉では表現できない。

 

茜さんは現在、草月流四代目の家元であり、

生け花の新しいかたちを日々創作している。

伝統を踏まえつつ、それを超えて革新を目指す草月流は、

まさに美のイノベーターと言ってよい。

本書の巻頭に

「花は、いけたら、花でなくなるのだ。いけたら、花は、人になるのだ」

という草月流の創始者である勅使河原蒼風氏の言葉があり、

茜さんの大好きな言葉だとある。

まさに芸術は出来上がって社会に出た時に「人」になる。

それはピカソもゴーギャンも茜さんも同じだろう。

今後のご活躍をお祈りする。

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2011年2月15日

LOVE IS

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私が勉強会などでお付き合いさせて

いただいている企業にアリミノがある。

アリミノはご存じの通り、

プロのヘアサロンに商品を提供しているトップメーカーである。

毎年、その感性をコンセプトにしたカタログを出しているが、

今回は「LOVE IS...」がテーマである。

これからの時代は、

技術とモノばかり語っていてもだめな時代である。

必要なことは、顧客の心理に迫るマインドアプローチだ。

すべてが感性ビジネスの方向に進む中で、

、美容業界はその先端を走るべき業界である。

その点アリミノは常に美意識をコンセプトに立脚し、

迷わずオウンウェイを突き進んでいることに共感する。

2011年2月14日

ライフスタイル・ソリューション。

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一昨年、社団法人全国スーパーマーケット協会と

社団法人日本セルフ・サービス協会が合併し、

「社団法人日本セルフ・サービス協会」として発足した。

そして2010年9月1日より、

名称が「社団法人新日本スーパーマーケット協会」となった。

その記念すべき第45回スーパーマーケット・トレードショー2011が、

例年通り、東京ビッグサイト東全館で行われた。

ますますスケールアップし、

プロ向けの専門展としてのポジションを確立しつつある。

 

重要なことは、次世代をにらみ、

次のスーパーマーケットは何かを根底に据えていくということだ。

量と規模を物差しとした市場の時代は終わりつつある。

求められているのは、「生活食文化専門店」とでもいうべき、

ライフスタイルに密着したソリューション型の店舗である。

価格と品質だけの物差しでは、これからのスーパーは語りきれない。

どこまで行っても、ライフスタイル・ソリューションなのである。

到来した長寿社会は、従来のスーパーのあり方に

一変を迫るインパクトを秘めている。

顧客を研究し、その要望を分析し、

そこから答えを導いていくしかほかに方法はない。

これからのスーパーは「地域を預かる」という精神が一番大切であり、

より上位概念から見れば、ヘルシー・ソリューション業態、

コミュニティ・ソリューション業態といえるだろう。

さらに上位から見れば、ライフスタイル・ソリューション業態である。

価値観が大きく変わりつつある現在、

その価値観変化に伴って、顧客のライフスタイルも大きく変わりつつある。

2011年2月 7日

肉眼を超えた眼。

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京都の美術館「何必館」で、木村伊兵衛の写真展を観て来た。

木村伊兵衛はご存じの通り、戦前から戦後にわたって、

魂を揺さぶる写真を撮り続けてきた写真家である。

同時代を生きた土門拳とはリアリズム写真において双璧をなす。

木村伊兵衛の作品からは、モノクロ写真を通して、

大正、昭和の日本が豊かな空気感を持って立ち上ってくる。

ある意味、カラー写真より、はるかにリアリティがある。

 

なぜだろうか。多分そのさりげないが見事な構図の作り方と

日常のディテールを切り取ったモノクロであることによって、

想像力が刺激されるからだろう。

今の時代は、ほとんどのコミュニケーションが視覚に頼っており、

コミュニケーションの80%は視覚だと言われている。

3Dの登場などによって、

それはたぶん80%をはるかに超えているだろう。

その分、想像力が削り取られているとも言えるのだ。

想像力とは何かを、私たちは再度、

この木村伊兵衛の写真によって問いかけられる。

息を呑む秋田美人「大曲おばこ」、

太宰治の青春時代を彷彿とさせる「秋田市仁井田 青年」など、

ここには単なる懐かしさを超えた、

ある時代を生きた人々のこころ、精神が見事に切り取られている。

肉眼を超えた表現が確かにここにある。

 

この木村伊兵衛展は、3月6日まで、

京都の何必館・京都現代美術館で開かれている。


「何必館」の館長は梶川 芳友氏で、

木村伊兵衛をはじめ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、

ロベール・ドアノーなどの写真を蒐集してきた方である。

梶川氏もまた、蒐集という行為で、芸術に殉じている。

 

 

 

 

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