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谷口正和 プロフィール

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2010年9月22日

地方の呼び声。

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四国・四万十川の住人に、迫田司さんがいる。

支流沿いの小さな「イチノマタ」に住むデザイナーである。

木賃ハウス主人で、サコダデザイン代表だ。

 

彼の著書『四万十日用百貨店』(羽鳥書店)をお送りいただいた。

高知新聞に連載されたエッセイの集大成本である。

写真も入ってなかなか楽しい本である。

 


今地方が見直されている。

見直されているというよりも、

都市化の流れの中で見失ってしまった本当の人間の暮らし、

物の生産の仕方とは何かという自らへの問いかけが、

私たちの目を再び地方へと向けているのだろう。

 


都市はあらゆる文化と情報を飲み込んで肥大し、

成熟し、無国籍化し、その分、その土地本来の風土を失った。

無論新たなブレイクスルーが起きて

都市は新たな自己像を再創造するだろうが、

土地に根付き、生産し、暮らすことの大切さを、

人々は直感として知り始めている。

地方の文化が見つめなおされているのは、ある意味当然である。

都市を経由せずに世界へ直接プレゼンテーションするようなことは、

今後ますます起こってくるだろう。

インターネットの世界もその後押しをする。

 

私も一度お伺いして木賃ハウスと四万十の自然、

その産物を満喫させていただいたが、

自然が最大の力だということをあらためて知らされた。

「荒野の呼び声」ではないが、「地方の呼び声」の時代である。

 

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