2011.7.29更新

 
板橋区立美術館

「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」

に行ってきました ①

     
 

 板橋美術館外観.jpg

  かわいらしい入り口が目に飛び込んできます

 

東武東上線成増駅からバスで10分、木々に囲まれた緑豊かな
土地に板橋区立美術館はあります。
夏の暑い日でも、木陰から吹く風がとても心地よい場所です。

 

遠くてゴメンのぼり.jpg ユーモラスなのぼりもかわいい♪

 

2011年は日本人入選作家が19人!
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展 

 

ボローニャ展、そして板橋区立美術館についての詳しいお話を、
この記事を含む4回に分けて紹介して参りたいと思います!
第1回目の本日は、ボローニャ国際絵本原画展の様子を
紹介したいと思います。

1981年から始まったイタリア・ボローニャ絵本原画展も、
今回で31回目を迎えました。
2011年は世界58カ国2836人ものイラストレーターから
応募があり、20カ国76作家が入選となりました。
その中にはなんと、日本人入選作家が19人も!
板橋区立美術館の展示室では、その全入選作品と、
特別展示としてフィリップ・ジョルダーノ氏による
絵本原画を展示しています。

 

 展示室1.jpg

壁の色が絵本の世界をひきたててます♪

 

 

 ハチドリ.jpg

 
『くちばしの本』
オスカー・ボルトン・グリーン (イギリス)

 

 

 エレナのウサギのダンス.jpg

『ゾウさんゾウさんウサギさん』
 藤本将 (日本)

 

 

かぐや展示.jpg 作家ひとりにつき、5点の絵本原画が展示されています。
原画の一つひとつをじっくりと見ると、手法も、大きさも、表現して
いる内容も、本当に作家それぞれ違っていて、
絵本の多様性を
実感させられます。
自分のお気に入りの作家を見つけてみてくださいね。

 

  かぐや1.jpg

 『かぐや姫』 
 フィリップ・ジョルダーノ (イタリア)

 
フィリップ・ジョルダーノ氏による特別展示は、
『かぐや姫』の絵本の原画です彼独自の視点と
日本の美術や自然などを観察して学び取った
手法が複雑にまじりあって、今まで見たことのないような
世界観が
美しい色彩とともに表現されています。
じっくり見れば見るほど、線の美しさと表現の細やかさにハッと
させられます。

 

展示室では原画作品だけでなく、実際に絵本となっている様子を
手に取って見ることが出来るようなっています。
一枚絵としてみたときと、絵本のページの一枚になって、物語と
なっている絵をめくるときとは、また違ったおもしろさを感じること
が出来ます。絵本に夢中になっていて、童心に帰っていた自分に
気づいたり……。

  110708-4.jpg 作品のグッズもかわいいものばかり。
今年から会場内にグッズコーナーができました!
Tシャツに缶バッジは集めてそろえたくなる
かわいさです。
トートバッグは缶バッジとセットで
デザインされています!

 

110708-1.jpg ポストカードは1枚50円とお手頃な価格♪

 

 カフェボローニャ.jpg

 毎年好評の「カフェ・ボローニャ」では
イタリアの雰囲気を感じさせるパンや
甘さ控えめのケーキなど、軽食を楽しむことが出来ます。
くるみサブレ、オレンジトップ、トマトのフォカッチャは
今年の新作です♪

  パン.jpg

 なんておいしそう…!

 

さらに、「カフェ・ボローニャ」の絵本ショップも注目しなくては
なりません!
国内ではなかなか手に入りにくい絵本が、ボローニャ展の期間
だけ販売されています。入選作家の絵本も手に入りますよ。
毎年人気のある外国の絵本はすぐに売り切れてしまいます。
ここで買い逃すと、もう手に入らないかも!?

 

 110717.jpg

  さらにさらに、絵本に関するイベントも
盛り沢山です!

 

7/17日(日)には、アストリッド・リンドグレーン賞をとった絵本作家
のキティ・クローザー氏を招いて、「わたしの絵本づくり」という講演
会も行われました。
その他、絵本好きの人にも、絵本を作ってみたい人にも、とっても
タメになるイベントがたくさんありますので、板橋区立美術館の
ホームページでチェックしてみてくださいね。(サイトウ)


●イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
会期 2011年7月2日(土)~8月14日(日)
開館時間 午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月曜日(但し7/18は祝日のため開館し、翌日休館)
観覧料 一般600円 高・大生400円 小・中学生150円
20名以上団体割引、65歳以上高齢者割引、身障者割引あり
毎週土曜日は、小・中・高校生は無料で観覧できます。 
主催/板橋区立美術館、日本国際児童図書評議会(JBBY)

板橋区立美術館
〒175-0092 東京都板橋区赤塚5-34-27
TEL: 03-3979-3251
FAX: 03-3979-3252
展覧会テレホンサービス 03-3977-1000
公式ホームページ
http://www.itabashiartmuseum.jp/art/index.html

 

★次回は、ボローニャ展について担当学芸員の松岡希代子さんに
伺ったお話を掲載予定です! 

2011.7.22更新 

 バージニア・リー・バートン作

『ちいさいおうち』

 

『教文館 子どもの本のみせ ナルニア国』店長の川辺陽子さん
がすすめる絵本の3冊目は、バージニア・リー・バートンの
『ちいさいおうち』です。

 

ナルニア国 012.jpg 『ちいさいおうち』
バージニア・リー・バートン作 石井桃子訳 岩波書店刊

 

「きょうの絵本」でこの絵本が登場するのは種村由美子さんのとき、
バックナンバー(今日の絵本/2011.5.30更新)に続いて2回目です。
取材させていただいた2店の店長さんふたりがたてつづけに
選ばれたことに、この絵本の素晴らしさを再認識するとともに
3.11以降の日本をとりまく厳しい現実を振り返らずにはいられ
ませんでした。


あの穏やかな時間の流れのなかで、いつもそこにたたずんで
変わらない『ちいさいおうち』の存在。
小さい子は小さい子なりに、おとなは深く深く、いくつになっても
読める美しい絵本です、と川辺さん。
どうなるんだろうとハラハラされられますが、最後は自然の中に
戻り幸せをつかむことができる『おうち』に一緒に素直に喜べる
ことが、この絵本の最大の魅力であり、忘れられない1冊にして
いますともおっしゃっていました。


川辺さんの言葉を聞きながら、今の日本は、日本の国土は
あるいは未来の子どもたちは、
これまでの私たちと同じように素直にこの”共感”を覚えることが
できるのだろうか、とふと不安な気持ちも覚えました。
『おうち』のように、日本は自然をとりもどし幸せになれるだろうか、
いやむしろ、よりいっそう自然と幸せをとりもどした『おうち』への
思いが強まっているかも、
などなど、これまでとは違った見方をしている自分に気づき
ました。


なんともやっかい(!)なことになりました。


この絵本を知らない方がいたら、ぜひ読んでいただきたい、
今こそ読んでいただきたい1冊です。(ミヤタ)

 

 

 2011.7.22更新 

  モーリス・センダック作

 『かいじゅうたちのいるところ』

 

『教文館 子どもの本のみせ ナルニア国』店長の川辺陽子さん
おすすめの2冊目は、現代絵本の先駆者モーリス・センダックの
『かいじゅうたちのいるところ』です。
この絵本は昨年、スパイク・ジョーンズによって映画化もされ、話題
となりました。

  

 ナルニア国 003.jpg

 『かいじゅうたちのいるところ』
モーリス・センダック/作 神宮輝夫/訳 冨山房/刊

 

無邪気な子どもの心があれば
すーっと物語の世界に入り込める

川辺さんにとってこの絵本は、
「子どものころみた記憶があって、とてもインパクトがあったこと
をはっきりと憶えています」という魅力ある1冊だそうです。 

いたずら少年マックスは、おおかみの着ぐるみを着て大暴れした
ため、罰として夕ごはんを抜かれ、寝室に放り込まれます。
ところが寝室はすぐに森に変身。そこは海へと続いていて、
マックスと読者の夢のような冒険の始まり始まり! 

マックスは恐ろしいかいじゅうの国の王様になって、彼らを従えて
かいじゅう踊りをするのですが、クライマックスのそのシーンには
文字がいっさいありません。
それが見開きで3場面ほど続くのですが、川辺さんはおとなに
なって読み返して初めてそのことに気づいたそうです。 

この本は心理学的に「心が解放される」と分析されているのです
が、大きな声でワーと叫び、足をドンドンと踏み鳴らし、高い木の
枝にヒョイヒョイとぶら下がるそのシーンで、子どもだった自分は
ものすごく絵本の中に入り込んでいて、だから文字がなかったこと
に気づかなかったのではないか。もしもおとなになって初めて出会
った絵本だったら、そのことがわからなかったのではないだろうか
と思ったそうです。 

子どものときに出会ったからこそ、何かわからないけれども、もの
すごくチカラがあるということを感じ取れる。何もかもすっとばして
そこにドカーンと入れるのは子どもの心ならではかもしれません。
子ども時代に出会ってほしい本だと川辺さんは強くすすめられて
いました。

 

●モーリス・センダックについて 

モーリス・センダックは、1928年、米・ニューヨークのブルックリン
生まれ。両親はポーランド系ユダヤ人で、一家はユダヤ系の
ゲットーに暮らしていました。幼い頃から病弱だったセンダックは
早くから絵本に親しみ、とくに同じ年生まれのミッキーマウスの
大ファンでした。そして12歳のとき両親に連れて行ってもらった
ディズニー映画『ファンタジア』にとても感化されました。
それは彼の作風にも多大な影響を及ぼし、たしかに『かいじゅう
たちのいるところ』のストーリー展開や場面構成など、その気配を
十分に感じることができます。
彼はこの作品によって1964年、コールデコット賞を受賞しました。
(なお、コールデコット賞については、バックナンバーNo.26を
ご覧ください)

  

  ナルニア国 002.jpg

いかにもかいじゅうが出てきそうな幻想的な
島の雰囲気。けっしていやな感じではない
ところが素敵です。(ミヤタ)                  

 

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