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谷口正和 プロフィール

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2017年10月31日

塑する思考

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グラフィックデザイナーからスタートした佐藤卓さんが本を出した。

商品開発やビジュアルデザイン系の仕事をして、粘り腰で仕事してきた一人だと思っている。

 

今回、彼がデザインとは何かについて考え、なぜデザイナーになったのか、その日常のメモを集めて一冊の本にした。

 

デザインは、まだまだ理解されていない。

デザイナーに対して、デザイナー自身が考えること、表現すること、その立脚点を体質化できていないままだ。

 

「塑する思考」という少し難解なタイトルも、

彼の良さでありながら、コミュニケーターとしての力みがある気がする。

 

佐藤卓さんらしさがある、

デザイナーとして考え、デザイナーとしてメッセージし、デザイナーとしての生き方、

このような認識をきちんと整理し、彼自身の姿から読み取ってもらいたい気持ちに私はエールを送りたい。

 

デザインの本質に対して、常に希求する気持ちを忘れずにいたい。

デザインの世界では、思考が縮んでしまえば、受注する体質が身についてしまい、

表現するバラエティも格段に減っていくようになる。

 

「見られている」という感覚を彼は、もう一度、押し戻し、デザイナーのあるべき姿とは何かを真正面から問いかけ続けている。

 

わかりやすく語りかけてくる「塑する思考」は、

乖離した思想と表現を繋ぐ言葉として重たい。

 

デザイン教育までの流れを作り、自分のやってきたことを階段のように語り継がれたメッセージが、

手紙のように綴られた本書をここに紹介します。

 

出版社:新潮社

価 格:1900円+税

2017年10月25日

あめふらし

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『あめふらし』は、グリム童話191番の逸話。

聡明で残酷な王女に結婚を申し込む若者が動物の力を借りて、課題を乗り越えていくというストーリー。主人公が目的を実現させるために、果敢に挑んでいく姿から、何事にも分け隔てなく力を借りて挑戦しなければならないというメッセージが感じられた。

 

また、その残虐さも素晴らしい絵によって抽象化され、ブラティスラヴァ世界絵本原画展でグランプリを受賞した作品となっている。

 

この絵本は、日本絵本賞大賞を受賞した出久根育さんの絵本を再編集し、再発行したもの。日本語訳は若松宣子さんが翻訳されている。

 

この絵本からは、どうしたら自由に暮らせるかという課題に対して、挑戦する勇気が試されている気がしてならない。子供だけの絵本としてではなく、日々、社会で難題に立ち向かう大人たちにも読んでもらいたい絵本として、ここにご紹介する。

 

出版社:偕成社

価 格:1800円+税

2017年10月19日

スタートアップ

 

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コロンビア大学、コーネル大学などが採用している

アントレプレーナーが手に取るべき、教科書。

 

興味深く、目を通させていただいた。

 

「アイデアから利益を生み出す組織マネジメント」という

サブタイトルからもわかるように旧型のビジネスモデルが

最終段階を迎えているにもかかわらず、未だに工業社会の総量形成が固定化され続けている。

 

今、「新しい」と言われている事業も、

従来型のビジネスモデルを厳選し、凝縮しているだけに過ぎず、

そのエキスからイノベーションがもたらされている。

 

立ち止まっているだけでは、何も始まらない。

 

新しい課題解決の処方箋を立ち上げたとしても、

それが、ただビジョンだけでは、絵に描いた餅同様、ビジネスにはならない。

 

重要なポイントは、顧客のニーズを解決するという他者へのサービス精神と情熱だ。

 

その意味で、まさにビジネスは仮説検証の連続だと言える。

 

成功するか、失敗するかは、起業家自身のマインドにかかっている。

 

果敢にエネルギーを注力していくのは、その分、絶対時間をかけること。

それが課題解決のケースとなっていく。その恩恵が成果として、対価となる。

 

ビジネスチャンスは変化の中にある。

それが日常の中で起こる社会となった。

 

まさに今、新しいことを立ち上げなければ、やがて居場所を失ってしまう。

 

小さくてもいいのでサービス精神を持って、情熱を傾ける。

「リスクに挑戦しないことが最大のリスク」と言っても過言ではない。

 

知識は、検索すれば無数に確認することができる。

しかし、それに意味があるわけではない。

あなたのサービスが解決のシナリオを内包し、常に行動というスタイルで、

センスと技術を駆使した結果、新たな役割の創造となる。

 

新市場創造とは、自分自身がお客様になれるところまで追い込むことを意味している。

そして、仕事の受注とは、あなたへの「信頼」に他ならない。

あなたを信頼するから、あなたに頼む。

 

それがビジネスの成功指標となる。

 

学生から、社会人となれず、いつまでも学生のままで終わってはならない。

学生から、懐の深いサービス精神と情熱を兼ね備えた社会人として、今こそ羽ばたこう。

 

過去に足を置いたままだと、戦力外通告が課されたまま、変われない。

次なるステージに移るスタートアップとして、あなたとともに立ち上がりたい。

 

出版社:新潮社
価 格:1700円+税

2017年10月10日

フリーエージェント社会の未来

 

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当社でも、この取り組みが始まっている。

 

フリーアドレスを導入し、今後、フリースタイルシフトという流れは、

本書の著者であるダニエル・ピンクが指摘する社会学的なレポートにもまとめられている。

 

組織人間の時代から、人がランダムに組み合わさるチーム単位の時代へとシフトしている。

 

今、アメリカでは、4人に1人がフリーエージェントだという。

もはやフリーであることが当たり前となり、プロジェクトごとにプレーヤーが入れ替わる時代が到来している。

 

昨今のIT技術の飛躍的な躍進は、あらゆる分野の生産性を高めると同時にあらゆる価値を無数に作り上げ、

いわば、価値そのものを廉価にもさせている。

 

それは、かつて一つの固定された価値観が社会を継続支配していた時代から、

メディアプラットフォームが形成され、いくつものフリーエージェントがオンステージする時代となった。

 

一方、変化速度は速く、あらゆる場面でリスクヘッジが求められる中、

縦型の忠誠心は消え去り、新たな仲間との組み合わせによるリスクヘッジが芽生えつつある。

 

人との結びつきは、組織に縛られない生き方と同義だ。

利他主義で、お互いに恩恵を受ける、ゆるいつながりがフリーエージェントエコノミーのあり方。

すると、オフィスは第三の場所となり、フリークラブワークという認識が大切になってくる。

 

それは個人が時間を自由にコントロールすることと言っても過言ではない。

未来社会は、定年という枠組みを超えて依存から自立していく流れがある。

そこにあるのは仕事場と生活空間とが融合していく姿だ。

 

今、フラットからリセットへと転換しつつある。

この速度が高まっていることを報告したい。

 

先般、八王子の市政100周年を迎え、訪れた。

そこには、日野自動車やオリンパスなど多くの研究機関が集まり、

そのテーマラボラトリーがプロフェッショナルハウスとなり、個々で新たな価値を創造している。

そして直接研究機関が、世界とつながるグローバルプレーヤーとなっている。

 

それが横軸を組み、それぞれが連鎖していけば、

強力に磨き上げられた新たなコンペティターとの出会いも見えて来ている。

 

面白くなって来た。

2017年10月 2日

天空の美、地上の美。

 

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本書は、奥田元宋・小由女美術館で開催された

遠藤湖舟写真展「天空の美、地上の美。」に伴い、発行された写真集です。

 

三次市を故郷とする芸術家夫妻。

 

日本画家の奥田元宋と人形作家の奥田小由女の功績を讃え造られた

この美術館は天空に広がる月の美しさと地上を照らす月光の瞬きが、

訪問に値する価値の創造につながっています。

 

天空と地上の両極の舞台で目覚めた湖舟氏は、

人の世界と自然界との狭間にある生命宇宙のあり方を切り抜いています。

 

昨今は、NYのギャラリーで展開するグローバルプレーヤーの認識を持ち、

生命を育む宇宙の美しさを従順に写し出し、地球社会から宇宙を表現しています。

それは、これからの未来にとっても、有効な価値軸となります。

 

友人である遠藤孤舟のメッセージとともに、ここにご案内します。

 

出版:ジオコーポレーション

価格:1621円+税

2017年10月 2日

マッキンゼーが予測する未来―近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

 

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2017年1月26日に第1刷が発行されて、

今、6刷目となる近未来を示すリードブックである本書。


そこでは、4つの社会的創造力を指摘しています。

1つ目は、都市化がもたらす変革、

2つ目は、科学技術が発展していく速度、

3つ目は、地球規模で進行していく高齢化、

そして、4つ目は高速で個々が結びつく情報経済の時代。


小さな存在も突然、未来を牽引する存在へと変貌し、世界に突出していきます。


国の戦略的課題と地球の未来経営をどのように捉えているかという認識を持って

マッキンゼーのコンサルタントたちの思いを複合化させていく。


我々も破壊と創造の真っ只中にいる今を確認し、

思考の戦略化、ナレッジクリエイションを複合させ、

高感度の解決力を提示していきたい。



出版:ダイヤモンド社

価格:1800円+税

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