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谷口正和 プロフィール

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2012年4月27日

尾道から来た手紙。

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当社の元社員、岡野政好君とむつみさんが、

岡野君のふるさとである尾道に戻り、カフェを開いた。

その案内状とタウンマップをお送りいただいた。

岡野君は優れたグラフィックデザイナーで、そのセンスは大変光っていた。

彼がデザインしたカフェだから、しゃれたものになっているだろう。

一度近くへ行ったら寄ろうと思っている。

注目するのは一緒にお送りいただいた

「Logi-Co~尾道の路地考」というタウンガイド誌である。

「尾道の路地を、歩いて、探して、考える本」だそうで、

彼のカフェ「さくらcafe」も紹介されている。

地元文化の丁寧な紹介は、

これからの観光のポイントで、重要なのは編集センスである。

その意味で大変優れたガイド誌といえるだろう。

岡野君とむつみさんのこれからの人生にエールを送りたい。

 

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2012年4月23日

渋谷の構想力2

日本は、長い間、ハード整備に傾注し、あとから中身を考えたらいいという発想で、表情のないランドマークばかりが乱立しました。

 

東京スカイツリーは下町の再編として、あと29日で開業します。話題の広がりは、いろんな人の力を借りて伸びる。東急は渋谷の先行的なランドマークとして、「渋谷ヒカリエ」を打ち出しました。建物内にはライブシアターが設けられ、また商業とオフィス、イベント、複合的に広がります。

 

渋谷の特徴をシンボライズするということは、重要なことです。渋谷は、情報の発信基地として、渋カジから始まり、ガングロなど流行を生み出しました。しかしながら、次の手がないまま、もたついてしまいました。それが閉塞感となりました。そこに渋谷が世界都市となることを引き受けたヒカリエがオープンします。

 

しかしながら、東京ではなく、その外にあるエネルギーをいかにして活用するのか。このチャンスをどう生かすか。まだ全体像がはっきりしていません。都市全体のプロデュースができていないから弱いのでしょう。東京スカイツリーに匹敵するだけの資金を投入しても注目度はそれよりも低い。これは、情報社会はいくらハードを強化しても、中身が、どういうプログラムなのかが重要であることをあらわしています。

2012年4月18日

哲学の時代。

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時代はいよいよ知性の最高峰、「哲学」の段階に入ってきた。

つまり「深く考える」時代である。

今世界に、日本に起こっていることを「判断」するには、

高い知性と深い哲学が入る。

表層的に短期的な利害認識で判断できることではないのだ。

そのことは市民も直感している。

政治と市民の乖離もこの辺にあろう。

情報の時代はともすれば無思考を強要した。

雑多な情報を得て「分かった気」になるのである。

底の浅い金銭主義が横行したのも、理由はこのせいだろう。

しかし時代は大きな転換期に来たことを感じさせる。

長期的に本質的に深く考えること、つまり「哲学」である。

イラストは私が敬愛するサルトルである。

哲学に戻ろう。

2012年4月16日

渋谷の構想力。

 

 

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私は約40年以上にわたって、渋谷を働く場としてきた。

言い換えれば渋谷ウォッチング歴40年である。

渋谷に根を張り、変化する情報と現象をつぶさに観察し、

そこから市場全体を見渡すマーケティング・アイを身に付けてきた。

一時は「渋谷ウォーキング」というタウンマガジンも発行し、

渋谷情報のガイド役も務めてきた。

フリーペーパーの嚆矢だったが、

フリーペーパー業界全体がクーポン誌という役割のみに堕したので、

役目を終えたと感じて撤退した。

 

4月26日に「ヒカリエ」もオープンし、

渋谷はまた新たな第一歩を踏み出す。

この機会に合わせたわけではないが

『渋谷の構想力』(ライフデザインブックス)を上梓した。

これから重要なのはまず「構想力」であり、

全体を見渡す力である。

渋谷を題材にしてコンパクトシティをテーマにそのことを分析してみた。

渋谷の書店にはかなりの部数を置かせていただく予定だ。

ぜひ、ご一読いただきたい。

2012年4月16日

存在を明示していこう

このたび、『渋谷の構想力―コンパクトシティの育て方』の発行します。

私たちは40年間、渋谷とともに成長してきました。

 

私には渋谷を預かってきたという自負があります。

働く、遊ぶ、食べる…活動の中心にあった渋谷。

そこに新たに『渋谷ヒカリエ』の開業を控え、過渡期にあるいま、感謝の意味を込めて、この書籍を出版しました。

 

地域を情報によって活性化を生み出し、新たなコミュニティがいま、活動を始めようとしています。

 

情報発信によってはじめて、明示される地域の存在意義。

私なりの渋谷をモデルにしたコンパクトシティのあり方のヒントを詰め込みました。

2012年4月12日

ローカリゼーションの時代。

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実践女子大学の大塚潤一郎教授より

「実践女子大の生活文化フォーラム」第16号お送りいただいた。

公開講座「エコロジーとライフスタイル~

脱エネルギー大量消費社会の構築に向けて~」の記録である。

まさに時宜を得たテーマだろう。

キーワードは「ローカリゼーション」で、「グローバリゼーション」の対抗概念であると言う。

経済の規模を地域にとどめる、地産地消に象徴されるような

経済のあり方を指すのだと言う。

グローバリゼーションでどれほどの地域文化、地元文化が破壊されたかは、

この20年が証明している。

エコロジーもライフスタイルも、

ローカリゼーションを新たなコンセプトとして21世紀は進むのだろう。

2012年4月 9日

生き延びる理由

先の震災から仮設住宅に暮らす高齢者らの40人近くが自殺しました。

震災によって多くの命が奪われました。残された者が希望を見出せなければ、人はひっそりと死を選びます。

 

生き延びた以上、どう生きるかが問われています。

 

時代の流れの中で気づかされた変化を受信し、それを発信していくことで情報となります。小さくてもいいから肯定的に一歩踏み出します。それが問題意識につながります。逆に不平不満の渦に陥ることもあります。変化のときにこそ、受発信の装置として、気づきの高さが問われています。

 

生き延びた以上、生き続ける問いかけがある。事を成す以上、継続するための問いかけがある。

 

これこそ、選ばれる理由を突き詰めた姿と思います。

2012年4月 4日

被災地に学生の力を。

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東海大学教授で、私も理事でもある日本デザインコンサルタント協会の理事

として活躍する私の友人の杉本洋文氏が、

同大学の学生をメインとして構成されている

東海大学チャレンジセンターの活動である

「3.11生活復興プロジェクト」を立ち上げ、

積極的な支援活動を行っている。

本書『被災地とともに歩む~3.11生活復興支援プロジェクト』

(東海大学出版会)は、その記録である。

未来を構想するのは若者たちであり、

特に学生は研究する立場でもあり、重要な役割だ。

自らの頭と肉体で覚えたことは、

机上の学習を超えて、血肉と化すだろう。

被災地にますます学生の力を。

そのひとつのモデルケースがここにある。

2012年4月 2日

個人の想いを前面に出そう。

 

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新宿ジュンク堂の書店員が「本当に薦めたかった本」のセールが大変好調のようです。大切なことは個人の本気の思いをぶつけること。

 上辺だけのモノとしてではなく、本心を訴えていきましょう。

 

本心を投げかけることで、表層的に作られたモノから独自性あふれる先鋭的なモノへと変貌します。独自性を持ったモノが話題となり、人の関心を惹きつけます。

 

翻って、芸術は、独自性を先鋭的にしたものの表れといえるでしょう。テクニカルな欺瞞を超えたところにあるものづくりにこそ、人は共感します。

 

単なる傍観者とならず、顧客・己の本心に半歩ずつでも近づけて、体温を感じてみましょう。そこに独自性が高められるヒントとなる気付きが隠されているはずですから。

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