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谷口正和 プロフィール

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2010年6月11日

広告は終わるのか。

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広告界を長くリードしてきた佐野山寛太氏が

『追悼「広告」の時代』(洋泉社)という本を書かれた。

帯に「広告」の時代はもう終わっている!

新聞・テレビの消滅やビジネスモデルの崩壊だけじゃない。

消費社会的にも「広告」の時代の死は必然だった。

とある。

ひさしぶりに出会った強烈なメッセージである。

新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアが、

その収入を大きく落としていることは周知の事実である。

それは一過性で、景気がよくなると元に戻るものなのだろうか。

佐野山氏の答えは「ノン」である。

巨大スポンサー、巨大メディア、巨大代理店が回してきた

巨大広告システムが終焉を迎えるというのが氏の見解である。

氏とは長い付き合いであるが、いつもその慧眼には教えられてきた。

私自身も、従来のマスアドバタイジングには疑問を持つ1人である。

本当のコミュニケーションは規模や量ではなく、

個人に立脚した質にあると思うからだ。

特に氏もいう大量生産から大量廃棄にいたるマスプロシステムは、

完全に終わりに来ているだろう。

 

国家をはじめとしたどのようなシステムも、

歴史を動かしてきた巨大文明も、

滅びる時は常に外因的な要因ではなく、

内部要因によって自ら滅びていくものだという。

広告もそうなのだろうか。

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