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谷口正和 プロフィール

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2010年6月30日

使命の子。

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緒方知行氏である。

氏が編集主幹として発行されている『Value creator』が、

創刊25周年、300号を迎えた。

ヴァリュークリエイターとは、価値創造者である。

緒方氏は商業を通じての新しい価値創造者支援を

生涯の仕事としており、その信念に一分の揺らぎもない。

まさに「使命の子」なのだ。

私も緒方氏とともに価値創造者の応援団を自認しており、

このたびの300号という偉業を心から祝福させていただく。

 

先日600人を超す記念パーティも催され、

緒方氏の人柄とネットワークを象徴するような

多数の人材が集まって氏を祝った。

 

使命感ほど重要な生きるテーマもない。

使命感が人間の生涯を創り出すと言っても過言ではない。

氏はまさに「使命の子」である。

 

今後も商業界の知的エンジンとしてご活躍いただきたい。

2010年6月29日

『プラハのシュタイナー学校』。

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フリー編集者、増田幸弘君の著書が送られてきた。

増田君は私の義弟で早稲田大学仏文科の教授だった

石井直志君の愛弟子だった。

彼は思うことあってチェコのプラハへ行き、

当地のシュタイナー学校に子供たちを通わせた。

『プラハのシュタイナー学校』(白水社)は、その記録である。

ご存じのとおりシュタイナー学校は、

あのルドルフ・シュタイナーの思想を教育方針とする学校である。

日本の教育とはまったく異なる、

子供たちの自主性と芸術性を重んじる教育で、

最近世界的な注目を集めている。

この本には、増田君の家族の再生と、

シュタイナー学校の本質が見事に描かれている。

教育は労働予備軍を生産する場ではない。

まさに人間をどう育てるかということなのだ。

本書に学ぶところは多いだろう。

 

2010年6月28日

言の葉と花。

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アートとは人間のイマジネーションを刺激するものだ。

華道は花の美と創作性によって、人の五感を刺激する。

草月流のいけばな展に行ってきた。

草月流は、ご存じのとおり、勅使河原蒼風氏によって創られた、

現代性の高い生け花である。

 

今回のテーマは「言の葉と花」で、

言葉と花が互いに刺激しあって、

新しい草月流の世界を切り開いている。

 

私流にいえば、「絵札」と「語り札」のコラボレーションだ。

見える花と見えざる言葉との組み合わせが新しい。

 

勅使河原茜氏は、常に華道の新しい世界に挑戦し続けておられるが、

今回もまた華道にイノベーションをもたらした。

 

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2010年6月22日

ちいさな贈り物。

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ニュータイプのリサイクルショップとして

注目を集めている「パス・ザ・バトン」で、

ちいさな絵本を見つけた。

特定の商品の中に入っているもので、

本当にちいさなちいさな絵本である。

タイトルは「羊と狼」で、

羊さんと狼さんがそれぞれ相手の体に変身してしまい、

はじめてお互いに相手に気持ちが分かって

仲良くなるというお話である。

D-BROSというプロダクトデザインプロジェクトが描いたもので、

実にセンスがいい。

ちゃんと英文も併記されている。

豪華な装丁だけが絵本ではない。

たった一色の、こんなちいさな絵本の中にも、

絵本ならではのハートを詰め込むことはできるのだ。

 

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2010年6月21日

革命。

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「革命:REVOLUTION」という小冊子をいただいた。

「革から始まる新しい命」とサブタイトルにある。

京都の呉服問屋「丸保」が主催した、革のコレクションだ。

牛革を薄くなめしてバッグや椅子などを、

5人のアーティストが独自の感性で創りあげている。

私が主宰するDIK(デザイン・イン・キョート)の

メンバーも発表している。

本来皮革は呉服にとって門外漢の異素材だが、

それにあえて挑戦する丸保社長の奥田直幸氏に敬意を表する。

 

DIKのメンバー、谷口一也氏、玉村咏氏の作品も併せてご紹介する。

アートは基本、革命の連続によって成り立ってきた。

美はレボリューションから生まれる。

 

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2010年6月17日

同窓会。

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京都府立鴨沂(おうき)高校を卒業してちょうど50年。

この区切りの年に、第13期(昭和35年)の同窓会が行われた。

鴨沂(おうき)高校は府立第一女子学校と新制高校が

一つになってできた高校で、卒業生には森光子さん、山本富士子さん、

田宮二郎さんや沢田研二さん、

南極越冬隊で有名な西堀栄三郎さんなどがいる。

私は13期の3年3組で、なんと13クラスもあった。

今年は参加者が50人近く増えた。

やはり50年ということに対する感慨が、誰にでもあるのだろう。

いろいろ話し合ってみると、

社会還元や社会感謝の認識が高まっているようである。

感謝症候群とでもいうべき心の流れに驚いた。

お前は今先生をやっているのだから真ん中に座れ、ということで、

真ん中に座らせていただいた。

半世紀目の同窓会が、ついに私にもやってきた。

両親に、社会に、周囲の人々に感謝である。

 

 

2010年6月14日

未来への設計図。

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大前研一氏より、『最強国家ニッポンの設計図~ザ・ブレイン・ジャパン建白』

(小学館)という御著書をお贈りいただいた。

常に未来へ向けてぶれないところが、大前氏のすごさである。

本書で大前氏は「ザ・ブレイン・ジャパン~TBJ」という

国家シンクタンクを提唱されている。

特定の政党にも政府にも属さず、

株式会社として広く国民から出資を受け、

国家戦略を立案するシンクタンクだ。

国民への「配当」は「すばらしい祖国」であるという。

実にユニークな発想である。

この時代の大転換期、ビジョンなくしては未来はないだろう。

VISIONの意味は<見えること・見えるもの>である。

大前氏の提言は常に具体的な視覚性を持った

<見えるビジョン>であることがすばらしい。

2010年6月11日

広告は終わるのか。

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広告界を長くリードしてきた佐野山寛太氏が

『追悼「広告」の時代』(洋泉社)という本を書かれた。

帯に「広告」の時代はもう終わっている!

新聞・テレビの消滅やビジネスモデルの崩壊だけじゃない。

消費社会的にも「広告」の時代の死は必然だった。

とある。

ひさしぶりに出会った強烈なメッセージである。

新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアが、

その収入を大きく落としていることは周知の事実である。

それは一過性で、景気がよくなると元に戻るものなのだろうか。

佐野山氏の答えは「ノン」である。

巨大スポンサー、巨大メディア、巨大代理店が回してきた

巨大広告システムが終焉を迎えるというのが氏の見解である。

氏とは長い付き合いであるが、いつもその慧眼には教えられてきた。

私自身も、従来のマスアドバタイジングには疑問を持つ1人である。

本当のコミュニケーションは規模や量ではなく、

個人に立脚した質にあると思うからだ。

特に氏もいう大量生産から大量廃棄にいたるマスプロシステムは、

完全に終わりに来ているだろう。

 

国家をはじめとしたどのようなシステムも、

歴史を動かしてきた巨大文明も、

滅びる時は常に外因的な要因ではなく、

内部要因によって自ら滅びていくものだという。

広告もそうなのだろうか。

2010年6月10日

幸せとは何?

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次々と彼らしい発言を投げかけてくる一条真也氏が、

また新しい考え方を投げかけてきた。

『幸せノート~婚活からウエディングまで』(現代書林)

という本をお送りいただいた。

帯に「“結婚”という幸せを手に入れるための魔法の手帳」とある。

ページをめくると「わたしは----までに結婚する。」

という自己宣言のページがある。

「結婚したい」ではなく「結婚する」と書き込めば、

あなたにはもう幸せの魔法がかかっている。

とも書いてある。

結婚すること自体がそのまま100%幸せに

直結しているとは私は思わないが、

自己宣言は最も自己実現に近い方法であることはよく分かる。

さて、幸せって何でしょう?

2010年6月10日

街にはみ出す自然。

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私がいつも渋谷行きのバスに乗るバス停の前には花屋さんがある。

四季折々、花々が目を楽しませてくれている。

本格的な花の季節を迎え、花々が道にはみ出してきた。

もともと道は人間が勝手に作ったもので、本来は自然の領分だ。

日本の森林率は約70%だが、

まだ人間も来ていないころの日本列島は100%だったに違いない。

関東平野は深い森に覆われていただろう。

 

自然よ、はみ出せ。

近代の都市化によって、人間は自然と切り離され、

本来の野性的感性を失ってしまった。

文明の前に森があり、文明の後に砂漠が残るという。

文明から文化へ、今こそ転換の時である。

2010年6月 9日

ポリシーとスタイル。

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株式会社スマイルズが丸の内に引き続き、

表参道に「PASS THE BATON(パスザバトン)」の2号店を出した。

丸の内店は従来にない新しいコンセプトの

リサイクルショップとして話題を呼んだ。

「誰にでもある、思い出の品物や、手に余っている品物など、

物に形を変えた個人が持つそれぞれの文化や歴史を、

誰かに手渡していくことができる場所を作りたいという想い」が

企業哲学である。

これからの企業やビジネスは、どのようなポリシーによって、

どのようなスタイルを作り上げていくかが問われる。

コンセプト、考え方が常に先なのだ。

 

オープニングパーティにご招待された時のワンショット。

写真中央が同社社長の遠山正道氏 、

右は言わずもがなの浜野安宏氏である。

2010年6月 8日

空間の時代。

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若い世代にとって、センスとは「空間」のことだという。

物ではなく、物を包む空間の構成に、センスを感じる。

考えてみれば、建築というものも、

躯体の美しさ以上に、その躯体が生み出す意味、

メッセージ、つまり空間にその核心がある。

京都の「リブアート」という空間設計デザイン・プロデュースの会社がある。

新しい京都ブランドのひとつだ。そのメッセージをご紹介する。

豪華を嫌い、

絢爛を避け、

流行を疑い、

本質を見る。

人間国宝 故黒田辰秋(くろだ・たつあき)氏の言葉にあるように、

必要以上に華美な装飾やその時々の流行に乗ったものではなく、

いつの時代でも、変わることなく生き続けるものを創る。

必要な機能を持ちながら、誰もが心地よいデザイン。

素材、意匠、工法…。

全てに於いて、使う「人」やそれを取り巻く「環境」「空間」までも

デザインし、設計してゆく。

新しく創り出すだけではなく、

年を経る毎により良くなるもの。

 「朽ちてゆく」ではなく、

 「馴染んでゆく」もの。

時代の流れに左右されない、

 経年変化とともに、さらに良くなる…。

唯一無二を目指して、私はデザインをしている。

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文化とはまさに歴史が現在に「馴染んでゆく」ものだ。

今後のご活躍をお祈りする。

2010年6月 7日

女性起業家。

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今野由梨さんの勉強会でお話させていただいた。

ご存知のとおり今野さんは、

ダイヤル・サ-ビスを起こした女性起業家である。

日本で最初の電話秘書サービスや、

電話による育児相談「赤ちゃん110番」を開設した企業である。

当時、起業家という概念も珍しかったが、

女性起業家となるともっと珍しかった。

今野さんはそのような時代の中にあって、果敢に起業に挑戦された。

 

このたび『女の選択』(NHK出版)をお送りいただいたが、

そこには「完全燃焼」と揮毫されていた。

「逆境のときこそ勝ちにいくという選択」

「群れずに<ひとり>という人生の戦法を選ぶ」

「愛も家族も野心も捨てないという選択」など、

今野さんの生き方を支えてきた哲学が書かれている。

尊敬に値する女性の1人である。

 

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