2012.8.17更新


うらわ美術館

 ブラティスラヴァ世界絵本原画展

 -広がる絵本のかたち

 

 

BIB2012ポスター★.jpg

 「ブラティスラヴァ世界絵本原画展—広がる絵本のかたち」
期間/9月2日(日)まで 
開館時間/10時~17時、土曜日・日曜日のみ~20時
(入場は閉館30分前まで)
観覧料/一般 600円 大高生 400円 中小生 無料
休館日/月曜日 
会場/うらわ美術館 ギャラリーABC
住所/さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ3F
TEL/048-827-3215
http://www.uam.urawa.saitama.jp/

 

2年ごとに開催される世界最大規模の絵本原画展、
第23回を迎えたブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB2011)。
うらわ美術館から国内巡回展が始まりましたので、
昨年に引き続き取材してきました。
前回の第22回展のブログ記事および
このコンペティションの成り立ちについては
こちらをご覧ください。

第23回展は世界44ヶ国から356名の絵本作家の
原画作品2318点が出品されました。
グランプリの栄誉は、韓国のチョ・ウンヨンさん。
彼女の作品『はしれ、トト!』は上のポスターや
図録の表紙に採用されています。
また、先日当ブログでご紹介した
「2012イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」の図録の表紙にも
チョ・ウンヨンさんの書き下ろしの絵が使われています。

 


図録表紙.jpgBIB2011の図録の表紙です。
 

うらわ美術館では
第1部「BIB2011受賞作品」、第2部「BIB2011日本作家の作品」、
第3部「スロヴァキアのイラストレーションの現在」、
第4部「絵本のかたち-日本のしかけ絵本」
という4部構成になっていました

まず第1部では受賞者11名の作品が展示されています。
各賞から1作品ずつご紹介しましょう。

 
★グランプリ(1名)

チョ・ウンヨン.jpgチョ・ウンヨン/韓国「はしれ、トト!」(2010年)
ⓒEun young Cho
幼い子どもの目でとらえた競馬場の様子。
走る馬がダイナミックに描かれていきます。

 

チョ・ウンヨン「はしれ、トト!」.jpgチョ・ウンヨン/韓国「はしれ、トト!」(2010年)
ⓒEun young Cho
絵本は、場面ごとに技法の異なる原画が
大胆なトリミングで編集されていて
とても興味深い作品です。
 

 

CIMG2520.JPG

「はしれ、トト!」の絵本。
初出のフランス版(写真右)と逆輸入された韓国版(左)も
手にとって見ることができます。

 

★金のりんご賞(5名) 

ジャニク・コアト サプライズ.jpgジャニク・コアト/フランス「サプライズ」(2010年)
ⓒJanik Coat
文字のない(=サイレント・ノベル)作品です。
飼い主の女性と一匹の飼い猫の暮らし、
その関係の変化をグラフィカルに表現しています。

  

CIMG2528.JPG ジャニク・コアトの絵本2冊。
「サプライズ」(写真左)と「わたしのカバ」。
どちらもグラフィカルな表現が傑出した作品です。


 

★金牌賞(5名)

シモーネ・レア.jpg

シモーネ・レア/イタリア「イソップ物語」(2011年)
ⓒSimone Rea
イソップ物語から20篇を紹介する絵本です。
各物語は見開きに一つの場面と簡潔な文章で
構成されています。
大胆な構図と深くて鮮やかな色調が
とても印象に残る作品です。

 

うらわ美術館BIB2012 058.jpg  「イソップ物語」の絵本の展示

 


さらに1部では、子ども審査員賞も展示されています。 

 

★子ども審査員賞(1名) 

いまいあやの.jpgいまいあやの/日本「くつやのねこ」(2008年)
ⓒいまいあやの

 

当ブログで昨年7月1日付「きょうの絵本」としてご紹介した
いまいあやのさんの「くつやのねこ」。
その際、いまいあやのさんにFAX取材させていただきました。
(「くつやのねこ」の記事はこちらです。)
その作品が今回子ども審査員賞を受賞!
とても嬉しく思いました。
文字通り”子どもたちによって選ばれた作品”ということですから。
子ども審査員の代表カタリーナ・マルシツォーヴァーさんは
「シンプルさの中に絵の神秘性と美しさがある。
私たちは、この作品の色彩と画面の作り方が良いと思った」
と発表したそうです。

 

うらわ美術館BIB2012 065.jpg

「くつやのねこ」の絵本の展示。

 



さて、BIB2011について、うらわ美術館の学芸員・山田志麻子さんに
全体的な特徴や日本の作品の特筆すべき点などについて
解説していただきましたのでご紹介します。

 

—今回の全体的な特徴についておうかがいしたいのですが?

山田: 現代的でグラフィカルな作品が多かったということでは
ないでしょうか。
よりポップな、という表現がふさわしいかもしれません。
前回までは絵画的で重厚な作品が多かったのですが
今回はとくに「若手化」と「デジタル化」が
顕著だったと感じています。


—たしかに、グランプリ作品「はしれ、トト!」は
iPadでもかなり楽しませてもらいました。
紙の絵本とは違った面白さがあって、
そういったところが今回は新しいところですね。

 

うらわ美術館BIB2012 011.jpg「はしれ、トト!」は絵本アプリにもなっています。
うらわ美術館では、原画、絵本、絵本アプリと
それぞれ比較しながら観ることができて
実に面白い展示になっていました。
躍動感のあるダイナミックな絵が
絵本アプリによってさらに迫力と楽しさが増します。

 

山田:これまではどちらかというとブラティスラヴァは
ベテランの絵本作家のコンペティションで
ボローニャは若手の登竜門と言われていましたが、
今回の受賞者は若いんですね。
過去5回の受賞者の平均をとっても、
グランプリ受賞者の平均をとっても、
今回のブラティスラヴァはとりわけ若く、イラストレーターとして
活躍しだしたばかりの人が多いのです。


—若い才能をピックアップするような方向に
審査の舵をとられだしたのでしょうか?

山田:現地の事務局の組織が変わって、
何か新しいものを生み出そうとする意識が
いろいろなところで現れているのかもしれません。
デジタル化にしても、本来は原画展ですので
1点ものの絵が審査の対象でしたが
今回はコンピュータグラフィックスのデジタル出力や
デジタルドローイングなど、コンピュータを使った作品が多く
受賞作品の約半分がそうでした。
前回まではオリジナルでないものに対する躊躇といったものが
あったそうですが、今回は受賞作品をみても
それが払拭されたといえると思います。


—いよいよコンピュータによる原画制作があたりまえの
時代に入ったともいえますね?

山田:そうですね。原画を描く時点でコンピュータを使うことが
多くなったことでも、今後原画展をどう考えるかという
大きな岐路に立ったともいえるかもしれません。

 

  

さて、第2部では国内選考を通った12名の日本人作家の
原画と絵本が展示されていました。

 

 あべ弘士.jpgあべ弘士「もりのねこ」2010年 
ⓒあべ弘士
  

  

荒井良二.jpg荒井良二「うちゅうたまご」(2009年)
ⓒ荒井良二
   

 
飯野和好.jpg飯野和好「うらしまたろう」(2010年)
ⓒ飯野和好

 

  

大畑いくの.jpg大畑いくの「そらのおっぱい」(2007年)
ⓒ大畑いくの
 

 

片山健.jpg片山健「むかしむかし」(2010年)
ⓒ片山健

 

  軽部武宏.jpg軽部武宏「のっぺらぼう」(2010年)
ⓒ軽部武宏
  

 

こみねゆら.jpgこみねゆら「にんぎょうげきだん」(2009-10年)
ⓒこみねゆら


  

酒井駒子.jpg酒井駒子「BとIとRとD」(2009年)
ⓒ酒井駒子
 

 

 田中清代.jpg田中清代「気のいい火山弾」(2010年)
ⓒ田中清代
 

 

 
三浦太郎.jpg三浦太郎「ちいさなおうさま」(2010年)
ⓒ三浦太郎
 
 

 

降矢なな.jpg降矢なな「いそっぷのおはなし」(2009年)
ⓒ降矢なな

  

森洋子.jpg

森洋子「まよなかのゆきだるま」(2009年)
ⓒ森洋子

 

さらに特別展示として第3部では
2013年に外交樹立20周年を記念して
地元スロヴァキア共和国のイラストレーションの
現在を若手からベテランまで幅広く紹介されています。
スロヴァキアでは絵本芸術が手厚く保護されていて
国家事業として子どもの文化を守っているそうです。
作品は全体的に重厚で細密で丁寧な印象があり、
どれも非常に見ごたえのある出来栄えです。
それでも若手はデジタルを使用したり
アメリカナイズされた軽やかな作風を好んだりと
バリエーションが豊かになってきているのも見て取れて
面白い展示になっています。

 

ダーヴィッド・ウルシーニ.jpg

ダーヴィト・ウルスィーニ/スロヴァキア
「千夜一夜物語5」(2010年)
ⓒDávid Ursíny
やわらかな水彩による描写に質感の変化を与えるため
和紙のような紙を染めたものや押し葉など、部分的に
コラージュが施されています。

 


第4部は日本のしかけ絵本の展示です。
主に明治時代から現代にいたるまで
さまざまな仕掛けを凝らした絵本が
「かわる」「とびだす」「うごく」の
3つのキーワードで構成されています。
その中からいくつかをご紹介しましょう。

 

CIMG2535.JPG

「早替 胸機関(はやがわり むねのからくり)」
1809(文化6)年
歌川豊国/画 式亭三馬/作
兵庫県立歴史博物館蔵
人の胸の内が滑稽に描き出されている。
扉をめくると下の絵が現れる仕掛け。
明治期にさかんに取り入れられたそうです。
 

 

 

CIMG2540.JPG

「幼年フレンド 第2巻第7号」
1917(大正6)年
東京フレンド社/刊
札幌市中央図書館蔵
素材の違うやわらかい色紙が
日よけの部分に使われています。

 

 

CIMG2543.JPG  「なないろえほん」
2002(平成14)年
きのとりこ/作 きのとりこ/刊
うらわ美術館蔵
さまざまなパターンや絵のかたちが、黒と白、
さらに7色の紙に型抜きされ、
バインダー用の2つの穴がそれぞれ上下左右の端に
開けられています。
これを使ってページの順番や天地を入れ替え、
自由に物語をつくって楽しむことができます。
2003年ボローニャ国際絵本原画展入選作。

   

CIMG2546.JPG

「なないろえほん」の表紙です。 

 

 

CIMG2544.JPG

「折ってひらいて」
2003(平成15)年
駒形克己/作 ONE STROKE/刊
うらわ美術館蔵
フランス国立近代美術館(ポンピドゥーセンター)と
共同制作した作品。
各ページには切り込み穴、折り目が付けられ、
折ったり開いたりすることで、その形や空間を
変えながら楽しむことができます。

 

 

また、うらわ美術館では会期中、
創作コーナー「ひらいて ドキドキ つくって ワクワク」
を行っています。(自由参加、無料)
絵を描いても、立体作品を作ってかまわない、
とてもクリエイティブな楽しい部屋です。
作った作品は部屋に展示することもできます。
 

 CIMG2558.JPG

 今回の特別展示「日本のしかけ絵本」にちなんで
色紙を使ったこんなアートワークもできます!
すてきなオリジナルアートの出来上がり!

 

 

うらわ美術館BIB2012 045.jpg

 ちびっこもママもみんな夢中!
ものづくりって楽しいよね♪

  


うらわ美術館でのブラティスラヴァ世界絵本原画は9月2日(日)まで。
夏休み後半、素晴らしい原画や絵本の数々にふれて
ついでにアート作品づくりに挑戦してみてはいかがでしょう!
 (ミヤタ)

 

★国内巡回展 今後の開催予定は次のとおりです。

千葉市美術館  2012年9月8日(土)~10月21日(日)
高浜市やきものの里かわら美術館  2012年11月3日(土)~12月24日(月)
足利市立美術館  2013年5月18日(土)~6月30日(日)


2012.8.16更新


板橋区立成増アートギャラリーにて

「第20回 ボローニャ・ブックフェアinいたばし 世界の絵本展」

はじまります!

 

 

絵本の夏はまだまだ終わらない!?
とても楽しそうな絵本展を教えていただいたのでご紹介します。

●第20回 ボローニャ・ブックフェアinいたばし 世界の絵本展
会期 2012年8月18日(土)~8月26日(日)
開館時間 午前9時~午後7時(18日(土)のみ式典終了後の午前11時より開場)
休館日 20日(月)
入場無料
場所 成増アートギャラリー(板橋区成増3-13-1、成増図書館向かい)
アクセス 東武東上線「成増」駅(北口)下車徒歩3分
東京メトロ有楽町線・副都心線「地下鉄成増」駅(5番出口)下車徒歩5分

●いたばしボローニャ子ども絵本館
〒173-0001東京都板橋区本町24番1号
電話番号:03-3579-2665
メールアドレス:ehon@city.itabashi.tokyo.jp
公式ホームページはこちら 

 

web_ehonten.jpg

昨年の展示風景です。


「第20回 ボローニャ・ブックフェアinいたばし 世界の絵本展」では、
北イタリアのボローニャ市で毎年行われる「ボローニャ児童図書展」の事務局より
板橋区へ寄贈された32か国約350冊の絵本の中から、
特におすすめの絵本を展示します。

さらに、板橋区制80周年を記念して「時代をつなぐ絵本 区制80周年記念展示」を
行います。
約80年前に出版され今も読みつがれている絵本や、
生誕80年を迎える絵本作家の作品を展示し、
時代を越え、世代を越えてなお色あせることのない絵本の魅力をお届けします。

また、(株)アート絵本の協力を得て
「Dear JAPAN~世界の絵本画家からの希望のメッセージ~」と称しまして、
2011年3月11日に東日本大震災に遭った日本のために
世界中の絵本画家から贈られたイラストと、その絵本画家の絵本を展示します。
こちらは「絵本のなかのイタリア展」で展示されていたものと同じになります。

web_Janik_Coat.jpg

 Janik Coatさんのイラストです。 

web_Sonja_Danowski.jpg

Sonja Danowskiさんのイラストです。

詳しい展示内容はこちらの公式ホームページをご確認下さい。

ボローニャというと、板橋区立美術館で行われている
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展を思い浮かべる方も多いかと思いますが、
「ボローニャ・ブックフェアinいたばし」では原画の展示はなく
絵本のみの展示とのことです。

海外からやってきた新しい絵本をじっくり読むことのできる、貴重な機会です。
海外絵本ファンの方はお見逃しなく!


個人的に気になるのは「時代をつなぐ絵本 区制80周年記念展示」です。
なんでも、1930年代はアメリカの絵本文化の黄金時代とのことで、
今でも書店で買い求めることの出来る良作絵本を集めて展示しているそうです。
絵本を年代ごとに集めて読む機会というのは、実は意外と少ないと思います。
何かおもしろいことが発見出来そうです!(サイトウ)

 


2012.7.31更新


板橋区立美術館

2012イタリア・ボローニャ国際絵本原画展

インタビュー


板橋区立美術館(以下板美)へ、2012イタリア・ボローニャ国際絵本原画展(以下ボローニャ展)の取材をしに行ってきました!
今回インタビューにお答えくださったのは、担当学芸員の高木佳子さんです。

 

poster_web.jpg

 

●イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
会期 2012年6月30日(土)~8月12日(日)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月曜日(但し7/16は祝日のため開館し、翌日休館)
観覧料 一般600円 高・大生400円 小・中学生150円
20名以上団体割引、65歳以上高齢者割引、身障者割引あり
毎週土曜日は、小・中・高校生は無料で観覧できます。
主催/板橋区立美術館、日本国際児童図書評議会(JBBY)

●板橋区立美術館
〒175-0092 東京都板橋区赤塚5-34-27
TEL: 03-3979-3251
展覧会テレホンサービス 03-3977-1000
公式ホームページ
http://www.itabashiartmuseum.jp/

昨年のボローニャ国際絵本原画展についての詳しい説明は、こちらの記事を。
今年の現地レポート(by 社外研究員の南さん)は、こちらの記事をご覧ください。 


CIMG2472_s.jpg


のぼりの文章も、昨年とは変わっていました!

ー今年のポスターの経緯を教えていただけますか?

高木:例年、ボローニャ展のポスターには入選作品を使用することが多かったです。紙面を大きく占めるメインビジュアルにしたり、コラージュのように集めて使用したり。ですが昨年のポスターは文字をメインに使ってみました。特に決まり事は無いので、面白そうなことを積極的に試していきたいと思っています。そして今回は今年の入選作家ではない方に依頼することにしました。

のだよしこさんは、2007年と2010年のボローニャ展に入選されている日本人のイラストレーターで、現在はボローニャ近郊にお住まいです。ボローニャの美術学校でイラストや版画を勉強した後、イタリアを拠点に活動されています。彼女はどんなものもさらさらと描いていく作家さんで、ボローニャ展のこともよくご存知ですので、ポスターのイラスト制作をお願いすることにしました。

その原画も展示室で見ることが出来ます。A3の大きさの紙に、お気に入りの日本のボールペンで、枠や文字、イラストを描いていただきました。下描きはせず、修正もほとんどありません。どこにも活字の無い、いつもとはだいぶ変わったポスターになったと思います。

2枚のイラストを描いていただきましたが、1枚はポスター、もう1枚はチケットと板美前に設置したゲートに使用しました。
また、出来上がったポスターとチケットには地の何カ所かに色をのせてありますが、こちらはデザイナーさんにお願いしました。白黒でも十分素敵ですが、色がのるとより人の目を引きます。
チケットの形もデザイナーさんの提案です。簡単な加工で平面が立体のように見えるしかけを作っていただきました。
このチケットとポスターは板美のみで使用しています。図録は共通ですが、巡回する会場ごとにポスターのデザインは異なります。


ー今年のポスターの経緯を教えていただけますか?

高木:例年、ボローニャ展のポスターには入選作品を使用することが多かったです。
紙面を大きく占めるメインビジュアルにしたり、
コラージュのように集めて使用したり。
ですが昨年のポスターは文字をメインに使ってみました。
特に決まり事は無いので、面白そうなことを積極的に試していきたいと思っています。
そして今回は今年の入選作家ではない方に依頼することにしました。

のだよしこさんは、2007年と2010年のボローニャ展に入選されている
日本人のイラストレーターで、現在はボローニャ近郊にお住まいです。
ボローニャの美術学校でイラストや版画を勉強した後、
イタリアを拠点に活動されています。
彼女はどんなものもさらさらと描いていく作家さんで、
ボローニャ展のこともよくご存知ですので、
ポスターのイラスト制作をお願いすることにしました。

その原画も展示室で見ることが出来ます。A3の大きさの紙に、
お気に入りの日本のボールペンで、枠や文字、イラストを描いていただきました。
下描きはせず、修正もほとんどありません。
どこにも活字の無い、いつもとはだいぶ変わったポスターになったと思います。

2枚のイラストを描いていただきましたが、1枚はポスター、
もう1枚はチケットと板美前に設置したゲートに使用しました。

また、出来上がったポスターとチケットには地の何カ所かに色をのせてありますが、
こちらはデザイナーさんにお願いしました。
白黒でも十分素敵ですが、色がのるとより人の目を引きます。

チケットの形もデザイナーさんの提案です。
簡単な加工で平面が立体のように見えるしかけを作っていただきました。

このチケットとポスターは板美のみで使用しています。
図録は共通ですが、巡回する会場ごとにポスターのデザインは異なります。

 

CIMG2476_s.jpg

板美入り口前のゲートです。楽しげでステキ!

ticketclose.gif

チケットです。これを開くと……

ticketopen.gif

箱を開けたようなかたちになり、すっごくかわいいです。

 

ー今年の作品には何か特徴がありましたか?

高木:毎年、送られてくる作品も、審査員も違うので、何らかの変化は出てきます。
なのでぜひ毎年ボローニャ展を見に来ていただきたいと思います。
選考は展覧会としてのまとまりを考えた上で行われているので、
極端な偏りはありません。
入選作品を見ても、絵本らしさが感じられる作品もあれば、
アート寄りの作品もあります。
技法も絵の具や版画からCGまで様々です。
この多様性こそがボローニャ展では重要です。

審査員によって審査基準も違うために、満場一致で入選作品が決まることは少なく、
審査員同士での議論と説得が行われた上で入選作品が決まります。

審査員は5人いて、今年は日本から荒井良二さんが参加しています。
展示室では審査の様子が分かるドキュメンタリー映像も上映しているので
ご覧いただければ分かりますが、彼は積極的に議論を起こしています。
絵本の既成概念をときほぐしたいという強い思いがあるからでしょう。

今までのボローニャ展とは変えていかなければならない、
新しいものを取り入れていかなければならないという考えをお持ちでした。
でなければまた似たような作品が送られ、
似たような作品が入選することになってしまい、
ボローニャ展自体が停滞してしまうので。

ボローニャ展では入選した作品しか見ることが出来ませんが、
入選しなかったから悪いということでもありませんし、
入選したから必ず絵本として出版されるということでもありません。

ボローニャ展には、絵本の可能性を探り、
絵本の間口をもっと広げていきたいという狙いもあるので、
作品を展示する前の入選作品を決めるプロセスから既に始まっています。
毎年ドキュメンタリー映像を制作して上映しているのは、
そのことを伝えるためでもあります。
この映像は日本国内のボローニャ展と一緒に巡回していきます。
 

CIMG2501_s.jpg

審査の様子をかいま見られる、貴重な映像です!


ー韓国の勢いがすごかったと聞きましたが?

高木:ここ数年、韓国は各出版社同士が協力して
世界に向けて発信していこうという傾向があります。
韓国の学校も若い作家を送りこむことに一生懸命です。
ボローニャ・ブックフェアでも、韓国ブースは人気がありました。
はじめから世界を狙ってアピールしているのではないでしょうか。
韓国外の作家の作品でも積極的に出版したいという姿勢もうかがえます。

今年の図録の表紙を描いているチョ・ウンヨンさんは、
ボローニャ・ブックフェアの韓国ブースにダミー本を出品したことがきっかけで
フランスから絵本を出版しました。
また彼女は昨年のブラティスラヴァ世界絵本原画展でグランプリを取っています。

ボローニャ展の図録の表紙絵は、ブラティスラヴァ世界絵本原画展(※1)で
グランプリを取った作家と、国際アンデルセン賞画家賞(※2)を受賞した作家に
交互に依頼することになっています。

※1ブラティスラヴァ世界絵本原画展:隔年開催の国際的な絵本原画展。
※2国際アンデルセン賞:子どもの本に貢献してきた作家・画家に与えられる国際的な賞。


eun-youngcho.jpg
図録の表紙絵は、チョ・ウンヨンさんの描き下ろしです。

 

ー今年の日本人入選者はどうですか?

高木:7人中5人が初入選です。今井彩乃さんは今までにも何度も入選し、
国内外でも絵本を多く出版しています。

2回目の入選になったスズキサトルさんはノンフィクションの作品を描かれています。
しっかりとものごとを説明しながらも、イラストレーションとしての個性もあり、
バランスが保たれています。
ご本人がアウトドアが好きだということも伝わってくる作品です。

ノンフィクションはすごく面白い分野ですし、
ノンフィクションとフィクションの中間部分の表現方法にも可能性があると思います。
ストーリー性の強い作品や、アート性の強い作品の応募数が多く、
ノンフィクションの応募が少ないので、
もっとノンフィクションの面白い作品が増えてほしいと思います。

 

スズキサトル(日本)「アウトドアブックス」

 

ー他に今年のボローニャ展で、印象に残ったことはありますか?

高木:アジア勢の勢いが年々増しています。
特別展示のペイジ・チューさんも台湾人です。
彼は自らをイラストレーターとは限定せずに幅広く活動するアーティストです。
「絵本はこういうもの」という概念に縛られていない絵本は面白いと思います。

それから、審査員の荒井さんには板美でもイラストレーター向けのワークショップを
行っていただきましたが、ワークショップで何をするのかを
参加者と一緒に作り上げていました。
ワークショップの目的は絵本を完成させることではなく、
色々な寄り道をしてから最終的に絵本の入り口に立てれば良い、というものでした。
荒井さんはご自身を講師としてとらえるのではなく、
参加者と同じ地平にたって、みんなと一緒に考えていくという
スタンスをとっていました。
結果的に出来上がったものが絵本の形にならなくても、
何か面白いことが出来たらそれで良いのではという考えだったのでしょう。
このやり方はとても荒井さんらしいものだったと思います。
“ワークショップ”とは何なのか、ということについても考えさせてくれるものでした。

 

pagetsou.jpg

ペイジ・チュー「鉛の兵隊」 


高木さん、ありがとうございました!
来年はどんな作品が入選するのか、とても楽しみになりました。 

 

CIMG2491_s.jpgのサムネール画像

カフェ・ボローニャのパンです!すっごくおいしかったです。
絵本売り場も充実していたのでおすすめです!。

 

また、メルマガ会員の皆様におみやげも買ってきました!
のちほどご案内の告知をいたします!(サイトウ)

 

 

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