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谷口正和 プロフィール

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2009年12月28日

キーワードの力。

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今は亡き水口健次氏

(戦略デザイン研究所代表取締役所長)が

始められた「百人百語」である。

百人のオピニオンリーダーが、

次なる時代を予測して、簡潔にまとめたものだ。

私も毎号参加させていただいているが、

今号は「晴耕雨読」とさせていただいた。

土砂降り状況が続く今、

心を鎮めて学ぶ時が今ではないかと思ったからである。

 

キーワードとはすごいものである。混乱した状況を言い当てると、

あたかも予言されたように、社会はその方向に進む。

来年も心してキーワードの創造に励もう。

2009年12月22日

花の姉妹。

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写真家の落合里美さんとフラワーデザイナーの落合惠美さんが

つくったフラワーデザインカレンダーを頂戴した。

落合惠美さんは「ブランディーユ」を主催されており、そのコンセプトはホームページによれば以下の通りである。

 

「ブランディーユはフランス語で小枝や細枝を意味します。

枝の繊細な先端部分やフレッシュな新芽やつぼみをイメージして名づけました。

カントリースタイルのアトリエはやさしい色使いの花であふれる心地よい空間。

ちいさな庭では草花が風に揺れ、猫達がのんびりとくつろいでいます。

自然のやさしさを感じながら花と過ごすひとときは本当に豊かで素敵な時間。

そんな花との出会いを1人でも多くの皆様にお伝えできればと願っております」

 

 自然界において、花くらい不思議なものはないだろう。

なぜあのように美しく咲き誇るのか(そもそも人間はなぜ花を美しいと感じるのか)。

進化論のような利害得失的な理解では、到底分からないだろう。

造化の妙と言ってしまえばそれまでであるが、

その根源には宇宙の秘密さえ潜んでいるように思う。

プラトンの想起説ではないが、

人間は生まれる前から美とは何かを知っているのではないだろうか。


 美しい贈り物をありがとう。


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2009年12月21日

心理市場。

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株式会社イッセイ・ミヤケの代表取締役社長、

太田伸之氏から御著書をいただいた。

『ファッションビジネスの魔力』(毎日新聞社)という本である。

サブタイトルに「FASHION IS THE GAME NAMED BUSINESS」とある。

ファッションはビジネスという名のゲームだ、ということだろう。

ファッションはブランディングのゲームであり、クリエイティブのゲームである。

必要不必要を超えた次元で競われるファッションは、

まさにTHE GAME NAMED BUSINESSである。

これはファッションに限ったことではなく、

現在市場に存在するほとんどのモノやサービスは、

物の時代の必要性を超えたところに存在している。

市場を動かしているものは心理であり、これを集合無意識という人もいる。

吉本隆明氏の『共同幻想論』ではないが、

文化が市場をリードする文化経済の時代は、

時代をカバーする心理こそがニーズの源だ。

重要なのはコンセプトとクリエーションである。

2009年12月17日

クオリアと旅。

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財団法人日本交通公社の常務理事、小林英俊氏から

『脳から考える観光~第14回海外旅行動向シンポジウム』をいただいた。

ゲストスピーカーは脳科学者の茂木健一郎氏である。

茂木氏が提出されたクオリアという概念は、

物の見方に新風を吹き込んだ。

水の冷たさやバラの赤さ、空の青さ、そこはかとない寂しさなど、

心の中で感じるさまざまな質感がクオリアだという。

 

旅はまさにクオリアであふれているだろう。

旅を続けながら俳句を作り続けた芭蕉、山頭火らの句を見ればそれが分かる。

旅人とわが名呼ばれん初時雨(芭蕉)、

分け入っても分け入っても青い山(山頭火)。

初時雨の質感、山の青さの質感が心に染み渡ってくる。

 

感動が詩になるならば、すべての旅人は詩人だ。

観光客から詩人客へ、旅にとってクオリアの意味するところは大きい。

2009年12月16日

ロングライフ・コンセプト。

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新品は最初が価値のピークで、それからは価値が下がっていくばかりだ。

日本の成長は「新品至上主義」で支えられてきたと言えるだろう。

新品の連打とその消耗的消費である。

言ってみればショートライフ・コンセプトだ。

このような流れにはっきりと一線を画し、

「デザイン事務所が考えたリサイクルストア」を立ち上げたのが

ナガオカケンメイ氏だ。

ビジネスというよりもデザイン運動という位置づけで、

中古品に対する独特の哲学で活動を続けている。

エリアの生産物や活動にも、

このロングライフ・コンセプトという視点からデザイン活動を行っている。

デザインとは、紙の上の表層的な処理ではなく、

社会全体を包み込んだ考え方のムーブメントだ。

ナガオカケンメイ氏の活動は、まさに時代の転換期をリードしている。

 

下の写真は、『D design travel』というナガオカ氏が発行する雑誌の

1頁に書き込まれた私へのメッセージである。

 

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2009年12月15日

生活の木。

 

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『「生活の木」の挑戦~世界一思いやりのある企業を目指して』(IN通信社)

という本をお送りいただいた。

鶴蒔靖夫氏という評論家が、

「生活の木」代表の重永忠氏の思想を余すことなく伝えている。

「生活の木」は生活哲学から生まれた企業で、

アロマ、ハーブ、薬香草などの販売や、生活に関するスクーリングなどを手がけている。

日本のライフスタイル・インダストリーの先駆けだろう。

 

自然との共生、暮らしの自然回帰など、

「生活の木」のコンセプトがそのまま時代のコンセプトに重なりつつある。

人はラーニング・ツリー、「学ぶ木」なのだ。

今後のご活躍をお祈りする。

 

2009年12月14日

3次元メッセージ。

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草月流家元の勅使河原茜氏から、素敵な絵本をお送りいただいた。

「てしがわらあかねのいけばなえほん」

(草月文化事業株式会社・出版部)という絵本である。

さてと絵本を開いて驚いた。

中がポップアップ方式の“飛び出す絵本”になっているのである。

「きせつをいける」「いけばなをいけてみましょう」「くうかんにいける」など、

子供たちにいけばなの楽しさ、美しさを伝えるのがテーマのようだ。

 

我々は2次空間表現になれすぎているが、

世界は3次元空間で成り立っている。

すべては「立体」なのだ。

自然は3次元で私たちにメッセージを送っているのである。

そのような本質的な問いかけを、この絵本から感じた。


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2009年12月 8日

真如堂と私。

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私が小中高と育ったのは、まさに真如堂のあたりそのものだった。 

真如堂のホームページによれば、

「今から、約1千年前の永観2年(984)、

比叡山の戒算上人(かいさんしょうにん)が、

比叡山常行堂のご本尊阿弥陀如来(慈覚大師作)を

東三條女院(藤原詮子。円融天皇の女御・一條天皇の御母)

の離宮があった現在の地に移して安置したのが、

真如堂の始まり」とある。

 

やはり千年の時の積み重ねは、

小さい頃の私に無言の影響を与えたのだろう。

私の自然観や美意識の根源は、

この真如堂の風景の中にあるような気がする。

いわゆる原風景である。

特に秋はその紅葉のみごとさは、

色彩と自然というものに対してある感受性を植えつけてくれた。

すぐそばにお墓があるのもまた京都の風景であり、

死生一体、今でいう死生学の場でもあった。

環境と人間の思考は、切っても切れぬものだろう。

 

真如堂と京都に感謝する。

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2009年12月 3日

未来に向かって矢を放て。

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21世紀はコンセプトの世紀である。

考え方がすべての行動の核となる。

そのような時代に向けて、業種業態、国家エゴや企業エゴを超えた

コンセプトを提示するために、

ライフデザインブックスというシリーズを立ち上げた。

現在『世界目線構想力』『ブルーバード・マネジメント』

『京の着眼力』『アート&シティ』の4冊を刊行している。

日経新聞の29日朝刊に広告を打った。

何事も自ら放った矢から始まる。ひとまず10本の矢を放つ予定でいる。

 

弊社ウェブマガジンの№6「私の本屋さん」で紹介している。ごらんいただきたい。

 

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2009年12月 1日

キッチンガーデニスト。

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いま農業がブームを超えて、生活の中に定着しつつあるが、

これは時代が生命コンセプトによって再編されてきたことの証だ。

当社でも、この時代の流れを「手帳」というスタイルで編集し、

『キッチンガーデニスト・ダイアリー2010』を制作した。

“世界で一番小さな畑”を楽しむための菜園手帳である。

おかげさまで評判もよく、TBSの「はなまるマーケット」でも紹介された。

当社のウェブマガジン№7で詳しく紹介しているので、

一度ごらんいただきたい。

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