囲み枠(上)
谷口正和 プロフィール

RSS

2009年6月24日

音・・・見えざるデザイン。

 

education1.jpg

 

私たちは、デザインとは見えるものによってできていると思っている。

それはたぶん違うだろう。

優れたデザインは、その半分以上見えざるデザインに負っているのだ。

建物を見るということは、空間を見ているということであり、

私たちは実はその見えざる空間を見ているのである。

最近建築物や自然のライトアップが盛んになってきているが、

光と影の演出によって、本来隠れて見えなかった意味が

浮かび上がってくる現象に驚かされることがある。

 


音は見えざるデザインの最大の要素と言えるだろう。

 

このたび青山大学総合文化政策学部教授である

鳥越けい子さんなどが翻訳した

「サウンド・エデュケーション」(R・マリー・シェーファー著、春秋社)を

鳥越さんからお送りいただいた。

音の環境のことを「サウンドスケープ」と呼ぶが、

私たちは常に何らかのサウンドスケープに

取り囲まれて生きている。

その環境は、一言で言えば、より機械的に、より直線的になっているだろう。

これが私たちの感性に影響を与えていないはずがない。

自然の本来のサウンドスケープは、

より曲線的であり、より多様である。よりファジーなのだ。


本書は一言で言えば、「音の聴き方」ドリルである。

100の課題リストに整理されていて、子どもだけでなく、

誰でも人間本来の豊かな耳の力を取り戻せるということだ。

音という、余りまだ研究されていない世界に、

ひとつのマイルストーンを刻む本だ。

 

鳥越さん、ありがとう。

HOME