eof; } ?> eof; } ?> 「衣」から世の中が変わっていきます:CAN Healthy Design Club

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2012年12月11日 13:30

 

~NPO法人日本オーガニック・コットン協会  渡邊智恵子副理事長~

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オーガニック・コットンとは、3年以上、

農薬や化学肥料を使用していない土壌で栽培された綿のこと。

化学薬品などなかった時代の農作の原点に立ち返った製品でもあります。

「衣」は私たちの生活に欠かせないものです。

人や環境にも配慮されたオーガニック・コットンが

私たちがヘルスデザインを行う上で、どのような影響を与えてくれるのでしょうか?

NPO法人日本オーガニック・コットン協会の

渡邊副理事長にお話しを伺いました。

 

 

「衣・食・住」という言葉がありますが、

どうしてこの順番なのか考えたことはありますか?

ただ単に、語呂がいいからではなく、

そこには、ものすごく大きな意味が含まれています。

人間が世の中に生まれた時、一番初めに必要になる物は、「おくるみ」です。

そして、母乳を口にし、それから生活が始まります。

そうした理由から、「衣」が初めにくるのです。

 

今から20年前、私がオーガニック・コットンの仕事を始めて

2年ぐらいの時に、90歳ぐらいのお婆さんからこの話を聞き、

とても衝撃を受けたことを覚えています。

そして、妙に納得し「着るものは、ないがしろにできないし、疎かにもできない」と、

自分のやっている仕事が間違っていないと確信できました。

 

オーガニック・コットンは、環境や人に対して、

できるだけストレスを少なくして製品化していこうという精神を持っています。

農薬や化学肥料を使用しないで栽培し、製品化する際にも

漂白、染料、定着剤、柔軟剤、防縮剤といった薬剤は一切使用しない。

綿本来の色を引き出すことで、

綿自体にもストレスを与えないため丈夫になります。

さらに、下着などの製品に加工する際には、

できるだけ縫い目が肌に触れないように工夫して縫製をしています。

肌の敏感な方や高齢者の方にとって、

乾燥した肌にかかる下着のストレスは相当なものです。

すべての工程においてストレスフリーでやさしくすることが基本。

だからこそ、とても感触がよく、誰にでも安心して着てもらえる製品が完成します。

生きていく上で、衣類は大切なもの。

元気に、笑顔で着てもらうためには、当然の工程でもあります。


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衣服と心と体の関係

 

近年、オーガニック・コットン製品で、普及が伸び続けているのが布ナプキンです。

1995年に起きた阪神・淡路大震災の際、仮説住宅のトイレに

使用済みナプキンが山積みになっている問題が起きて、

布ナプキン製作の依頼がありました。

実際に製品化できたのが1997年ですが、

この15年間のうち、使用者が増え続けています。

 

その理由は、ゴミが出ないことだけでなく、体への影響があります。

「経皮毒(けいひどく)」という言葉をご存知でしょうか?

シャンプーや化粧品など日用品に含まれる有害化学物質が

皮膚を通じて体内に入ることで、体に様々な影響を与えます。

 

紙ナプキンのほとんどは化学薬剤が使われています。

経皮毒は粘膜から吸収されやすく、

布ナプキンに代えたことで、多かった経血や、ひどい生理痛が

治まったという声が多く寄せられています。

以前、私の講演会に親子で来てくださった方がいて、

「2人で布ナプキンに代えたら、2人ともひどい生理痛がなくなりました」と

大変喜んでいただきました。本当にうれしく、感動しました。

 

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また、紙おむつからも人は変わっていきます。

生まれたばかりの赤ちゃんが紙おむつをすることで、

24時間化学物質の中にお尻を入れていることになります。

紙おむつはおしっこを吸収するため、お母さんは赤ちゃんの

お尻が濡れてるかを気にしません。

赤ちゃんは、おしっこをして気持ちが悪い時に泣き叫ぶことで、

すぐに新しいおむつに代えてくれるお母さんに安心感を抱きます。

紙おむつだと、おむつはしたままで、いつまでもお母さんは来てくれない……。

人の心は0歳から3歳までの間に育てられると言います。

母親や父親がいつも自分を見てくれている。

そして、気持ち悪くなったおしめを気持ちのいいものに替えてくれる。

これが子供の安心感を作り、その結果、感受性の豊かな子供に育ちます。

逆にいつも放ったらかしにされていることで、不安がいっぱいの子供になります。

そうなると猜疑心の強い子供になってしまい、人と戦う子になってしまうのです。

紙おむつを布おむつに代えていくことで、大切なものを失わずに済み

様々なことが変わっていくと思います。

 

2000年に日本オーガニック・コットン協会が設立されて12年経ちますが、

この12年の間に、人々のライフスタイルは大きく変化し、

心や体に異常をきたしている人が増え続けていることは間違いありません。

自分の体の悲鳴を真摯に受け取り、

大切なものは何かを考えて行動に移すことで、

確実に体は変わっていきます。

この布ナプキンや布おむつを使うことで、

「衣」を通して原始的な生活に戻ってもらうことが願いです。

そうすることで、人々も穏やかな生活を取り戻せるでしょう。

 

小さな積み重ねが “明るい未来” をつくる

 

現在の日本でのオーガニック・コットンのシェアは0.7%。

10%までになったら、世の中が変わると信じています。

メジャーにするつもりはないのですが、

10%になれば、みんなが買いたい時に買える環境が作れて、

オーガニック・コットンの本当の良さも、ますます広がっていきます。


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渡邊副理事長と株式会社アバンティのみなさん

 
こうしたオーガニック・コットンの啓蒙活動と共に

東日本大震災で被害を受けた福島県いわき市を中心に

オーガニック・コットンの栽培をする

福島オーガニック・コットンプロジェクトを進行中です。

 

日本の繊維の自給率0%の現状を踏まえて、

オーガニック・コットンで雇用創出も考えた、

繊維産業の再生と自給自足を目指すプロジェクトです。

 

私は、このプロジェクトを教育の場にもしていきたいと考えています。

 

繊維の自給率が0%という状態では、

自分たちが着ている衣類のルーツは辿れません。

子どもたちに、綿は畑の農産物だということと、

綿栽培は1年に1度しかできないことも知ってもらいたい。

様々な工程とたくさんの時間をかけて、衣服が出来上がっていくことを

学んでほしいと思っています。

 

今は100円ショップなどで、何でも買える時代です。

1年かけて綿を育てて、1年かけて製品にする

オーガニック・コットンの衣類は、

100円で買えるわけがありません。

 

出来上がったものしか見ていない子どもたちに、

商品に感謝する心も持ってもらいたい。

 

そして、10年後は、1%でも2%でも、

綿の自給率を増やしていきたいです。

そうすることで、綿の栽培が今よりも日本に浸透し、

健康を意識するだけではなく、衣類を大切にする気持ちや、

もったいないと思う気持ちが生活に影響を与え、

明るい未来が生まれてくるはずです。


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新しいことに挑戦するためには、

元気がなければできません。

私にとって、一番の元気の源は「速足」で歩くこと。

速足は、足の衰えを防ぎ、血液の循環がよくなって

脳の働きも活性化してくれるそうです。

20年以上、寝る前に腹筋50回を続けてますすが、

これはもう当たり前の習慣になっていますね。

 

 

 

 


 


watanabe-p.jpgProfile

わたなべ・ちえこ NPO法人日本オーガニック・コットン協会副理事長、株式会社アバンティ代表取締役。1975年株式会社タスコジャパン入社後、83年取締役副社長に就任。85年株式会社アバンティを設立し、代表取締役に。93年テキサス州アントニオ市に Katan House Japan Inc. を設立。同年、日本テキサスオーガニックコットン協会を設立。00年NPO法人日本オーガニック・コットン協会を設立し、副理事長に就任。08年「第26回毎日ファッション大賞」大賞受賞。09年平成20年度新宿区優良企業表彰経営大賞「新宿区長賞」受賞。経済産業省「ソーシャルビジネス55選」選出。日経ウーマン主催ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010総合7位受賞。

 

【NPO法人日本オーガニック・コットン協会】
http://www.joca.gr.jp/index.html

【株式会社アバンティ】
http://www.avantijapan.co.jp/


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