〜NPO ハワイシニアライフ協会会長 坂井諒三さん〜
私は、ビジネス人生36年のうち31年間が海外暮らしという
若干ユニークな経歴で、在職中はニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスと
転勤が相次ぎ、1985年からハワイ勤務となり、ここで定年を迎えました。
ハワイ暮らしは約20年と、海外では最も長くなりました。
退職後に何かしたいとずっと考えていたわけですが、
ハワイに長期滞在することの楽しさ、
ローカルの友人知人ができることのうれしさ、などを、
たくさんの人たちに体験してほしいと思っていました。
折りしも団塊世代がどしどし退職するような時期で、
まだまだ元気な人たちがもったいないなあ、とも思っていました。
そんなこともあって、現地の有志数人と立ち上げたのが、
ハワイシニアライフ協会なんです。
ハワイでのアクティブなシニアライフの実現、友人知人づくりのお手伝い、
そして草の根レベルでの日米交流への貢献などを目的にしたもので、
創立5年を迎えた現在、会員は1000人を超えました。
7割が日本、3割がハワイ在住です。
ハワイ好きの集まりですから、地域ベースでの活動も活発で、
北海道、新潟、群馬、千葉、大阪、名古屋、福岡、など、
いまや全国に16支部が設立、それぞれゴルフや旅行などの交流会、
講座イベントなど、様々にやっていますよ。
●スポーツも人生も後半戦がおもしろい!
ハワイ本部の活動もとても活発で、
例えば、昨年はゴルフ会や気孔の会、俳句の会、地ビールの会、
ヨットクラブでの懇親会、不動産・医療情報交換会などなど
多種多様なイベントを427も実施しました。
この3月に自主イベントとして開催した
「ジャパン・ハワイ・カルチャーエキスポ」は、日本とハワイの文化交流の
架け橋になるべく実施したのですが、
2日間の期間中に約8000人が来場し大成功でした。
やっていてうれしいのは、活動を通じて、
どんどんと人と人とのつながりができていくこと。
情報社会が発達すればするほど人間同士の関係が大事になってきますが、
この会では、言葉はよくないですが、「どうでもよい不特定多数」ではなく、
同じ「ハワイ好きの特定多数」とのつながりをつくることができます。
大切なのは絆なんです。
会のスローガンは「スポーツも人生も後半戦がおもしろい。一歩ずつ前へ」です。
つまり、イベントなどで交流のきっかけはつくります、
でもそこから先は自主自立的にお進みください、
そういうちょっとした勇気を持ちましょう、ということなんです。
そうした気持ちが大事だと思うわけです。
私自身、いまでも週3回はゴルフをやりますし、
去年65歳になったのを機に、なんとサーフィンを始めました。
これもあるサークル活動で60歳ぐらいの女性が、
サーフィンに挑戦したという話を聞いて刺激を受け、
自主的にやりだしたことです。月に3回ほどはやりますねえ。
いまはサーフィンが主で仕事は従という感じです。
私がやっているとみんな笑顔で拍手してくれますよ。
それがまたうれしいですね。
●「シニア」の真意は「成熟」で「上質」
例えば、ハワイといえばフラですよね。フラは日本でも大変な人気と
聞いていますし、ハワイで踊りたい人もたくさんおられます。
いろいろな大会もありますが、ある審査員によると、
審査のポイントは技術面ももちろんありますが、
自分自身が本当に心からフラを楽しんでいるかどうか、
というのが大きなポイントだそうです。
これも、自身が主役かということでしょうか。
協会の名称に「シニア」と使っていますが、
日本だと「老人」「高齢」イメージが強いようで、
若い人からは抵抗があるとの話をしばしば聞きます。
でも、本来の意味は、「成熟」「高級」「上級上質」といった感じで、
もっとポジティブなニュアンスです。
自主性を尊重し、さまざまなことに挑戦し、
歳を重ねたからこその「成熟」を理解する気持ちをもってもらえる、
この協会がそんな関係作りに貢献できればとてもうれしい。
私自身もこれから、この輪をロサンゼルスやラスベガス、
沖縄などでの協会設立にも広げていきたい。それが夢です。
Profile
さかいりょうぞう 1946年生。富山県出身。1970年、早稲田大学商学部卒業後、ソニー株式会社入社。ソニーアメリカの本社、支社勤務を経て、85年ソニー・ハワイ社長就任。2005年同社上級顧問となり06年定年退職、その後、ハワイシニアライフ協会を設立。