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2017年1月10日 13:30

この流れは形骸化した価値軸を立て直し、余白の中にベンチャーを芽吹かせる。

混沌が渦巻く今、鳥となって世界を俯瞰し、可能性が秘められた空間に明日を見つめる。

直感のベースにある感性という翼を大きく広げ、未来へと飛び立つ挑戦力が問われている。
■「サバイバル」が原則となる時代に
社会を俯瞰した時、2017年、最も注目すべき着想は100年を生きる時代の本格化だといえる。これは、常に生涯現役でいることを価値付ける社会の到来を意味する。そもそも人の寿命とは、人類史初期、平均寿命は20~35年だった。それが1900年に先進国の平均寿命は40~50年程度にまで延び、それからたった100年強の間で寿命が30年も延び、現在、平均寿命が約80歳となった。この平均寿命の伸長の約半分は20世紀に達成されたものである。そして今なお、延び続けている。2007年に日本で生まれた子どもの半分は107年以上生きるといわれる中、生き方の価値観を根底から覆していかなければならない。この混沌とした社会においても、科学技術の発展は、人の寿命を最大限にまで引き延ばしていくことだろう。我々に与えられた時間が延びていく中、ますます日常力が求められる。果たして生活者はどこに向かおうとしているのか。すべてにおいて旧態依然のままでは、もはや生活者の心の叫びをうまく汲み取ることはできない。彼らの声にならない声を深く拾っていくことで、この100年を生きる時代の向かうべき方向性がみえてくるのだ。

■個の単位が世界を動かす
かたや2016年はツーリスト・ソサエティ元年だったといえる。世界の旅行者数が11億8000万人と昨年比5000万人増となり、日本においても10月時点で訪日外国人旅行者が当初目標としていた2000万人を超えた。地球社会が流動と移動で構築された社会となり、ますます、いつでもどこでも自己の存在証明ができる自由社会へと突入している。すなわち、生活者個人の旅人化が進行した1年だったとも言い換えられる。こうして生活者のあるべき姿が浮かび上がってきた今、固定からの脱却である動態・変態が常態化している。過去のしがらみから、一人ひとりが解き放たれ、時間と空間を縦横無尽に行き来する。つまり、移動そのものが自己のバランスシートとなったのだ。その変化は、セクシャリティをパーソナリティへと変え、生涯は1回きりという価値を顕在化させ、それに相応しく生きるライフスタイルとして表出してきている。それは、イギリスのEU離脱、アメリカ大統領選でドナルド・トランプ氏の勝利、韓国朴槿恵大統領の失脚。そのどれもがサイレントマジョリティを呼び覚ませるバックグラウンドだったと言っても過言ではないだろう。
■生き方の革命
この変化は、ますます個の生き方が問われてくることを意味する。それは同調性、協調性が重視されたチームプレーではなく、個の役割が明確になったベンチャーチームというチームチャレンジャーとして自立していくことが必要となる。個性は、共通と差異を含有しながら社会の中で、中間へとリポジションする。その結果、手わざへの回帰や自己の固有性を見つめなおす動きが盛んになってきた。つまり、文化や思想を兼ね備えた冒険を生活者は楽しんでいるのだ。その冒険の先にあるものは、二者択一という限られた価値観を超えた第三の選択という新たな価値の提示となる。これまで選別と選択を繰り返した先に成熟化社会が登場してきた。しかし、その座標軸が一定の価値軸によって磨き上げられてきたものだとすれば、崩壊の危機にさらされているといえる。中間という同調にリポジションするのではなく「中庸」という行動によって新しい価値が見出される。現在、副業を持つ人は234万人。就業者に占める割合でいえば、たった3.64%でしかない。しかし、この「中庸」でいる余白を顕在化させることがクリエイティブとしての構想力を発揮していくはずだ。
■インテグレートという選択
構想の余白が新しいインキュベーションとしての役割を担う以上、価値観の顕在化は続いていく。それは誰かの価値観としてではなく一人ひとりの個性をより鮮明に映し出すことを意味している。それが生活者自身にとっても自由時間を取り戻し、新しい地球社会の創造へとつながっていく。個人とは個性の一単位であり、独自性を有する存在だ。芸術や文化は個人の独自性が成長していった先に生まれる。大量生産、大量消費の時代からオリジナリティのある人間性の時代へ。つまり、現象から本質へ。最小単位である個へと価値がインテグレートされた結果として、クリエイティビティが表出してきている。それは自己決定の速度の高まりから革新のスピード感も増している。物ではなく個そのものに商品価値が見いだされ、個が人生をかけて生み出した価値が、すべての芸術や文化の根源となって形作っている。文化と芸術を考える今こそ、社会のあり方に自己という着想を盛り込んでいくことが重要な意味を持つのである。個性乱舞のフリーエージェントな社会の今、オブザーベーションという着想を持って社会を俯瞰する必要に迫られている。
■夢見る社会財化へのシナリオ
その社会変化を一傍観者として、どのように見つめていくべきだろうか。ますます顕著になっていくサイレントマジョリティによる変革の狼煙は、今後も続くであろう。だからこそ、生活者の心の声に常に耳を傾けておかなければならない。なぜなら、生活者は欲求の最上位にある自己実現や自己表現として社会財化というシナリオを見ている。その個人の趣向こそが、これから巻きこる革命へのシナリオとなるのだ。集団で声高に変革を謳っていても、生活者一人ひとりはブレイクスルーの中心地にいるアスリートだ。その革命の旗手をしっかりとつかみ、社会をくまなく見つめる観察者として眺めておくことをおすすめする。社会分析を行うのはいったい誰か。それは声なき声として叫び続ける生活者自身が、どの分析者よりも分析に長けたスペシャリストであることも同時に意味している。社会に反旗を翻す生活者の姿や立ち居振る舞いをしっかりと見つめておく。しかし、ただ見つめ続けるだけでは、何も起こらない。われわれ自身も一生活者として立ち上がり、変革の旗手となるためには、360度の四方すべてを見つめ続け、嗅覚の立つ方角に向かって羽ばたく勇気が求められる。
■個に生命体としてのまなざしを
旅立った先にしか未来は待ち構えていない。時代は螺旋状に繰り返している。しかし、未来とは、従来の価値軸とは違った異次元のレベルに達するものである。小さな生活圏のネットワークも主人公はたった一人だけだ。そのチームがクラブファミリーとなって、混沌の時代を生き抜いていく。自らの得意分野を整理し、360度全方位に備える。そして、二者択一ではなく、どちらも正解という違和感のある「三択」とも呼べる新たな選択肢を用意しておく必要がある。まさに自己能力が開眼する時代の幕開けといえる。高い感性を携えた知性の中から生まれてくるインキュベーションを扱い、未来を描く。その価値の一体化が内外と隔てていた壁を壊し、構想の翼となってわれわれをワンランク上の次元へと浮かび上げてくれるはずだ。ここに新たな軸足となる価値の真理をおく。すると、より個人の責任の所在が明確になり、その総和が社会判断となって、再び個人の価値判断を新たな指針へと方向転換させていく。未来とは自由で自在なものとして私たちの下に舞い降りてくる。未来を決めてかかる必要はない。あなたが羽ばたいた時、遠くには必ず新しい未来が浮かび上がってくるのだから。