2009年12月26日

ほのぼのとした日

みなさま、クリスマスはいかがおすごしでしたか?
今年もあと6日です。
年末はなんだかもうバタバタで、忙しないですが
昨日お会いした方はそんな時間の流れとは
全然別の時間の中で過ごしているような方でした。
1月の作家、金工師の鎌田奈穂さんです。
ここ数日東京は暖かく、とりわけ昨日はお天気もよく
SAMメンバーはバスに乗って、
少し遠足気分で浮かれながら鎌田さんのお宅に伺いました。

アトリエも兼ねているお部屋は、とてもきれい!
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自分の部屋と比べて、少し恥ずかしくなるほどでした。。。
作品からも、佇まいからも、そしてお家からも
丁寧に生活している人のオーラが感じ取れます。

予備校生時代に通っていた古道具屋さんで
偶然目にとめた一枚の
DM。
そのDMに引き寄せられるように、
彼女は金工の世界に飛び込みます。
女のわたしでさえ、守ってあげたくなるような
そんな印象の女性ですが
その勇気と行動力の強さ、そして運命に感動しました。

休日にはよく蚤の市などをめぐって
古いものを探して歩くそうなのですが
時間の流れを纏ったものに、彼女の時間が流れ始めて
違和感なく自然に融け合うそれらは、見る側にもやさしく映ります。
ものに導かれて、とても自然にものをつくっている
そんな彼女に接しているとこちらまでほのぼのとしてきます。
ものづくりに携わる人と接したとき
とても違和感のようなものを感じてしまうときがあるのですが
彼女ほど自然にものをつくっている人に出会ったのは
はじめてかもしれません。
自分の道を見つけた人だけが持てる魅力なのでしょうか。
わたしには30年かけても見つけられずにいるもの。
自分の人生までも振り返ってしまう、
なんとも感慨深い不思議な一日でした。

 

きれいに整頓された小さな作業スペース。
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とんかちでたたく作業はかなり大きな音が出てしまうそう。
遠慮しながら、毎日17時までが作業時間。
いつか大きなアトリエで思いっきり作りたいなぁと語っていました。

作業中に出る金屑。
小さな紅茶の缶にしまってある感じがまたかわいいです。
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本棚に並ぶ本たちはその人そのもの。
お師匠さんの本もありました。
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お師匠さんが、お子さんに贈ったプレゼントたちが集められた本。
とても素敵です。遠藤もわたしも早速購入することに決めました!

本棚の隅っこでみつけたとんぼのやじろべえ。
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お茶をご馳走になりました。

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とても良い香りのする、green tea。器も素敵です。

撮影風景。
カメラマンは前回に引き続き、わたしの友人の樋渡さん。
クリスマスということで、トナカイのセーターを着てました。
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壁にぽつんと飾られた
友人にもらったという古い一片のタイル。
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コミカルな絵が思わず笑顔にさせます。
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クリスマスの昨日、わたしは彼女のお家で
素敵な時間をプレゼントされた気がします。

来年1月1日にスタートする鎌田奈穂「muslin」展、
みなさまどうぞご期待ください。
わたしもいろんなことを考えさせられた彼女のインタビューも
是非ご覧いただければうれしいです。

ではでは、みなさま良いお年をー
来年はもっといろいろと活動していきますので
どうぞよろしくお願いいたします。
 
(kubo)

2009年12月21日

かくたみほ写真展&トークイベント

ちょっと時間が経ってしまいましたが
先々週の金曜日、私たちSAMメンバーは雨の中、吉祥寺へ。

弊社でもちょこちょこと
お仕事をご一緒させていただいている
写真家のかくたみほさんに会いに行きました。
場所は、OLD / NEW SELECT BOOKSHOP「百年」
という古本屋さん。

ここで、『フルカワヒデオスピークス!』presents
かくたみほ写真展「ツーショット」が開催されていたんです。

クラシカルな木の扉を開けると、
20畳ほど(?)のこぢんまりとしたスペース。
そこに所せましと並ぶ、本。

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塗装に味が出たアイボリーの壁に、
額に収まることなく無防備な姿で、かくたさんの写真作品は
壁に貼られていました。

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作家・古川日出男の初対談集『フルカワヒデオスピークス!』の刊行を記念して、
対談の写真を撮影した、かくたみほの写真展を開催します。
単行本には掲載されなかった、
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、
iLL(中村弘二)、坂本慎太郎(ゆらゆら帝国)ら、
7人の表現者たちとの未発表オフショットに、
古川日出男が直筆のテキストをつけたコラボレーションによる展示です。
(写真展解説より)

この日は、写真展を記念して、トークイベント
「スリーショット~本で表現する、本を表現する~」
が開かれました。

メンバーは、
かくたさん、ブックコーディネーターの内沼晋太郎さん、
本のサロン「サウダージ・ブックス」を運営する淺野卓夫さん
の3名。

彼らのお話に、
小さな空間の30~40名ほどが、
皆で肩を寄せ合う格好で、
静かに耳を傾けます。

小さな古本屋、古い紙とインクの匂い、
無防備なかくたさんの写真、
そこにぶっきらぼうに書かれる文字、
あと、あっさりと飾られている和田誠のイラスト、とか。
吉祥寺っぽい。

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本を、作ったり、考えたり、遊んだり、
いろいろな本と出会ったり、
その出会いを作ったりしている彼らの
ちょっと哲学な、お話は、
人をなんとなく酔っ払いにさせる効果がありました。

印象的な一節は、
デジタルで残されていく表現物の是非。
かくたさんは、
デジタル写真は愛せない、と。
写真特有の「切り取られる瞬間」は、
デジタルでは残せない、と。
一方、
内沼さん曰く
文字の表現物なら「逆に残る」。
うーん・・・、皆さんはどう思いますか?

あと、淺野さんのお話で面白かったのは、
ブラジル日系移民の話。
日系移民の中でも、文明と距離のある暮らしをしている人たちがいて、
淺野さんは彼らと一定期間、一緒に過ごしたらしいのです。
テレビもラジオもなく、昼間は農作業の生活の中で、
ひと家族に一冊の本があるだけ。先祖が日本から持ってきた一冊を
大切に受け継いで、日々ページを少し捲るのだとか。

 

その話を聞いて私が少し酩酊状態になっているうちに
淺野さんの話は展開していて
レイ・ブラッドベリのSF小説「華氏451度」のあらすじを語り始める。
それが、また引き込まれた。

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本って、そもそも何なのだろう、
えーと、何だっけ?? と、なってしまう
そんな時間でした。

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かくたさんの初写真集「あふるる」発売中です。
題字を、一冊ずつ直接手書きしているというから、驚きです。
本人曰く、「せっかく自費出版で作ったのだから、
既製品にはない感触を出したかった」。
(endo) 

2009年12月18日

スパイラル25周年イベント Thonik Exhibition "en"

株式会社ワコールアートセンターが経営するスパイラルは、
2010年10月に25周年を迎えるそうです。
そこへ向けてのキャンペーンが今年9月より始まっていて、
この25周年キャンペーンのロゴを含むVIを手がけたのが
Thonik(トーニック)。
12月15日、日本初となる「トーニック」の展覧会が
スパイラルガーデン 1Fで始まり、
そのオープニングレセプションに行ってきました。

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「トーニック」のグラフィックツールと日本オランダ年のDM

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スパイラルガーデン奥の会場にはコンセプトフラッグ

「縁」 「宴」 「園」 「煙」 「猿」 ・・・

通常、カフェとして営業している場所を展示に使い、
奥の展示会場をカフェスペースにするという
大胆な発想で演出されていて、
テーブルや食器はトーニックデザインのものが使用されていました。
なじみのあるスパイラルループの下はカフェ。
見上げるとVIコンセプトの"en"を様々な「えん(漢字)」で仕上げた
フラッグが優雅に揺れています。
"en"はオランダ語で"~と(and)"の意味らしく、
日本語の「縁」という言葉から発想し、
「えん」の発音を発展させたクリエーションを展開しています。

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カフェ床面をギャラリーに 巨大カーペットの展示 

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カフェ横の展示通路に飾られた巨大カーペット 

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こちらも巨大カーペット作品 

気鋭と品格

トーニック」のデザインはコンセプチュアルでインパクトがあります。
新鮮な着眼でのロジカルなアイデア。
計算された構造の中から導きだされた
シンプルで力強いグラフィックが会場全体を包み込み、
躍動感と鮮やかな色彩に満ち溢れています。

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アムステルダムミュージアムナイトのためのポスター

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作品展示風景

縁のスパイラル・・・

デザインスタジオ「トーニック」は
Thomas(トーマス)とNikki(ニッキー)の二人が
1993年アムステルダムに開設したスタジオのこと。
「トーニック」を私が初めて知ったのは今年の8月。
知人でジャーナリストの川上典李子さんが寄稿されている
FIGAROのコラム「デザイン・ジャーナル」でした。
そこではトーマスとニッキーと子供たちが送る
サマーバケーションのお話と、
スパイラルとの取組みが紹介されており、
とても興味をもって読ませてもらっていました。

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thonik(トーニック)のトーマス(中央)とニッキー(左)

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ジャーナリストの川上典李子さん(左)とニッキー(右)

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ニッキーとその子どもたち

このオープニングの日は、川上さんがナビゲーターを努められた
アーティストトークも開催され、
その後のレセプションで
トーマスとニッキーをご紹介いただきました。
お子様二人も一緒に来日されていて、
川上さんのコラムで拝見した写真通りの素敵なファミリー。
裸足で会場内を走り回って元気いっぱいの
かわいらしい下のお嬢さんと、
その様子をやさしく見守るかっこいいお兄ちゃん。
トーマスは、秘められた信念を感じる眼力で、
最初少し腰が引けてしまいましたが、
お話ししているうちに、初めて会ったとは思えないくらい
気さくで優しく、品位ある人柄。
ニッキーとも楽しくお話させていただき、
これも「縁のスパイラル・・・」かなと。

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thonik en(美術出版社)

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会期は12月29日(火)まで。
スパイラルの25周年を見事に未来へつなげているように感じました。
オランダを代表するデザインスタジオ「トーニック」のエネルギーを
ぜひ体感してみてください。
(kagawa)

Thonik(トーニック)

1993 年にThomasとNikkiによって設立された、グラフィックデザインを用いたヴィジュアル・コミュニケーションを得意とするオランダを代表するデザインスタジオ。意味を最小限に抑えたクリアなコンセプトを、クリーンでヴィヴィットな色の組み合わせと、力強いデザインを伝えるのがトーニックのスタイルである。メディアの間を行き来する冒険的なコミュニケーションのアプローチや、PRキャンペーンを発展させた手法で、カルチャーシーンのみならず、政治的、社会的、様々なフィールドで活躍している。VI(ヴィジュアル・アイデンティティ)を手掛けた主な仕事に、ユトレヒト美術館、ヴァン・ゴッホ美術館、アムステルダム市、オランダ社会党(SP)、ヴェネチア・ビエンナーレ建築展などがある。

 

川上典李子 ジャーナリスト、エディター
Noriko Kawakami  journalist、editor

デザイン誌『AXIS』編集部を経て、94年独立。ドムスデザインアカデミーリサーチセンターの日伊プロジェクトへの参加(1994-1996年)を始め、デザインリサーチにも関わる。
現在は、「21_21 DESIGN SIGHT」のアソシエイトディレクターとしても活動。主な著書に『資生堂パーラー』(2002年 求龍堂)、『Realising Design』(2004年 TOTO出版)。デザイナーの作品集の解説執筆に『TSUTOMU KUROKAWA 黒川勉のデザイン』(2006年 TOTO出版、ADP(英語版))、など。『Gabriele Pezzini ----The Warrior Designer』(2006年、Logos)、『ひびのこづえの品品』(2007年 グラフィック社)、『Thonik Exhibition "en"』(2009年、美術出版社)ほか作品集への寄稿多数。


 

 


 

 


 

2009年12月 1日

荒川 靖彦「うつつ」展スタート!

12月に入りました。今年もあとひと月。
東京は益々寒くなり、街路樹の銀杏がきれいな黄色に染まっています。

毎月更新しているARTIST OF THE MONTHですが、
12月の作家:荒川 靖彦さんの「うつつ」展、本日スタートしました!
独特の世界観をもつ作品たちは、みていると
夢の中のような、不思議な気持ちにさせてくれます。

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今回から作品を生活空間の中でとらえた写真も展示しようということで
撮影場所として「SIGN」という、広尾にあるインテリアショップに
ご協力いただきました。

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恵比寿駅から駒沢通りを広尾方面に徒歩15分ほどの場所にあります。

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店内はコルビジェの家具や宮島達男の絵画、
ユニークなオブジェなどが配置された素敵な空間。

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そんな空間の中、自由に撮影させていただきました。

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カメラマンは、わたしの友人の樋渡 崇桐(ひわたし たかひさ)さん。
忙しい中、ご協力くださいました。

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10月にオープンして、3回目の作品展ですが
こうしていろんな方たちに支えられて実現していることに
改めて感謝の気持ちでいっぱいです。

それでは、今年最後の作品展
荒川 靖彦「うつつ」展、是非ご覧ください。
(kubo)



 



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