私がつくる、未来への処方せん | セルフドクタークラブ 

 

20160201-1.jpg

竹細工職人 田中久夫さん


須賀川竹細工振興会 会長

田中 久夫さん

 


江戸時代より須賀川地区に伝わる竹細工。

田中さんは、80歳を超えた現在でもモノづくりへの探究心を欠かしません。

伝統的な良さを守りながらも、新しい編み方を取り入れたり、

デザインに工夫を凝らしたりしています。使えば使うほど馴染んでくる竹細工。

最近では、作品に魅せられた人たちが、田中さんを訪ねてくるそうです。

 

 

●生活の中に溶け込むデザイン

 


振興会ではいま女性ががんばっています。

新しい編み方を提案してくるのはたいてい女性。ペンションやめて始めたいとか、

須賀川住民ではない人がやたら元気なんです。

今度、矢羽編みという手法を群馬県から先生を呼んで学ぶことにしていますが、

これはこれまで竹細工にはなかった編み方です。

去年も返し編みという古来の技術を復活させました。

一旦はすたれたものに、新しい人が取り組んでいるわけです。

 

それに、このところデザインを大事にしています。

ちゃんと生活に入り込むデザインを考える。これは大事なことだと思いますね。

80歳を超えたこの歳になっても、新しい編み方や、より好まれるデザイン、

形について勉強しています。

例えば狭い居住空間には丸よりも楕円形がいいのではないかとか、

いままでない形を考えることで、目新しさも増します。

魚籠(びく)を途中でちょん切って手をつけるだけで、

生活の中にずっと入りやすくなる。これをなぜやらなかったか、

考えなかったか、つまり、いかに我々が怠慢で惰性的で自分本位だったか、

ということなのです。

 

根曲り竹は、表面は強いが裏返すと曲げに弱い。

でも1年ものの竹を使って、ひねることでクリアできた。

これまで籐でやっていた技術を根曲り竹に取り入れたのです。

従来は2,3年ものしか使えないという固定観念がありましたが、

1年ものを使ってみたらできるし、強度も問題なかった。

これまでこのことに疑問を持たなかったわけです。

“サルが芋を洗う”ことを覚えたくらいの発見でしたね。


 

 

20160201-2.jpg

 

 

●人と人をつなぐ“竹細工”

 


竹細工は、30~40年と使い込むほどにだんだん飴色に変わり馴染んできます。

プラスチックは最初が一番いい状態ですが、

「竹は時間が経ってからが、あなたにとって最高の道具になる」と

お客様には話しています。

 

私たちが作った、商品しおりには、

「あなたが育ての親、私は生みの親」と書いています。

先日、そのしおりを見た人が、「この表現には自分も参加する感覚があります。

 育て役だと思ったら生みの親にとても会いたくなった」と

わざわざ訪ねて来られました。作る人と使う人には距離があるものですが、

それはできるだけ近い方がいい。とてもいい言葉だと思いませんか。

言葉の大事さをこの歳になって感じます。もの作りは言葉づくりでもありますね。

 

このところ私の家を訪ねてくる人が増えました。

先日は神奈川県の藤沢からはるばる来られたし、ネットを見て、

と6人連れで来る人たち、松本から2時間運転してくる女性、

近いところに古民家を買って通ってくる人など、たくさんいらっしゃいます。

これは一体なんなのでしょうか。私は「時代」だと思います。

今は人同士の連帯感が薄く排他的でもある。

それは人間を冷たくしていくと思う。社会が変わってきている。

そこに私がいたということでしょう。だからこそこの活動は大事なのだと思います。

 

そして、そういう人たちは必然的に習得も早い。気持ちが違うとスピードが違う。

竹割3年、編み方3年で一人前と言われてましたが。

1年も経たずに竹割ができてしまう。私の立場がないですよね。

 

いま、これまで無理だと言われてきた竹割を機械化する方法を

研究していますが、その目途も立ちつつあります。

それが実現したら、竹割に使っている時間を編む事に使える。

いろいろ考えると、何だかとても楽しくなってきました。

これからも楽しみながら続けていきたいです。

前編はこちらです。

 

20160201-3.jpg

 

 

 

<プロフィール>

 


 

たなか・ひさお

1963年(株)信濃旅行会社を退社後、新聞販売と牛乳販売店を開業。

77年須賀川竹細工振興会設立。80年新・須賀川竹細工振興会設立し、82年事務局長を経て、

98年会長に就任。現在に至る。

 

  • ヘルシーインタビュー
  • アジアンビューティへの道
  • 島ぐらし研究会
  • 村ぐらし研究会
  • ヘルシーハワイ
  • 地域の健康ステーション
  • CANALYZE
  • 女性の生き方研究会
  • NEWS&TOPICS
  • PICK UP BOOKS
  • PICK UP BOOKS
  • PICK UP BOOKS
Copyright 2014 Japan Life Design Systems. All rights reserved.