私がつくる、未来への処方せん | セルフドクタークラブ 

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「精一杯やったけど、ダメだった」のほうがいい

個人が所有する建物を保存するために、行政がお金を出すはずもない。だから株式会社を立ち上げ、出資者も募った。自ら資金も工面した。もう後には引けない状態に自らを追い込んだ。

お棺に足を突っ込んだ時、「あの時やればよかった」よりも、「精一杯やったけど、ダメだった」のほうが、自分の性格に合っていることは分かっていた。古民家レストラン『創舎わちがい』オープン当初は、「3年もてばいい」とも言われたが、それがかえって火をつけた。

「それなら、何が何でも4年以上はやってみよう」
仕掛けたのは、マイナスをプラスに変える、逆転の発想からだった。なぜなら、店の立地は決してよくはない。駅から徒歩10分、しかも上り坂。横づけできる駐車場もない。でも、それが悪い条件なのかは、やり方次第。お客様が道をたずねれば、町の人たちとの触れ合いになる。だから駅には看板を出さなかった。広告宣伝費はゼロ。その分、お客様に「わざわざ来てよかった」と思ってもらえる精神的満足感、価値観を提供しようと努めた。

 

 

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女子力に期待し、最大限活用しながらも、表には出ずに女性を引き立てる、男性スタッフがいてくれることにも感謝している

 

人をうまく巻き込んでいく

町のため、子や孫のため、まさに〝ずく〞を惜しまずやってきた彼女のもとには協力者かが集まってきた。

「『創舎わちがい』を立ち上あげた時は、斜に構えて見ている人ばかり。歴史的に重要な建物を残す意義を理解できなかったんです。でも、それから5年後に、かつて麻を貯蔵していた『麻倉』、7年後に江戸時代の塩問屋の建物を使った『塩の道ちょうじや』を掃除した時は、小学生から90歳まで200人もの方々がボランティアで助けてくれました。ありかがたいです」
ひとりの力には限界がある。町おこしの成功の秘訣は、いかに人を巻き込んでいくか。そのうまさが光る女将のまわりには、素敵な女性たちもそろった。「子育て中の女性、若い女性など、自分の能力を試してみたいという女性ばかり。女性の感覚というのは大事。それを活かしていきたいのです。彼女たちなら、いつかはそれぞれ独り立ちしてやっていける。それが実現できるように、もっともっとずくを出します」

 

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お客様の不満は、成長するきっかけになる

お客様をお迎えし、お帰りになるまでが大切と説く。第一印象で「この店に入ってよかった」と思っていただく。心を込めた料理をおいしく味わっていただき、帰り際には、感謝を込めてお見送りをする。それが〝おもてなしのフルコース〞。

「ここまでやって来られたのは、お客様とのよいご縁だとつくづく思います。お客様が置いていってくださった不満が、私たちの成長につながりました」

「もっとこうすればよい」と助言をくださるのは、身内の意識があるからこそ。「こんな店、どうでもいい」と思ったら、何も言ってはくれない。最初の頃は、不満を聞くのは怖くて辛いことだったが、今はようやく聞けるようになった。それができるようになったのは、地産地消や伝統的な食材にこだわり、大切な食をお出ししているという自負が芽生えたから。

大町の気温は冬場、氷点下度まで下がる時もある。おそらく『創舎わちがい』は日本一寒いレストランだろう。足にしもやけができるような地域でしか出せない食材を活かし、ここでしか味わえない文化を大切にしていきたい。

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