私がつくる、未来への処方せん | セルフドクタークラブ 

 

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北里大学

薬学部教授/薬剤師

吉山友二先生



地域一体となった医療ケアが必要とされる時代に入ってきました。

その情報拠点として期待が集まる薬局ですが、

乗り越えなくてはならないハードルも少なくありません。

それらを踏まえて昨年1月に公表された

「薬局の求められる機能とあるべき姿」という学術論文が業界では話題になったようです。

地域に暮らす人々の目線に立つと見えてくることもあるかもしれません。

それをまとめた吉山友二先生にその主旨などを解説いただきました。



地域でケアする時代の薬剤師のあり方


この20年で医療界や健康の概念も大きく変化しました。

何が一番変わったかというと、例えば在宅医療と地域医療です。

つまり、がん患者さんの場合、昔なら病院の中で抗がん剤を注射していたのが、

家にいながら外来で治療をするようになってきたわけです。

そうすると高度なお薬、治療法、副作用なども地域コミュニティでケアすることになり、

それだけ高いレベルの薬局や薬剤師が必要になってきます。


一方、WHO(世界保健機構)でも、軽微な体の不調については

自分でケアしていくというセルフメディケーションの推進をアピールしており、

また国内でも病院総数を減らして地域療養型に変えていくという流れが出ている。

こうした動きに対して薬剤師はどうするべきか。

あるいは薬局はどういう形であるべきかということを昨年提案させていただきました。

 


セルフメディケーション支援と健康情報の拠点として


処方せんを持っていく所を一箇所にするという、

システムとしての「かかりつけ薬局」機能も非常に大切ですが、

それだけでなくセルフメディケーションをされようとする方のサポートや、

在宅医療、地域医療において、お薬以外の健康情報や介護用品の紹介。

あるいは医師やヘルパーさんの仲立ちをすることなども大切な仕事となると思います。

要は、病院以外の全てのお薬と健康に関わるものが

「かかりつけ薬局」の役割であると認識しています。


薬剤師は昔から健康を守る“町の化学者”ということに変わりはありませんので、

処方せんがないと入りにくい雰囲気ではなく、

気軽に町の健康情報拠点として利用していただきたいですね。

 

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一声かけてこそわかることもあります


薬のことではなくても一声かけて聞くだけでわかってくることもあります。

例えば、口の渇きというのは健康寿命にも関わってくる問題で、

一般に歳をとると口の中が渇きやすくなってきます。

北里大学の院生が調査して一言口が渇いていますかと聞いた結果と、

診断用のろ紙を使って出た結果のデータも一致しました。


さらに、65歳以上の方が持っている処方箋の内訳を見ますと、

循環器系、消化器系、不眠など精神系、これらの7割強のお薬が副作用として

口内を乾燥させますので、服用するお薬によってさらに口が渇く条件が揃ってしまうのです。

病気も増えますから仕方がないのですが、ここでは口が渇くことが問題ではなく、

渇いていたら水を含むなどして湿らせることが重要。

そうすることで健康寿命も延びていくことが期待できるのです。

 


健康な時にこそ、何かの時に備えて利用したい


何かあったら薬局に聞いてください。

事が起きてからではなく、健康な時にこそ悪くなった時に対応できるように

普段からもっと気軽にご利用くださいということをあちらこちらで

お話をして広める活動も行っています。

事件があったら110番、火事になったら119番も小さい頃から繰り返し言われてきて浸透します。


お薬手帳も20年前はなかなか普及しませんでしたが、

持ってくるのを忘れないように保険証とお薬手帳を一緒に管理してくださいと言ったら、

所持率が15%から85%まで上がり、今ではお薬手帳も浸透してきました。

お薬は病気の時しか使わないので、健康な時に来ていただくのは難しいですが、

地道にやっていくしかないのかなと思っています。

 

生涯にわたり学び続ける姿勢を持ちたい


アメリカは生涯学習が進んでいますが、10年前に渡米したときに、

その分野のトップともいえるある事務局長が、我々は間違っていたと話しました。

何を間違えたかというと、必要とされたものを把握した上で提供するということを

見誤ったというのです。

 

 例えば、静かな地方の薬局で働く薬剤師と、48時間病院で泊り込むような

ハードな現場に立つ薬剤師では必要とされるものが大きく違うということ。

となると、彼らがハッピーになるには、それぞれに合った生涯学習が必要です。

私はまだそこを追いかけられていませんが、

将来的にはそうした場合に応じて必要な医療を、

働き方も含めて勉強し提供できるようにしなくてはいけない。

患者さんが我々に求めるものもそこにあるのではないかと思っています。


 


<プロフィール>

よしやまゆうじ  医学博士。1982年北里大学大学院臨床薬学特論修了。

同年北里大学病院薬剤部勤務。85年同薬学部病院薬局学教室講師として

大学病院に常駐勤務。95年より共立薬科大学臨床薬学教室助教授。

2013年より現職。研究分野は臨床薬学、臨床薬理学(認定・指導薬剤師)、時間薬理学。

『時間薬理学』(朝倉書店)、『薬物相互作用トップ100』(医歯薬出版)、

『薬と病気の本』(保健同人社)など著書多数。

 

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