私がつくる、未来への処方せん | セルフドクタークラブ 

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日本コミュニティファーマシー協会

理事長

吉岡ゆうこ

 


いわゆる「かかりつけ薬局」を知っていますか?

健康について気になることがあったら、

気軽に相談したくなるようななじみの薬局。

ヨーロッパでは当たり前なのだそうです。

日本でも社会的な健康トレンドが大きく変わりつつある中で、

地域の薬局や薬剤師のあり方も変化しています。

ドイツの薬局をモデルにしながら、実践的に取り組む吉岡さんに、

その考え方などを聞きました。

 

コミュニティーのセンターとして 


薬局や薬剤師は、知識や技術、対応の仕方に加えて、

それなりの責務と覚悟を持ち、

本来の役割や機能を踏まえた地域の健康情報拠点としてあるべきだと思います。

いろいろな形で人々の暮らしに関わりながら、

皆さんが心身ともに健康でポジティブに生活できるような

地域社会づくりのセンターにならなくては、ということです。

 

そうした薬局のことを海外では、

コミュニティファーマシー(地域薬局)と呼んでいます。

このところ日本でもそういう薬局を「かかりつけ薬局」と呼ぶようになってきましたが、

我々はそれをより親しみやすく、「いきつけ薬局」と表現しています。

 

グローバルな視点でみると、世界の薬局は、

「ホスピタルファーマシー」と「コミュニティファーマシー」の2種類しかありません。

簡単に言えば、前者は病院内にあり、後者は地域にある薬局のこと。

地域密着型ということです。

イギリスは別ですが、ドイツやイタリアなどヨーロッパの国では、

1薬剤師で1薬局しか開局できない仕組みになっています。

ドイツでは現在、緩和されて3支店まで持てるようになりましたが、

実際に4軒を経営する薬剤師はまだそれほど多くはありません。

 

地域の中で、薬局を1軒のみで維持経営していくのは並大抵のことではないです。

地元に深く入って、そこで暮らす皆さんに信頼されなければ

立ち行かなくなってしまうからです。

ドイツの薬剤師はある意味、覚悟があるということかもしれません。

目線が地域の生活者に向いているかどうかはとても重要なポイントなのです。

 

 日本とドイツの融合スタイルとは


ドイツにはこの10年ぐらい通っており、

毎回、ハイデルベルクにあるドイツ薬事博物館を訪問しています。

ドイツに行くきっかけとなったのは、

ロッテンブルクで開局している日本人薬剤師がいると聞き、

2003年に視察ツアーを実施したのが始まりです。

それがセントラルアポテーケ(薬局)のアッセンハイマー慶子先生で、

協会の理事もお願いしています。

 

当協会では、ドイツと日本それぞれの特性を融合させた

日独融合型の薬局の姿を目指しています。

地域に根差したドイツ流の薬剤師マインドと調剤のみならず

一般医薬品や化粧品、健康食品なども扱っているドイツの薬局。

在宅医療を実践し、患者の飲みやすさや使いやすさを考えた

調剤を行っている日本の薬局。

その二つを融合しようというものです。

 

そのスタイルを日本に定着させたいですね。

それをわかりやすく、イメージイラストにもしています。

高齢者の集まる場があり、健康データを測り、

薬の説明を受け、一般医薬品や健康グッズも購入でき、

個室相談室や無菌調剤室もある。

もちろん24時間対応。

これを協会の店舗開発委員会で実現に向けて検討を進めています。

 

理詰めでなくピュアにシンプルに


具体的な取り組みですが、まずテーマは

「地域包括ケアの5領域(医療、介護、予防・健康、生活、住まい)への参画」

においています。残念ながら一般の方向けではないですが、

その総合学習の場として薬剤師を対象にした

コミュニティーファーマシーフォーラムを立ち上げ、

5月に第2回目を開催しました。

その他に、学術講演会や海外視察ツアーなどが主なプログラムとなっており、

4月からは実践的な研究会を立ち上げました。

 

大阪のある薬局でもドイツ視察がきっかけで変革が進んでいます。

近隣の皮膚科の医師と連携し、学習会やハンドマッサージ体験、

健康相談会、料理教室、子供向けイベントなどに着手しています。

やはりリーダーがどう考え、どう動くかですね。

 

何か仕掛けなくては、と構えるのではなく、

いいなと思ったらすぐに実践する。

理屈以前の仕組みをつくるのが大切。理詰めではないのです。

本来、薬局の果たすべき役割というのは

もっとピュアでシンプルなもの。

そこにまず素直に取り組んでいけば、

地域の人たちにも薬局ってこうなんだと認めてもらえるのです。

 

次世代の薬剤師育成をミッションとして


個人的には、大学卒業後に7年間保険薬剤師をやり、

 その後、病院薬剤師を経験して、

薬剤師の教育研修を行なう会社を作ったのが2000年のこと。

2007年に薬学部の6年制教育が始まり、

役割がなくなるだろうと思っていたら、

薬歴未記載の問題をはじめ、色々な問題が急浮上してきた。

これは私たちが学んできたことをきちんと次世代に伝えていかないと、

と危機感を感じています。

 

いまあらためて自分が勉強してきたことを見直していますが、

結果、言っていることは本質的には変わっていないということを再確認しました。

ただ、例えば、薬学の諸制度の成り立ちといった基本的なことすら、

それを歴史認識としてしっかり教える場がない。これが問題なのです。

 

地域包括ケアを完成させるにはまず、

患者さんにチーム医療というものを認識していただかなくてはならず、

これからその啓発が重要になります。

それがコミュニティファーマシーの役割なのです。

患者さんを真ん中に置いて、

三位一体を超えて四位、五位一体になっていく必要があるわけですから。

 

社会を見る「コミュニティーファーマシスト」に


冒頭話しましたが、そのためにはコミュニティの中に入り込んでいく。

例えば、街場の居酒屋や衣料品店などにもどんどん足を運ぶ。

情報提供するには情報受信ができていないと。

生活者の課題を薬局のお店を通じて解決するとか、

これまでそういうことをしてこなかったように思います。

要は、社会を見る、ということです。

 

それが「コミュニティーファーマシスト」です。

薬剤師というのは、本来は“泥臭い”ものなのです。

その土地ならではの特性を十分にわかった上で、

プロの目を持って受信した話を整理し、

情報提供に変えていかないといけないでしょう。

 

地域で暮らす人には、いい薬局をみつけてもらいたいですね。

皆さんにもチーム医療に参加してもらわないと。

健常者へのサポートも。

そうしたことを、まずは薬剤師が責務とともに

薬局を通じて伝えていきたいですね。

 

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<プロフィール>

よしおかゆうこ 1981年長崎大学薬学部卒業。

九州大学附属病院薬剤部で研修後に保険薬局勤務、

88年日本医科大学多摩永山病院、

91年伊藤医薬経営研究所などを経て、

2000年ネオフィスト研究所開設し取締役所長、

13年から現職を兼務。

 

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