2011.8.12更新



板橋区立美術館


 

「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」



に行ってきました ②



     

DSC00365.JPGボローニャ・ブックフェアの入り口です

 

 

板橋区立美術館で、ボローニャ国際絵本原画展を担当されている

学芸員の松岡希代子さんにお話を伺いました。

今回の記事では、ボローニャ国際絵本原画展について

ご紹介いたします。

  

☆「ボローニャ国際絵本原画展」とは? 

 

—ボローニャ国際絵本原画展の成り立ちや日本の絵本作家さん

との関わりについて教えていただけますか?

 

松岡:1967年から始まった「ボローニャ国際絵本原画展」

(以下ボローニャ展)は、児童書専門の見本市

「ボローニャ・ブックフェア※」の中で行われている展覧会で、

見本市を商業主義の場で終わらせないためのイベントです。

当時は今ほどイラストレーションの重要性を理解している人が

少なかったために、認知を高めることと、

編集者とイラストレーターとの出会いの場となることを

目標に創設されました。

ボローニャ・ブックフェアでは絵本を売買するのではなく、

絵本の版権などの売買が行われます。そのため来場者は

専門家しかいません。書店で絵本を購入するような、

いわゆるエンドユーザー向けのイベントではありません。

世界各地の出版社が多数出展し、編集者や教育関係者、

図書館司書らが見て回ります。

その中でも一番活発に動いているのは若手のイラストレーター

たちです。

世界中から集まってきては自分の作品を売り込んでいます。

ボローニャ展には18歳以上なら誰でも応募出来ます。

5点1組にした子どもの本のために描かれた原画なら、

出版されていてもされていなくてもかまいません。

子どもの本の世界の幅はとても広く、年齢や生活している場所

といった違いから生まれる多様性を大切にする意味で、

あえてグランプリといった順位をつけずに入選という枠だけが

作られています。80名から100名程度が入選となります。

1978年から日本でボローニャ展を行うようになりました。

兵庫県の西宮市大谷記念美術館のスタッフが

イタリア旅行をしていた時、偶然このイベントを知ったことが

きっかけになったそうです。

ボローニャ展側は見本市のイベントとして展覧会を行っていた

ので、美術館に誘致されるほどの美術的価値があるとは思って

いなかったようです。
 

 

※ボローニャ・ブックフェア……イタリア北部の古都ボローニャで

毎年開催される児童書専門の見本市。

今年は3月28日~3月31日に行われた。

 

 

—絵本に文化的価値を見出したのは日本、ということでしょうか。

 

松岡:そもそも絵本に関する展覧会や原画展を、美術館という

場所で当たり前に扱っている国を日本以外に知りません。

日本は世界で最も絵本に関心が高い国であると言っても

良いのではないでしょうか。

ボローニャ・ブックフェアはイタリアで行われているために、

イタリアに行けばレベルの高い絵本の展覧会があると

誤解されがちですが、私はイタリアで絵本美術館といったものは

知りません。 日本以外の国で注目すべき絵本美術館は

ドイツのトロースドルフ美術館とアメリカのエリック・カール美術館

でしょうか。エリック・カールさんは美術館をつくるために

日本の絵本美術館からアドバイザーを招いたり、調査のために

板橋区立美術館の様子を見にいらっしゃったりしていました。

  

 

IMG_2367.JPG

ブックフェアの様子です

 

  

—日本人作家の応募を増やすために、板橋区立美術館では

具体的にどのような活動をなさったのですか?

 

松岡:日本語の応募要項を作成して配布したり、

雑誌のインタビューを通して広報したり、

講演会や応募者のための説明会を行ったりしてきました。

それが功を成したのか、80年代の終わりから90年代にかけて

急速に応募者が増えました。入選した人にはボローニャ展で

売り込みをするための傾向と対策を積極的に伝えましたし、

それを作家たちが実践したところ、日本人作家が面白い作品を

持ってくると言って外国の出版社が興味を示すようになりました。

それから、日本人作家の絵本がまず外国から出版されて、

その作品が日本へ逆輸入されるという現象が起き始めたのです。

一番有名な例が三浦太郎さんですね。

2002年頃には既にイラストレーターとして成功していましたが、

絵本は1冊も出していませんでした。

板橋区立美術館のボローニャ展を見て応募し、入選したことが

絵本を出すきっかけになりました。 

 

 

くっついたアヒル全部.jpgのサムネール画像

当ブログのNO.33でもご紹介した三浦太郎さん!

ボローニャ展がきっかけで絵本を描くようになったんですね~

 

 

 

—板橋区立美術館とボローニャ展は絵本を出すための

窓口のような役割を担っているのでしょうか。

 

松岡:そうかもしれませんね。「三浦太郎さんがボローニャ展を

きっかけに絵本で成功した」と知られるようになると、それに刺激

された人が集まるようになりましたし。

現在、ボローニャ・ブックフェアに行く日本人作家は数えきれない

ほど増加しました。 初めての売り込みではうまくいかなかったので

もう一度挑戦する、といって出直す人もいますし、

出版社が決まった作家を集めてミーティングをしている様子も

見かけました。作家が仲間を作ったり、仕事を見つけたりできる

場になってきました。

ボローニャ展は参加型の展覧会です。絵本を出版するための

入り口です。

決して終点ではなく、入選してからどう進んでいくかを

自分で決めることになります。自分の作りたい作品を作って、

読者の手に取ってもらうのが作家の最終目標でしょうから。

そこに至るまでのひとつの機会がボローニャ展です。 

 

 

絵本作家を目指す人にとって、登竜門であるボローニャ国際絵本

原画展。この記事をご覧になって興味が湧いた方は、板橋区立

美術館のホームページに記載されている要項をよく読んで、

 ぜひぜひ応募してみてくださいね!

 


 

板橋区立美術館 イタリア・ボローニャ国際絵本原画点情報 http://www.itabashiartmuseum.jp/art/bologna/index.html

 

板橋区立美術館 2012年ボローニャ展応募要項 http://www.itabashiartmuseum.jp/art/bologna/apply.html

 

Bologna Fiere(ボローニャ市見本市協会 英語とイタリア語の

ホームページです)

http://www.bolognachildrensbookfair.com/

 

EhonLab(三浦太郎さんのホームページです!)

http://www.taromiura.com/

 

 

☆次回は、特別賞を受賞されたフィリップ・ジョルダーノさん

についてご紹介いたします!(サイトウ)

 

 

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