2011.7.1更新

 

  

きょうの絵本

 

いまいあやのさんの

 

『くつやのねこ』

 

 

 

  

  

バックナンバーNO.24で訪問した絵本屋さん『ティールグリーン

インシードヴィレッジ』の種村由美子さんおすすめの絵本の最後の

1冊をようやくご紹介できることになりました。いまいあやのさんの

『くつやのねこ』です。そして今回、いまいあやのさんに取材させて

いただくこともできました!

(実は、この機会に直接お話をうかがいたくて、超多忙のところ

無理をお願いしてFAX取材させていただいたのです。いまいさん、

快くお受けいただきありがとうございました。)

 

いまいあやのさんの『くつやのねこ』は、平凡社/刊 別冊太陽編集

部/編 『2011年版 この絵本が好き!』で2010年刊 国内絵本

の堂々1位を獲得しました。

また、白泉社/刊『月刊MOE』では前作の『チャッピィの家』と本作

でMOE絵本屋さん大賞新人賞を受賞されました。

 

お話はペローの『ながぐつをはいたねこ』をアレンジしたもの。貧乏

なくつやに飼われる勇気ある賢いねこが主人公です。

 

 

 

 

IMG_0459.JPG

 

『くつやのねこ』

いまいあやの/作 BL出版/刊 

 

 

 

圧巻の美しさ、独特な色づかい。

海外で認められ日本に逆輸入された絵本です

 

 

この絵本は全ページ通して絵の素晴らしさにうっとりさせられ

ます。『ティールグリーン イン シードヴィレッジ』の種村さんも

この作品を選んだ理由として、いちばんに絵の美しさをあげられて

いました。

ただうまいだけでなく、味のある繊細な色づかい、

心に刻まれるモチーフの妙、そしてはっとさせられる構成力。

日本の若い作家さんからこんな素晴らしい作品が生まれたことを

とても嬉しく思えます。

 

作者のいまいあやのさんは、ボローニャ国際絵本原画展に入賞

したことをきっかけに絵本を作るようになりました。

デビューはボローニャ展を見て連絡をくれたイギリスの出版社

から。それが『108ぴきめのひつじ』でした。

編集者とあらすじのやりとりから始まって、完成まで3年もかかった

そうです。

2作目の『チャッピィの家』と3作目『くつやのねこ』は

スイスの出版社から刊行されました。 

 

 

 今井さん写真2.jpg

 

いまいあやのさん

1980年ロンドンに生まれる。イギリス、

アメリカ、日本で育つ。武蔵野美術大学出身。

2003年、04年、05年、06年、09年にボローニャ

国際絵本原画展に入選。

本作のほか『108ぴきめのひつじ』(文渓堂/刊)、

『チャッピィの家』(BL出版/刊)、『いなかのネズミ

とまちのネズミ』(蜂飼耳/文 岩崎書店/刊)など

千葉県在住。(写真提供/BL出版)

 

 

 

 

 

くつをはいたねこ中面.jpg

 

くつやの主人を助けようとねこは魔物にくつを

売り込みに行きます。

このためにわざわざ作ってもらった

朱赤色のブーツが誇らしげです。

(画/『くつやのねこ』より) 

 

 

 

「子どもの頃、自分が絵本からわくわくを与えられたように

今度は自分が読む人を違う世界にいざないたい」

 

 

いまいさんの絵本はすべて動物が主人公。

その際、留意されていることがあるかをうかがうと、

「存在感がちゃんと出ているか、ということですかね」

というお返事をいただきました。

「顔の表情、毛並み、姿勢など」

とも答えられました。

 

たしかに『くつやのねこ』では、主役のねこの手入れされた美しい

毛並みや愛らしいポーズはもちろんのこと、

魔物が化けるいろいろな動物たちの毛並みや姿勢も

すべて美しくキマッテます。

そして魔物に一計を謀るときのねこは、それまでの可愛いくて賢い

表情から一変、実に目つきが悪そうでいやらしいのです! 

 

実際、この企み顔を表現するのがいちばん難しかったと

いまいさんは語っています。

 

そして、いまいさんの作品できわだっているのが色彩感覚です。

『くつやのねこ』は、とくに朱赤色がきれいでアクセントになっている

のですが、色選びに関してとくに考えていることをうかがうと、

「ねこのくつの朱赤色はなぜかスケッチしたときから赤いイメージ

があったので迷わず塗りましたが、その他は毎回手探りで、

色選びは大変迷います」

とのことでした。

 

「自分が子どもだった頃、絵本はどこか違う世界に連れて行って

くれるようで、わくわくしたものだったから、

今度は自分の作った絵本もそんなふうに、読む人を違う世界に

いざなうことができたらいいなと思います」

別冊太陽の『2011年版 この絵本が好き!』のインタビューで

話されているとおり、『くつやのねこ』を読んでみると

完全にどこか遠くの時空間に連れ出された気分になります。

 

最後に今後の絵本作りに関してうかがうと、

「手帳に書き留めている、いくつか温めている話のたねは、

カバ、クマ、キツネなどが主人公のものです。

まだどれも話としてまとまっていないのですが」

というお返事でした。

次回作も、きっと私たちをわくわく不思議な感覚の世界に

連れていってくれることでしょう。

楽しみに待っていたいと思います。(ミヤタ)

 

 

 

 

くつははいたねこ表4.jpg

 

『くつやのねこ』の裏表紙。

魔物のためにくつやの主人がつくった

さまざまな大きさのくつが並んでいます。

あら? よくみると、いちばん小さいくつを

狙っているコがいますよ!

 

           

★現在、いまいあやのさんの『くつやのねこ』『チャッピィの家』の

絵本原画が見られる展示会が開催中です。

ほかに、みやこしあきこさんの『もりのおくのおちゃかいへ』、

宮澤賢治/作 高野玲子/絵 偕成社/刊『どんぐりと山猫』の

絵本原画も展示されています。

 

「動物と人間のファンタジー絵本原画展」

長野県安曇野市穂高有明2215-9 『森のおうち』

℡0263-83-5670 

期間/7月12日(火)まで 

定休日/木曜 

入場料/大人700円 小学生500円 3歳以上250円

www.morinoouchi.com/

 

 

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