2011.5.30更新 

  

新企画「きょうの絵本」スタート!

 

バージニア・リー・バートン作

 

『ちいさいおうち』

 

 

 

先日訪問させていただいた絵本屋さん『ティールグリーン イン

シードヴィレッジ』店主の種村由美子さんに、絵本のチカラ

プロジェクトにおすすめの絵本を3冊うかがいました。

本日から「きょうの絵本」として3回にわけてご紹介いたします。

また、これから先も継続して絵本屋さんや作家さんに取材させて

いただいたり、当プロジェクトの研究員が出会って感動した本

などを頻繁にご紹介していきたいと思います。

 

このブログを読んでくださった皆様も「私もこの絵本が好きでした」

とか「素敵な絵本を見つけました」などのご感想や新たに出会った

素敵な絵本のことなどをぜひコメント欄を通じておしえてください。

お待ちしています!

 

 

 

 

ちいさいおうちのサムネール画像

 

『ちいさいおうち』

バージニア・リー・バートン/作 石井桃子/訳 岩波書店/刊

 

 

今日ご紹介する絵本は、種村由美子さんが絵本の世界に興味を

もち、最初に探し求めたアメリカの絵本の黄金時代を支えた作家

たちの一人、バージニア・リー・バートンの代表作です。

 

20年ほど前、お子さんと一緒にこの絵本を初めて読んだとき、

種村さんは特別の驚きと感動を覚えたそうです。なぜなら、一軒の

小さい家を中心に、移り変わる歳月の流れ、家のまわりの環境の

変化がみごとに描かれていたからです。

 

絵本のチカラプロジェクトの研究員ナカガワも好きな絵本として

この『ちいさいおうち』をあげています。

 

主人公は静かな田舎の丘の上に建てられたきれいで丈夫な

「ちいさいおうち」定点観測のように全ページがこの家を真正面

からとらえた同じ構図で描かれていきます。

 

最初、「ちいさいおうち」は周囲ののどかな光景や移り行く季節を

楽しんでいました。ひなぎくの可憐さや動物たちの愛らしさなど、

まわりの描写が生き生きとして楽しくて、読む私たちもその景色の

中にいるようでワクワクします。

 

「ちいさいおうち」はたまに遠くの街のあかりをながめて、憧れと

興味を覚えることもありました。ところが自動車が現れたのをきっ

かけに、おだやかな生活が一変します。開発がどんどん進み、

丘は切り崩され街が出来、やがて両隣には高層ビルまで建って

しまいます。今では誰も「ちいさいおうち」に住んでくれません。

 

「ちいさいおうち」は自然にあふれていた昔をなつかしんで悲しい

気持ちになり、身も心もボロボロになってしまいます。ところがある

日、その前を偶然通りかかった女の人(実はこの家を建てた人の

孫の孫の孫でした)が、「ちいさいおうち」を広い田舎に移して救っ

てくれました。

 

自然の中に戻れた「ちいさいおうち」に“笑顔”が戻ったように見え

て、私たちもほっとします。

 

種村さんは、子どもたちに初めて「社会」というものを教えてくれた

絵本だったと思われたそうです。そしてそれまでの絵本に対して

の認識が大きく変わった1冊でもありました。大人にとっても、この

絵本は「人間の幸せって何だろう」「本当の豊かさって何だろう」と

いうことを鋭く問いかけてくる凄い絵本だと思います。

そして「夜は暗いものなんだ」という当たり前のことにあらためて気

付かされます。

 

1942年に発表された古い作品ですが、今の日本の状況と照らし

合わせ、さらに深く考えさせられました。

 

 

●作者バージニア・リー・バートンについて

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋)

 

バージニア・リー・バートン(Virginia Lee Burton, 1909年~1968年)。

米国マサチューセッツ州生まれの絵本作家。出版した多くの絵本

アメリカ絵本の古典とされている。

奨学金を受けてカリフォルニア美術学校で絵画を学ぶ。そのかた

わらバレエを学び一時はダンサーを志したが、パートナーだった父

親が骨折したことで断念。1931年、ボストンで教えを受けた

ギリシア人の彫刻家と結婚し、海辺の村フォリー・コーヴに住む。

野菜や果物を栽培したり羊を飼育したりなど自然を慈しんだ生活

ぶりがそのまま絵本の創作主題につながっている。素朴さや自然

との調和を尊重する一方で、文明のもたらす自然破壊に対して

懐疑を投げかけていた。

 

<主な絵本作品>

『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』

村岡花子/訳 福音館書店/刊(1937年)

『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』

石井桃子/訳 童話館出版/刊(1939年)

『名馬キャリコ』 瀬田貞二/訳 岩波書店/刊(1941年)

『ちいさいおうち』

井桃子/訳 岩波書店/刊(1942年、コールデコット賞受賞)

『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』

石井桃子1/訳 福音館書店/刊(1943年)

『はだかのおうさま』 アンデルセン/著 バートン/絵

乾侑美子/訳 岩波書店/刊(1949年)

『ちいさいケーブルカーのメーベル』

桂宥子 ・石井桃子/訳 ペンギン社/刊(1952年)

『せいめいのれきし』 石井桃子/訳 岩波書店/刊(1962年)

 

(ミヤタ)

 

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