江戸のデザイン研究・商標の第2回目は、
お茶と海苔で有名な「山本山」です。
山本山は、元禄三年(1690年)、初代山本嘉兵衛さんが
宇治の美味しいお茶を
「より多くの人に楽しんでいただきたい」という思いのもと
京都より江戸・日本橋に出て
お茶・紙類を商った事が始まりだそうです。

ここに上げた商標は「江戸時代名物集」のものであり
細長い形状から茶袋などに貼ってあったものと推測できます。
マーク的なものが上部にありますが
これは、山本嘉兵衛の名字の「山」を
形状的な山型のフォルムにし、
その下に山本嘉兵衛の「嘉」を配置して
マークにしたのが解ります。
このマークは現在でもコーポレイトマークとして使用されています。
この商標にはまだ「山本山」の文字は現れていませんが
「山本山」の店名がネーミングされたのは
江戸期に発売され、とても好評であった
宇治煎茶の商品袋に縦書きに「山本山」と
書かれていたことからそのようになったと言われています。
「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」と
言われていますそのルーツは、
この江戸時代の当時から由来したもののようです。

上記の写真は明治20年頃撮影された山本山のお店です。
日本の伝統食品であり日本人の食卓に欠かせない商材としての
海苔は昭和22年(1947年)より販売を開始したようです。
保存技術がまだ発達していない時代、お茶に香りが移らなく、
海苔の仕入時期が11月〜3月と、
ちょうどお茶の仕入時期(4月〜10月)の後になり、
1年を通して仕入と販売が出来るために販売をしていたそうです。


現在使われている社名ロゴの揮毫は
漫画家であり作詞家でもあった岡本一平(1886-1948)の父で、
書家の岡本可亭(1858-1919)によるものだそうです。
ちなみに、芸術家の岡本太郎(1911-1996)は
岡本可亭の孫にあたります。
岡本可亭の創作した社名ロゴは男性的で堂々とした風格があり、
どっしりとした形状から老舗の気質と伝統が感じられます。
山本山のロゴの2つの「山」は、それぞれ違ったフォルムで
書き順が異なっているのが面白いです。
上の「山」は真ん中から書き始め、
もうひとつの「山」は左端から書き始めているということが、
ハネの方向やつながり方で判断できます。
書き順ひとつをとっても
このように個性が出るものなんですね。
中ほどにある店の絵は、同店緒の大看板を描いたもので、
安政年間の「強化扶桑名処名物集」から掲載したものです。
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