江戸美学研究会|「江戸のデザイン」と「江戸の生活文化」を研究するクラブ「エビケン」です。

江美研寺小屋

【武田修能館 能装束虫干し】見学しました

去る8月13日、昨年より能楽セミナー講師をしていただいている
能楽師観世流シテ方の武田宗典さまの「武田修能館」におきまして
「虫干し」が行われ、約2時間にわたり解説を伺いながら見学をさせていただきました。


「虫干し」とは、年に一度、暑い夏に全ての能装束を御蔵から出し、
虫がつかないように干すこと。室内には貴重な装束が、所狭しと並び、
武田家所蔵の300点余りの装束を一同に拝見できる貴重な機会です。

虫干し1.jpg虫干し3.jpg
ここで、能装束の歴史を少し。
能成立初期の装束は、日常着を流用した簡素なもの。
貴族・武家に愛好されると、褒美として豪華な衣装が与えられるようになり、
安土桃山以降は染織技術が飛躍的に発展。江戸時代には現在のような
能装束が頻繁にみられるようになったそうです。
今回の虫干しで出されていた最も古い物は、室町時代のもので、
さすがにもう舞台では着ませんが、年に一度はこのように風を通すのだそうです。
能装束が時代と共に移り変わっていく様子まで、伺い知ることができます。
能装束1.jpg

能装束の中で最も豪華絢爛な、女性役専用の装束「唐織」。
高いものだと国産新車1台分だとか。圧巻は、金糸、銀糸を交えた草花、
風景などの浮き織。 一見重量感があるようだが、舞いやすいよう、
軽く仕上げられています。まさに職人の技術の粋。 

浮織1.jpg浮織2.jpg

また能装束には、色や模様などに大まかな決まりごとがあります。
●唐織・・・・・・裏地が赤い”紅入(いろいり)”は、若い女性や少年役用。
それ以外の”無紅(いろなし)”は、中年以降の女性用。 
●鬘帯(女性役のリボンのようなもの)・・・・・・ ”紅入””無紅”は唐織と同じ。
金箔が入っているのが”シテ(主役)”用で、銀箔入りが”ツレ(脇役)”用。 
三角形の鱗模様は、鬼女役のもの。道成寺の蛇や、六条の御息所の生霊などで用いる。
などなど・・・・・・。

これらの装束に直接触れ、衣装についての知識を深めることは、
能好きの人だけでなく、能に馴染みのない人にとっても、
能鑑賞の際の手がかりや、楽しみのひとつになりそうです。

↑ページの先頭へ

当サイトの内容・テキスト・画像等の無断転載、無断使用を固く禁じます。
Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited.