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江美研寺子屋スペシャル「もっと気楽に!歌舞伎入門-5」


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「劇場へ行きましょう」
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「花道」は歌舞伎独特のものですね。

花道は、舞台の左側の下手から客席の間を通って、後方の役者の出入口の鳥屋(とや)をつなぐ道です。もともとファンがご祝儀や花を役者さんへ贈るのに使われていました。それが進化して舞台の延長になったんです。花道は、時には街道になったり、御殿の中の廊下にもなります。とても便利なんですね。花道の舞台から三分、揚幕から七分のところを"七三"といいます。役者が出たり入ったりする場面では必ずこの"七三"の位置で立ち止まって、ここだけの演出があるぐらい重きを置かれているんです。

幕が開く前に、拍子木の音が聞こえます。

柝(き)と言って拍子木を打ち合わせる音で、歌舞伎は柝の音で進行します。楽屋では、しん(主役)の役者が化粧を終えると「二丁」といって「チョーン、チョーン」と柝を打つんです。それを聞いた他の役者は、各々衣装の準備を始めます。そしてしんの役者が衣装を着て舞台に出る準備が整うと「回りの柝」といって、楽屋の各所に聞こえるように合計八つ打つんです。そして幕を開けられるとなると「直しの柝」を「チョーン、チョーン」と二つ打つ。幕が開く直前に聞こえるのはこの「直しの柝」です。そうすると下座音楽が流れ始め、いよいよ幕が開くといった感じです。昔はもっと静寂だったからよく聞こえたことでしょう。

「隈取り」の化粧法も歌舞伎独特ですね。

初世市川団十郎が初めてこの化粧法をしたと言われています。主に歌舞伎十八番荒事といわれるお芝居で観ることができます。本来は動脈や静脈を強調するためにデフォルメしたものと言われています。赤色の隈は動脈で、熱血漢の人物です。藍色や茶色の隈は悪物だと思って間違いありません。道化の隈もあります。

舞台の上手で板を叩くのは何のためですか。

ツケと言って、舞台に向かって右端の上手で、床に置いた板を拍子木で叩いて音を出します。歌舞伎は、映像のようにクローズアップして見せることができません。例えば役者が手拭いをぱっと落としても客席にはわからない。でも、そこで「バタッ」とツケの音が入ればわかります。このように動作に音をつけるんです。 役者が見得を切るときもツケが入ります。見得は動画から静止画に変わるように、最近の映画で見られるストップモーションですね。役者が見得を切るときは、客席の注目がぐっと集まって盛り上がるシーンです。
江戸時代の頃の芝居小屋の絵を見ると、客席では観客が飲み食いしながら観劇しています。お気に入りの役者がでてくると一所懸命見ているけど、他はどうでもいいみたいな時もある。役者としても、観客をいかにして自分の方へ向かせよう、注目させようということもあって、様々な歌舞伎独特の演出が生まれたんでしょう。

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色彩や紋の使い方も歌舞伎ならではですね。

現在の歌舞伎座の定式幕の色は、黒と柿色と萌黄ですが、定式幕のもとになったのは、初代中村勘三郎が幕府の船・安宅丸の音頭取りを幕府から命じられ成功したので、褒美としていただいたお幕と言われてます。中村座の定式幕の黒、白、柿色はこのお幕からきています。 歌舞伎の舞台では、演じる役者の紋や役者模様を、衣装や小物などに使うことがあります。たとえば『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』の花魁八つ橋の花魁道中の箱提灯には紋が入っていますが、その時演じる役者さんの紋を入れたりするんです。本来ならいつも同じ紋のはずですが、こういうのも面白いですね。それをしゃちほこばって"おかしいんじゃないの"なんて言っちゃあいけません。 ファンの方の中はそれぞれご贔屓があって、役者の紋や文様を身につけるものに取り入れて観劇を楽しんでいる。これも歌舞伎の楽しみかたですね。

塚田さんには歌舞伎の魅力を
たっぷりうかがうことができました。


歌舞伎は「傾く(かぶく)」という言葉が語源と言われています。傾くとは、まともでないとか奇抜であるという意味があります。これはいい加減ということではありません。歌舞伎のストーリー、登場人物、化粧など、並外れているところに惹き付けられるのは、数百年の長い歴史を経て磨かれてきたものだからでしょう。 同じ演目を観ても、20代、40代、60代の時では感動する場面が違うんですね。それは人生の中で色々な事が起きて自分の中に入ってくるからでしょう。 歌舞伎の楽しみ方は、千差万別あっていいんです。役者さんから入っても、演目から入っても、風俗の興味や衣装から入ってもいいんです。もっと気楽に楽しみましょう!

 

塚田圭一(つかだ・けいいち)
学生時代から歌舞伎にいそしむ。その後、菊五郎劇団を経て、フジテレビ開局時に入社。平成中村座の2004年ニューヨーク公演から実行委員長。現在、歌舞伎のイヤホンガイドを務める。花道会代表。
■花道会
歌舞伎愛好会、歌舞伎研究会として歌舞伎の初心者から通まで、誰もが楽しめる会です。ご贔屓の俳優さん、観劇の感想など語り合える場を作りませんか。
http://hanamichikai.jp/index.html
■イヤホンガイド
イヤホンガイドは、音声の「同時解説」で舞台の進行に合わせてあらすじ・配役・衣裳・道具・歌舞伎・文楽の独特な約束事などを、タイミングよく、楽しくご説明いたします! 歌舞伎、文楽初心者の方には必需品です。歌舞伎ツウの方にもイヤホンガイドファンが多く、ご愛好いただいております。
http://www.eg-gm.jp/e_guide/

 

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