『伊勢という字を書いた紙をのむ』

〈懐妊を知るには、いかに〉

あ、もしやと思ったら
妊娠判定薬でサクッと妊娠か否かは一応気軽にわかる現代。
江戸時代は懐妊か否か知るのも体当たりなのであった。
さしづめ『女性の品格』のお江戸版『女重宝記』によると方法は二つ。

一、川芎(せんきゅう:セリ科の多年草)を粉にして
      もぐさ(よもぎ)の煎じ汁にして空き腹にのむべし。
      その日のうちすこし腹うごく⇒懐妊。
      うごかない⇒病

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二、よき酢にてもぐさを煎じ、さかずきの半分ほど飲むべし。
      腹の内しきりに痛むことあれば⇒懐妊。
      痛まない⇒病

なんだか、まずそうで、にがそうで、しかもとても痛そうだ。
でも厳かで儀式的な感じもあって、悪くない。
痛くないならちょっと(だけ)試してみたい気がしないでもない。

〈食べていいもの、いけないもの〉
私の場合、妊娠中一番の関心ごとは『食事』だった。
あれも食べたいこれも食べたい、お腹の赤ちゃんの欲求に従ってしまえ〜。
「スシはダメよ〜♪」と、生ものはあまり良くないと
昔、アメリカ人の妊婦の友人から聞いたことだけ覚えていた。
環境破壊が叫ばれる今とでは、食べ物の質も味も当然違うかもしれないがいたって雑穀万歳の粗食がいいらしい。


☆懐妊のとき食べていいもの

 

おおむぎ
あ   わ き   び 黒   豆 大   根 ご ぼ う
う こ ぎ あ ざ み せ   り う   ど やまのいも
い ち ご く   こ にんじん こ   い か   き い   か
が   ん く ら げ        

 

★懐妊のとき食べてはいけないもの

 

な   し う   め も   も す も も あ ん ず く わ い
 くずのこ
すべりひゆ  はすのね
ま   め も   ち こんにゃく
ひ と も じ (葱)
くさびら(茸) い た ど り(山菜)
が  ざ  み (か に)
いしがれ (いしがれい)
うろこなき魚
し じ み  さけの魚
あ   ゆ ふ   な 川   魚  どじょう
な ま ず えびこんぶ た   こ  めんるい す し 干塩(醤)
か   も は   と す ず め 肉   食 くさきもの からきもの
塩辛きもの 油気のもの あつきもの      

 

朝は果物よね、と梨や桃をしゃりしゃり食べ、梅干もほぼ毎日。
鮭はアンチエイジング対策。
ヘルシーなきのこいっぱいの熱々の鍋にうどんを入れ、葱も入れ
体重が増えたからといってはこんにゃく麺を食べていた。
インドカレーやグルメバーガーにはまった時もある。
そして好物の鰻も少々。
ぜんぜん駄目、失格だ。──あい、すみません。
冷や汗である。


 

〈これがあれば難産なし?〉
妊婦にとっては、神にもすがりたい安産。
私も頂いたお守り達をしっかり産院に持参した。
お江戸の安産=難産なしのおまじないには伊勢という字を紙に書き
信心して水にて産婦に紙を飲ませればそのまま生まるるとある。

伊勢という字は分解すると[人これ生まるるは丸(まろ)が力]と読む。
神の力で生まるるの理だと。
お伊勢パワーだ。なんともスピリチュアルではないか。kn-tog-00-000-6.jpg

 


 

調べたところ、なんとメスがオスの体内に卵を産みつけ、
オスは自分のお腹の中で胎児を育てるという。
交尾の数日後には、ちゃんと稚魚がオスの体から
次々と産まれてくるらしい。
いわば夫が出産育児をするわけである。
江戸の感覚はなかなかウィットにとんでいるとみた。

以上、次回はお江戸の胎教について語りたい

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