【長寿の森Nexthink vol.36】 天寿の思想

長寿の森Nexthink-今日の中に現れる高齢化社会に関する様々な情報を丹念に集め、それらがどのように連鎖しているかを読み解きそこに価値の新たな潮流をキーワードしていくメディアです。毎月40~50に及ぶ事象を分析し、次なる価値観の発見につなげていきます。

<毎月第1.2.3月曜日発行 情報分析 谷口正和> 

■天寿の思想

天から与えられた命に感謝を捧げ、最期の瞬間まで生き切ろうとする考え方です。

天寿とは、「予め定まっていると考えられる寿命」を指し、天寿の思想とは、天から与えられた命に感謝し、最期まで目一杯生き抜こうとすること。特定の宗教を持っているかどうかに関係なく、このような気持ちで日々を生きることこそが重要なのではないでしょうか。自分の命を天から一時的に預かったものだと考えれば、その命を粗末にすることなど、誰もするはずがありません。長寿を誇る日本人の平均寿命は、男性79.64歳と女性86.39歳ですが、いずれは誰もが死を迎えます。死があるからこそ、今の生がより活性するのです。60歳を過ぎて新たにビジネスをたちあげるのも、新しく見つけた趣味に没頭するのも、「天寿の思想」に即した生き方です。今は100歳を迎えた人が、フルマラソンを完走する時代です。何かを始めるのに遅すぎるということは決してありません。たとえ、晩年に病を抱えたとしても、病と向き合いながら最期の瞬間までを生きることが、私たちに課せられた生き方であり、文字通り現世を全うすることにつながるのです。

<事例①> 在宅医療の太田秀樹医師、「長寿より天寿の全うを目指す」 

10月に千葉市幕張メッセで開かれた「日本死の臨床研究会」で、ホスピスや緩和ケア施設で「看取り」にかかわる医師や看護師が人生の閉じ方について発表。栃木県小山市で在宅医療を長年続けている太田医師は「長寿より、私は天寿を全うすることを目指している」と語った。「治らない病気や障害を抱えていても、充実した人生を送っていただくためにお手伝いする医療」を目指し、訪問診療・訪問介護を続けている。(毎日新聞 10/19)

<事例②> がんと折り合いをつけながら生きる「天寿がん思想」

北川知行(がん研究会がん研究所名誉所長)さんが提唱しているのが「天寿がん」だ。さしたる苦痛もなくあたかも天寿を全うしたかのように人を死に導く、超高齢者のがんを指し、自然死に近い。「天寿がん」を迎える人は在宅で年間約600人、全体では多くて数千人という。「天寿がん思想」とは、いたずらな延命治療は避け、最期まで生活の質を保ちながら、生きていく道を広くするという考え方だ。(朝日 10/4)

<事例③> カナダ・トロントのフルマラソンで、100歳が完走!

10月16日、トロントで開催されたマラソン大会で100歳のインド系英国人ファウジャ・シンさんが完走。フルマラソンの最高齢世界記録を樹立し、タイムは8時間25分16秒。89歳の時にマラソンを始め、2003年には見事完走し90歳以上の記録を塗り替えた。2012年に開催されるロンドン五輪の聖火リレーへの参加を希望しており、いくつになっても走ることへのエネルギーは衰えを見せない。(産経ニュース 10/17)