バックナンバー:2011年10月

長寿の森Nexthink-今日の中に現れる高齢化社会に関する様々な情報を丹念に集め、それらがどのように連鎖しているかを読み解きそこに価値の新たな潮流をキーワードしていくメディアです。毎月40~50に及ぶ事象を分析し、次なる価値観の発見につなげていきます。

<毎月第1.2.3月曜日発行 情報分析 谷口正和> 

■天寿の思想

天から与えられた命に感謝を捧げ、最期の瞬間まで生き切ろうとする考え方です。

天寿とは、「予め定まっていると考えられる寿命」を指し、天寿の思想とは、天から与えられた命に感謝し、最期まで目一杯生き抜こうとすること。特定の宗教を持っているかどうかに関係なく、このような気持ちで日々を生きることこそが重要なのではないでしょうか。自分の命を天から一時的に預かったものだと考えれば、その命を粗末にすることなど、誰もするはずがありません。長寿を誇る日本人の平均寿命は、男性79.64歳と女性86.39歳ですが、いずれは誰もが死を迎えます。死があるからこそ、今の生がより活性するのです。60歳を過ぎて新たにビジネスをたちあげるのも、新しく見つけた趣味に没頭するのも、「天寿の思想」に即した生き方です。今は100歳を迎えた人が、フルマラソンを完走する時代です。何かを始めるのに遅すぎるということは決してありません。たとえ、晩年に病を抱えたとしても、病と向き合いながら最期の瞬間までを生きることが、私たちに課せられた生き方であり、文字通り現世を全うすることにつながるのです。

<事例①> 在宅医療の太田秀樹医師、「長寿より天寿の全うを目指す」 

10月に千葉市幕張メッセで開かれた「日本死の臨床研究会」で、ホスピスや緩和ケア施設で「看取り」にかかわる医師や看護師が人生の閉じ方について発表。栃木県小山市で在宅医療を長年続けている太田医師は「長寿より、私は天寿を全うすることを目指している」と語った。「治らない病気や障害を抱えていても、充実した人生を送っていただくためにお手伝いする医療」を目指し、訪問診療・訪問介護を続けている。(毎日新聞 10/19)

<事例②> がんと折り合いをつけながら生きる「天寿がん思想」

北川知行(がん研究会がん研究所名誉所長)さんが提唱しているのが「天寿がん」だ。さしたる苦痛もなくあたかも天寿を全うしたかのように人を死に導く、超高齢者のがんを指し、自然死に近い。「天寿がん」を迎える人は在宅で年間約600人、全体では多くて数千人という。「天寿がん思想」とは、いたずらな延命治療は避け、最期まで生活の質を保ちながら、生きていく道を広くするという考え方だ。(朝日 10/4)

<事例③> カナダ・トロントのフルマラソンで、100歳が完走!

10月16日、トロントで開催されたマラソン大会で100歳のインド系英国人ファウジャ・シンさんが完走。フルマラソンの最高齢世界記録を樹立し、タイムは8時間25分16秒。89歳の時にマラソンを始め、2003年には見事完走し90歳以上の記録を塗り替えた。2012年に開催されるロンドン五輪の聖火リレーへの参加を希望しており、いくつになっても走ることへのエネルギーは衰えを見せない。(産経ニュース 10/17)

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<毎月第1.2.3月曜日発行 情報分析 谷口正和> 

■長寿の朝ごはん

一日のスタートを切る朝ごはんは、長寿を支える大切な要素の一つです。

朝ごはんは、一日の始まりに心身のスイッチを入れる役割を果たしています。長寿の秘訣については様々なことが語られていますが、朝ごはんはその中でも極めて重要な要素です。日本の伝統食である「一汁一菜」は、白いご飯に汁物とおかずを一品ずつ食べる実にシンプルなもので、長寿に寄与すると再び注目を集めています。朝起きて梅干の入った一杯のお茶を飲んだり、食後にヨーグルトを摂ったり、朝ごはんの前後に小さな健康習慣を取り入れる人も増えてきました。健康への意識がますます高まっていることから、自分に合った独自の方法を探り、日々の生活で実践している人も少なくありません。また、60代後半から70代の人たちは、朝ごはんにパンを食べるケースが意外に多いとも言われています。大正時代や昭和初期を生き延びた人たちにとっては、あこがれであったヨーロッパ食文化の一部を生活において実現しているのです。いずれにせよ、朝ごはんと向き合って一日のスタートをきっちりと切ることは、長寿を支える大切な習慣です。

<事例①> 長生きの秘訣は、朝食に摂る一杯のスープにあり!

『100歳までボケない朝一番の簡単スープ』(徳間書店)を書いた医学博士の白澤卓二さんによれば、100歳まで生きる人に共通するのは、「朝食で血糖値を急激にあげるものを食べない点」。本書ではアンチエイジングに効果的なりんごや、がん予防に効くにんじん、免疫力をあげるバナナなど様々な食材を生かしたスープやジュースのレシピを紹介。朝の一杯が生活のリズムを作り、長生きを実現する。(新刊JPニュース 9/12)

<事例②>菓子パン、惣菜パンなどパン食を好むシニアが増加中

シニアがパンを食べる傾向が増えつつあるという。ベーカリーメーカーによれば、食パンに限らず、菓子パンやツナマヨなど惣菜パンが人気。「歳をとると味覚を感じにくくなり、甘味が強い菓子パンを好む人が増える」と老人ホームの担当者は語る。また、一人暮らしや夫婦だけの住まいでは、火も電気も使わずに食べられるパンは好都合。“朝食にはパンを”というシニアが今後も増えていきそうだ。(Exciteニュース10/11)

<事例③> しっかりと朝食を摂ることが、健康維持には大切

厚生労働省が2009年に行った「国民健康・栄養調査」によると朝食をほとんど食べない人の割合は、男性10.7%、女性6.0%。全く食べない人は、20代では男性の3人に1人、女性の4人に1人にのぼる。朝食をほとんど食べない人の割合を2005年の結果と比較すると、40代、60代、70代の男性は増加の傾向だ。メタボリック症候群を気にして朝食を抜く男性が増えているが、栄養学から考えれば朝食を摂ることは極めて重要。(日経 10/16)

長寿の森Nexthink-今日の中に現れる高齢化社会に関する様々な情報を丹念に集め、それらがどのように連鎖しているかを読み解きそこに価値の新たな潮流をキーワードしていくメディアです。毎月40~50に及ぶ事象を分析し、次なる価値観の発見につなげていきます。

<毎月第1.2.3月曜日発行 情報分析 谷口正和> 

■サイズイノベーション

あらゆる商品が、“一人で暮らす”ために適切なサイズへと変わりつつあります。

“一人で暮らす”がシニア社会のスタンダードになりつつあります。2010年の国勢調査速報によると、初めて「単独」世帯が「夫婦・子ども」世帯を上回りました。65歳以上の世帯においても単独世帯数は増え続けています。暮らし方を考える時、より小さく、より軽く、そしてより場所をとらないことが極めて重要になっていることがわかります。ファミリーユースという単位はすでに過去のものとなり、“一人で暮らす”に照準を合わせたサイズイノベーションが、あらゆるところで起き始めました。冷蔵庫も、お風呂も、洋服ダンスも、家の中にあるすべてのものが新たなサイズへと作り変えられようとしているのです。シニア自身も長年ためこんだ持ち物を整理して、よりシンプルでより身軽な“持たずの人生”を選択する傾向にあります。コンパクトな家に住み、お気に入りの衣類を厳選し、小分けされた惣菜を店頭で選ぶ、そんな暮らしが次第に当たり前になってきました。デザインの良し悪しに加えて、適正なサイズかどうかが商品選びの重要なポイントなのです。

<事例①> 大丸松坂屋、惣菜150種を50グラムに小分けして展開

松坂屋上野店は、一人暮らしのシニア向けに煮物や揚げ物などの惣菜を50グラムに小分けして販売を開始。従来の最小容量は100グラムだったが、「量が多い」との声が寄せられ半分に減らした。レストランでも通常のメニューより容量を半分にしたハーフメニューを導入、価格も半額前後で提供する。上野店は60代以上が来店客の約6割を占めるため、婦人服売場もシニアに特化した売場作りを進めている。(日経MJ9/9)

<事例②> 冬場の節電にも役立つ?アイリスオーヤマから「小型湯たんぽ」発売

節電が気になる冬場に活躍しそうなのが湯たんぽ。ここ数年その良さが再認識され、利用者も増加している。アイリスオーヤマが縦18センチ、横13センチ(定価880円)の「小型湯たんぽ」を発売した。腰やひざ、おなかなどを部分的に温めるのに便利な上、650mlしかお湯が入らないことから、シニアにとっても軽くて持ち運びが簡単。自宅でテレビを見ながら使うなど用途も広がりそうだ。(大阪読売新聞 10/17)

<事例③> 単身世帯が全世帯の3割を突破、“1人”をターゲットにした市場が活性化

国勢調査(2010年)によると単身世帯割合は3割を超え、このマーケットに注目が集まる。大京が都心で発売した小型マンションは、約30~58㎡で中心価格帯は3500万~4000万円。好調な売れ行きで渋谷に第二弾を計画中だ。家電は、パナソニックがドラム式洗濯乾燥機を小型化した「プチドラム」を発売、目標4割増の売れ行き。シャープは、人気商品を小型化した「ヘルシオコンパクト」を発売、小型商品が市場活性に一役買っている。(FujiSankei Business 9/28)

 

JR柏駅にあるそごう柏店の婦人服売場が9月上旬にリニューアル。一番のポイントは、6階の婦人服フロアを「おしゃれガーデン」(約2,600㎡)と名づけ、60代以上の女性にターゲットを絞っている点です。「セーター、ブラウス、スカート」など単品を中心に展開されており、「セーターを買いたい」など、目的が明確な顧客にとっては選びやすい展開になっています。

こうした単品での展開は、以前の百貨店では珍しいことではありませんでしたが、次第にブランドやショップごとに区切るお店が増えてきたために、セーターを一枚買うにも「いろいろと見てまわらなくてはならず、面倒」との声も少なくありません。今回のリニューアルは、「ショップ形式の売場では買物がしにくい」という顧客の声に応えたもの。

同じフロアには、休憩スペース「おしゃれ広場」が設けられ、買物の疲れを癒すこともできます。また、すぐ横には常設の展示スペースがあり、いけばなや絵など作品の発表、学びの場としても活用していくとのことです。さらには、ミレニアム/クラブ・オン会員で60歳以上を対象にしたメンバーズサークル「おしゃれくらぶ」もスタート。メンバー限定のイベントを開催するなど、お客様の集い場も提供しています。

そごう・西武は郊外店を順次、高齢者向けに改装していくことを表明しており、今回の柏店のリニューアルはモデルケースです。若い世代は都心部に買い物へ行くことが多く、郊外の百貨店は中高年層の利用が中心となるため、この層に向けたアプローチが重要です。9月7日の日本経済新聞によると、そごう柏店は、50代以上のお客様が全体の5割以上、60代以上も3割を超え、しかも60代以上の購入単価は全世代の平均額に比べて4割も高いのです。郊外における百貨店の新たな挑戦に、目を向けてみてください。

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