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2012年3月26日 16:30

〜明治大学理工学部教授 園田眞理子先生〜

 

高齢期の住宅に関する研究に長年携わっておられます

明治大学教授の園田先生に、お話をうかがいました。

高齢期の住み替えの現状、高齢者ペンションの考え方、

地域における支えあい、大学が地域において果たす役割など、

多岐に渡るお話を4回に渡ってお届けします。

1回目は、住み替え先についてです。

 

 

園田先生お写真.png

 

●1.まだまだ選択肢が少ない、高齢期の住み替え先
 

高齢期の住み替えについて考えるために、

まず、現在の60~70代前半の人たちのライフヒストリーを辿ってみますと、

高度経済成長期は、父親が転勤になれば家族みんなで

引っ越すのが当たり前でした。ところが、1980年代以降、

持ち家を取得してしまうと、たとえ父親が転勤になっても、

子育てのために家族は家に残り、

父親が単身赴任となることが当り前になりました。

その結果、人との付き合いや地域での関係もすべてその場所に蓄積され、

このことが現在のシニアの住まい方に大きな影響を及ぼしています。

今時の言い方をすると、「断捨離」でもしなければ、

抱え込んでいるものが多過ぎて、次の住み替えに進めないのです。

この点が大きな問題だと思います。

 

海外の高齢者と比較すると、日本人の60歳あるいは65歳を過ぎてからの

“動かなさ加減”は世界一です。非常にたくさんのモノや時間に縛られて、

次へ移れないでいます。何度も転勤を繰り返すなどで、

動くことに慣れている人は、住み替えについても比較的気軽に決断できる、

いわゆる“フットルース”ですが、転勤もなく、

ずっと同じ場所に定住してきた人ほど、

次の住まいへのハードルは高いようです。

日本の戸建て住宅は、子どもが2人もしくは3人いる時は、

120㎡前後の居住スペース全体を使って暮らしていました。

しかし、子どもたちが巣立ってしまうと2階の子ども部屋がほぼ物置状態となり、

1階もせいぜいリビングと寝室を使っているだけという

高齢世帯が意外と多いですね。

 

一方、「では、住み替えよう」と考えて、その先を探しても、

介護に絞ったものがほとんどで、もう少し手前の段階、

つまり元気なうちに移り住もうと考えた時の選択肢はあまりないですね。

それに介護が必要になった際に、誰が住み替え先を決めるかというと、

本人ではなく家族です。つまり、今の日本では早めの段階で

自分の意思で住み替え先を見つけ、

段取りができる人はまだまだ少ないということです。

ぎりぎりまで自分の家に留まり、介護が必要になった段階で家族が

探し回って施設へ移るケースが多い。

老後に備えた住み替えを考えるならば、

できれば50代後半から準備することをおすすめします。

ただ、50代ですと自分の老後への現実感もまだないですし、

かといって夢のある住み替え先もないので、つい先送りしてしまいます。

そこが大問題です。

 

次回は、園田先生が提唱されている「高齢期マンション」についてのお話です。


2012年3月 8日 16:28

〜ファッションディレクター 照井加代子さん〜

 

照井加代子さんへのインタビュー3回目をお届けします。

人生をより明るくするために、ファッションの力を

多くの女性に取り入れてもらうためには?

について語っていただきました。ぜひ最後までお読みください。


照井さん.png


●今後求められるのは、
  サイズや着心地などをもっと真剣に考えた商品の開発

年齢を重ねることで、以前は感じなかったような違和感も当然出てきます。

例えば、黒のTシャツを着た時に、それ一枚だけだと何となく映えなくて、

ゴールドのアクセサリーをつけたりスカーフで演出したりして

何とかしっくりいったという経験が私にもあります。

10年前には思ってもいなかったことです。

顔色や体型のちょっとした変化が、そうしたことを引き起こすのでしょうね。

欧米の婦人が明るい色を好むもの理解できる気がします。

今後は「どんな色を身につけると顔映りが良いか」のアドバイス等は、

もっと売場や商品に求められて来るのだと思います。


私の周囲には更年期障害による火照りがひどくて、

ノースリーブの胸元の開いた服を着ている50代の女性がいます。

とにかく暑くてしかたがないので、

冬でもそんな服装になってしまうのだと言います。

本当の意味で、女性の身体や心を研究して開発された洋服って

まだまだ少ないです。どちらかと言うと「着心地が楽ですよ」という点だけが

強調されていて、女心をキャッチした商品や、サイズに配慮しながら、

上質の天然繊維を用いた質の高い商品はまだまだ不足しています。


郊外にある駅ビルやショッピングセンターが、地元のお客様のニーズに

応えていくために食品フロアなどはとても充実していますが、

ファッションの品揃えはまだまだ課題が多いですね。

カジュアルなラインでありながら、中高年女性のサイズや

着心地を考えたブランドはほとんど展開されていません。

年齢を重ねれば、体型も変わってきますし、

いろいろな体のトラブルも出てきます。

今の、シルバー世代の商品と謳われた物は、

が応でも年齢を意識せずにはいられない商品ばかり、

(シルバー世代と仕訳される事すら抵抗がありますが)

ファッションがそこで果たすべき役割は、

「普通のTシャツに見えますが、着心地も良くて、

お顔映りもとてもきれいで素敵だし、カッコいいですよ」という

ポジティブな提案で、人生を楽しくすることだと思っています。


数年後に、ファッション経験豊かな団塊世代が70代を迎えます。

それぞれが「これからの人生、こんな生活をしたい」という

イメージをお持ちのはずです。毎日富士山を眺めながらのんびり暮らしたいのか、

ずっと都会に住み続けてお芝居や映画を観て暮らしたいのか、

友人たちと旅行三昧の日々を送りたいのか?

それぞれのシチュエーションを考えると、ファッションとして

どのようなものが必要になってくるのかが自然と見えてくるはずです。

「普通の65歳の女性って、どんな暮らしをしているの?どのように暮らしたの?」

ここにしっかりと照準を合わせてライフスタイルを明らかにしていくことが、

重要なのだと思います。【完】

 


2012年3月 7日 16:27

 

〜ファッションディレクター 照井加代子さん〜

 

60代と70代のファッションアイテムの

買い方の違いを前回は、うかがいました。

では、この世代の商品に求められている要素は何なのでしょうか。


照井さん②.png


●機能だけに特化するのではなく、重要なのはデザイン

年齢を重ねることで、足元のファッションはどうしても変わってきますね。

ものすごくおしゃれだった人が、ある時「あ、こんな靴を履くのか」と

思ったことがあります。やはり、「楽に歩ける」ということを優先させて考えると、

ファッションというのは知らぬ間に少しずつ変化していくのだな、と実感しました。

私もあと一ヶ月で60歳になりますが、普段はいろんな機能靴も履いています。

それでも、可愛いデザインで、納得のいくものを選ぶようにはしています。

今は、MBTと言うブランドで姿勢を矯正したり、

イージートーンでヒップアップを目指したりしています。

 

「楽に着けられる」と言う事ではキャミブラも、

様々なお店から商品が出て定着した感じがありますが、

普通のブラジャーと同じように

胸のラインをきれいに出せる商品にはなかなか行き当たりません。

カップが厚すぎたり、丸みが出すぎたりで、私が理想とする商品には

まだ出会えていません。ブラジャーとキャミソールが

一体になったという利便性のみを求めるのではなく、

洋服を美しく着る為のもっとデザインの

優れたクオリティの高い商品の開発を

手がけるべきではないでしょうか。

 

以前、中高年女性向けの化粧品開発に携わった時に、

「普通の女性をターゲットに開発をしよう」とスタートしたのですが、

いざ「普通の女性」と想定する段になって、

非常に難しかったことを覚えています。

今は、テレビのニュースなどを見ていると、

都会と地方のファッションには大きな差はなくなってきていると思います。

全国を見渡した時に、例えば「普通の65歳の女性って、

どんな生活をしているのか」をリアルに見つめることが

重要になってくるでしょう。

もちろん、地域によって色の好みなどの違いはあるはずですが、

「ノンエイジ」のコンセプトで中高年層までを広くカバーできるものづくりは、

もっともっと可能なのではないかと考えています。

ユニクロやZALAなどのプライスラインではなく、

ラグジュアリーな「ノンエイジ」マーケットには潜在的なニーズがあり、

これらが百貨店の救世主になるのではないでしょうか?

 

※明日は、最終回。今後のマーケットに求められるものは何なのか、

語っていたただきます。


 

2012年3月 7日 16:27

〜株式会社K.T.スカンクワーク代表取締役 /ファッションディレクター 照井加代子さん〜

 

「今日は、クラス会がある」「明日から友人と旅行に出かける」。

人は様々なオケージョンに応じた装いを意識して生活しています。

年齢を重ねてもその気持ちに変わりはありません。

装うことへの意識を失わず、ファッションの力を

より良い人生を送るための力とするにはどうすれば良いのでしょうか。

ファッションディレクターの照井加代子さんにお話をうかがいました。

3回に渡ってお届けします。まず、1回目は、60代と70代の

ファッションアイテムの買い方の違いについてです。

 


照井さん.png


●ファッションの買い方が大きく異なる、70代と60代

中高年のファッションを考える時に、現在の70代と60代では

買い方に大きな違いがあることに着目する必要があると思います。

70代はどちらかと言えば「人が勧めてくれたもの」を購入する傾向にあり、

一方の60代は「自分が選んだもの」を買いたい、

という気持ちを明確に持っています。

70代は、ハレの場で身につける洋服も普段着も

百貨店を中心に買っていた人が多くみられますが、

今の百貨店では、普段着にあたるような商品がなかなか見つかりません。

都心の百貨店で展開していたこの世代向けのブランドもどんどん縮小されて、

今は買いづらいと感じている人も少なくないでしょう。

 

60代は、同窓会などのちょっとしたハレの場に行く時の服は、

百貨店で捜そうと思いますが、大抵のものは、

郊外のショッピングセンターや量販店で十分に買えています。

ノンエイジで展開しているユニクロやZALAなどもすごく上手に使っていますし、

人によってはH&Mあたりも面白がって利用していますね。

とにかく購入チャネルの選択肢が驚くほど広がっているので、

一つのアイテムを買うにしても「もっと低価格で良いものが買える」と思えば、

別のチャネルにすぐチェンジできる選択眼を持っています。

 

私の義母は86歳になりますが、カタログを見ながら

結構いろいろな商品を買っていますよ。

以前百貨店にあって、今はもうなくなってしまった商品などは、

案外通販がカバーしているのだと思います。

この20年位で、ファッションアイテムの買い方は、本当に大きく変化しました。

60代の半ばに差し掛かった団塊世代には、様々なタイプの人がいますが、五年先、

十年先にどんな70代になっていくのか、

もっともっとリサーチする必要があるでしょう。

 

購買意欲は少しずつ低下し、行動範囲も狭まっていくにしても、

人口の多い層ですから、提供する側としては極めて重要なターゲットです。

ただ、残念ながら国内のアパレルは依然として20代や30代を中心に考えていて、

本格的な取り組みは見えてきていません。

 

※明日は、「機能だけに特化するのではなく、重要なのはデザイン」をお届けします。

 



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